インタビューに答える自民党の石破茂政務調査会長=2011年9月16日、東京・永田町の衆議院第2議員会館【時事通信社】
-自民党は野田政権への対決姿勢を強めているが、あまり対決姿勢が強過ぎると、政策が進まず、国民の批判が自民党に跳ね返ってくるのでは。
自民党内の大勢は対決路線です。がんがん政権与党を攻めていくのも一つの方法だが、常に自民党の利益ではなく国民の利益に合致するかどうかを考えなければいけない。国民が本当に望んでいるのは何なのか。解散・総選挙なのか。鳩山、菅政権に疲れ果てていたら、野田という癒し系が出てきたようなところだろう。自民党の知恵と経験は惜しみなく使ってもらい、2年後に(総選挙で)判断すればよく、衆院解散より任期満了まで続けてほしいという人が増えていることには注意が必要だ。
-民主、自民、公明の3党協議や与野党協議への対応は。
よく考えなければいけない。われわれは参院選で勝利して、国会で(衆参両院の多数派が異なる)ねじれをつくった。3党協議を先にやってしまうと、このねじれは何だったのかということになる。3党協議でまとまれば、国会審議は形骸化してしまう。議会のあり方としてはどうか。民主主義の健全な姿ではない。3党協議の常態化は慎重に考えた方がいい。
民主党はいろんな価値観が混在した政党だ。党内の意見をまとめるのは無理だ。復興財源にしても、社会保障と税の問題にしても。民主党でまとまらないものを、3党協議の場に持っていって結論を導きだすというのは、民主党の延命に力を貸すということだ。政権与党はどんなに苦しくても、自ら党内で結論をまとめなければならない。それが政権与党の責任だ。3党協議が先にありきでは、議会はいらないことになる。3党協議はアラジンのランプや打ち出の小槌なのか。3党協議でお願いすれば、何でもできるということなら、国会なんて開かなくていい。民主主義にとっては怖いことだ。
東日本大震災の復旧・復興対策や円高対策のため個別の政策テーマで3党協議を行うのはかまわないが、何でも3党協議に持ち込むのは、議会を形骸化させ、民主党の生き残りを助けることでしかない。
何でもかんでも対決型でいくべきだとは思わない。自民党は経験と知恵を惜しみなく提供すべきだと思う。その上で、できるだけ早く(国民から)「やっぱり自民党だ」と思ってもらえるようになることが大事だ。解散、解散と声高に叫ぶことだけが解散・総選挙実現の近道とは思えない。自民党に政権を取らせてみようと有権者が思うようになることが解散・総選挙への早道ではないか。
今のままの民主党対自民党の構図が本当にいいことなのか。自民党が駄目だから民主党、民主党が駄目だから自民党。この繰り返しは良くない。「またかつての自民党の復活か」なんて思われる。国民はあきあき、うんざりを通り越して絶望してしまう。政権獲得だけが目的ではいけない。何をするための政権かをはっきりさせ、国民のために実現する目的を共有する一つの政党が政権を支えるべきだ。自民党はその中核でありたい。
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