日本共産党の歩み 写真特集

故野坂参三氏のソ連内通、GHQが監視=250万円受領説も-米公文書

 第2次世界大戦後、日本共産党を指導した故野坂参三・元名誉議長(写真)が東京で旧ソ連当局者と秘密接触し、資金供与を受けるなどの疑惑を、占領統治中の連合国軍総司令部(GHQ)が監視・記録していたことが、米国立公文書館に保管されている「野坂参三ファイル」で分かった。
 昭和史のなぞの人物といわれる野坂氏は第2次大戦中、中国共産党の本拠地・延安で「日本人民解放同盟」を設立、米情報機関の対日工作に協力するなど友好関係にあったが、米側は対ソ内通を掌握後、同氏への警戒を強めたもようだ。野坂氏は1992年、ソ連内通者として党を除名された。
 GHQ防ちょう部隊(CIC)が48年10月21日付で作成した報告は未確認情報として、野坂氏が同年、北海道での党活動費として使った250万円の資金はソ連から提供された可能性があるとし、ソ連の極東委員会代表部ないし在日通商代表部が提供したと分析した。ソ連が戦後、コミンフォルム(欧州共産党・労働者党情報局)を通じて日本共産党にも資金供与していたことは、旧ソ連公文書で判明している。
 同年10月20日付のCIC報告は「野坂氏の個人事務所が東京のソ連大使館のそばにあり、コミンフォルムの極東連絡事務所になっている可能性がある」と指摘した。49年11月のCICのエージェント報告によれば、野坂氏はシベリア抑留者への洗脳教育についても、ソ連側に要望を伝えていたという。
 野坂氏はGHQでしばしば尋問を受けたが、47年4月25日付尋問記録によれば、ソ連との内通説を問われた同氏は「43年までソ連と一定の接触があったが、今は資金も政治的助言も一切受けていない」と全面否定している。(ワシントン時事/1999年8月18日) 【時事通信社】

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