朝鮮学校取材の監督ら調査 韓国統一省、南北交流の規制強化
【ソウル時事】韓国統一省が、無断で在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)と接触したとして、朝鮮学校を取材した映画監督らを調査していることが明らかになった。北朝鮮に強硬姿勢を取る尹錫悦政権下で、日本での南北交流に関する規制も強化されている現状が浮き彫りになった。
韓国メディアによると、朝鮮学校が高校無償化から除外されたことを取り上げた映画「差別」を手掛けた金知雲監督に対し、統一省が11月、経緯を説明するよう求める文書を送った。過料の可能性についても記されていたという。
韓流ブームの火付け役となったドラマ「冬のソナタ」に出演し、朝鮮学校支援に取り組む俳優のクォン・ヘヒョさんや、ドキュメンタリー映画「私はチョソンサラム(朝鮮人)です」の制作者にも同様の文書が送られていた。
韓国では、南北交流協力法に基づき、朝鮮総連関係者と接触する場合は事前に許可が必要。やむを得ず接触した場合にも、事後申告を行わなければならない。
かつては、無許可でも黙認されることが多かったが、最近は事前に申告しても統一省が許可せず、民間の南北交流が妨げられているとの指摘もある。朝鮮学校関係者によると、今年、予定されていた交流行事のキャンセルを通知してきた韓国の団体もあったという。
統一省関係者は「過去に法の適用が多少緩く運営された側面があった」として、「法と原則にのっとった交流の秩序と体系を確立していく」と説明した。
革新系の京郷新聞は過去の保守政権でも取らなかった対応だと指摘し、「市民の活動を萎縮させる」と批判。一方、15日付の北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は「時代錯誤の『思想検証』だ」と反発した。