特集 松井秀喜

FA権取得、海を渡る決意

 2002年にフリーエージェントの資格を取得。悩み抜いた末に日本を離れる決意をした。「もう一段高いレベルで野球がしたい」。自分の気持ちに正直になった時、いろいろな迷いは吹き飛んだ。

 松井はイチロー(マリナーズ)に似て、自らの野球技術を極限まで高めようとするタイプ。「現状に満足せず、毎年進歩しなければいけない」と、ことあるごとに口にしていた。毎年のように打撃フォームを変えたのは、その顕著な例。前年立てていたバットを翌年寝かせ気味にしたり、打席で両足に掛ける体重の加減を微妙に調整するなど、いつも創意工夫をこらしてきた。

 フルイニング出場にこだわったのも、野球に取り組む真摯(しんし)な姿勢の表れだ。入団2年目から全試合出場。打率を争う上で不利になることがあろうと、「お客さんが来てくれる限り、試合に出る」と言い続けた。リーグ優勝、日本一の目標はもちろん、個人記録でも最善の努力をする-。プロ入り以来、その姿勢は変わることがない。

 「高み」を極めようとする気持ちは、おのずと大リーグへのあこがれにつながる。小さいころ「はるかに遠い。かなわない」と思っていた世界が、次第に手を伸ばせば届くと感じられるようになった。思いとどめようとする原辰徳監督らの説得に心は揺らいだが、はじけそうな思いをもう抑えることはできなかった。

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