日本のホタテ、召し上がれ ブラジルで水産物セミナー
【サンパウロ時事】ホタテなど日本産水産物を売り込むセミナーが14日、ブラジル最大都市サンパウロで行われた。東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を受けて、中国が昨年8月から日本産水産物の輸入を禁止。中国市場依存からの脱却に向け、世界最大の日系人社会を抱えて今後の成長も期待できるブラジルでの販路拡大を目指す。
日本の農林水産省が主催したセミナーには、飲食店や食品流通業などの関係者ら約100人が参加。日本のホタテが初めて、ブラジルに直接輸出された。北海道産ホタテが入ったラーメンや愛媛県産ブリを使ったブリ大根などの日本食に加え、これらの食材を使った現地料理が参加者らに振る舞われた。同省の浅野大介参事官は、南米でこの種のセミナーは初めてと語り、「(市場開拓に)本腰を入れる」と強調した。
料理を考案した有名シェフのロドリゴ・オリベイラ氏は、日本産ホタテやブリについて「素材に豊富な味わいがあり、味付けが不要だ」と魅力を語った。
ブラジルでは、日系人を通じて日本食が身近になっている。サンパウロで飲食店を運営する日系3世の藤坂パトリシア・アケミさん(36)は、日本を訪れた多くのブラジル人が日本食を食べて帰国し、ブラジル国内にも日本食を提供する飲食店が増えているとして「日本の食文化が広く知られている」と指摘。水産物も受け入れられる可能性があると述べた。