日本の陸軍機 写真特集

五式戦闘機

 太平洋戦争も末期の1945(昭和20)年2月に初飛行した試作名称「キ100」戦闘機は、液冷式エンジンの供給が停止した三式戦闘機の機体に、調達が容易な空冷式エンジンを搭載した急造戦闘機だった。あくまで窮余の策として開発されたものだが、搭載された三菱重工業製「ハ112-Ⅱ」(海軍での名称は『金星六二型』)エンジンは、離昇出力1500馬力ながら性能は安定しており、故障も少なく、整備もしやすかった。試作機の最高速力は時速580キロにとどまったものの、エンジンは三式戦闘機の機体特性ともマッチし、抜群の運動性能を示した。
 このため、陸軍では五式戦闘機として制式採用することを決定し、川崎航空機にも大量生産を命じた。同年4月から部隊配備が始まったが、エンジンの不調に泣かされていた三式戦闘機、四式戦闘機に比べ稼働率は圧倒的に高く、実戦部隊の評価も上々だった。ただ、B29による本土爆撃が本格化し、川崎航空機の工場が次々と破壊されたことから6月には製造ラインが停止してしまい、終戦までの生産数は390機程度にとどまった。写真は、英国のコスフォード空軍博物館に展示されている五式戦闘機一型(落水浩樹撮影)。現存する機体は、世界にこの1機しかない(2012年04月06日) 【時事通信社】

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