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「任期中改憲」自民動き鈍く 保守派不満、首相離れ加速も

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参院予算委員会で答弁する岸田文雄首相=11月27日、国会内

参院予算委員会で答弁する岸田文雄首相=11月27日、国会内

  • 参院予算委員会で答弁する岸田文雄首相=11月27日午前、国会内

 憲法改正に向けた自民党の取り組みに、改憲派の論客や日本維新の会などの野党が批判を強めている。岸田文雄首相が来年9月までの自民総裁任期中の改憲を目指すとして条文案づくりを呼び掛けたにもかかわらず、具体的な動きが見えないためだ。矛先は「指導力が足りない」と首相にも向けられ、低迷する内閣支持率の一段の低下を危惧する声も出ている。

維・国、改憲論議の継続要求 条文案の早期作成で―衆院憲法審

 「総裁任期中に憲法改正を果たしたい思いは全く変わらない」。首相は先月27日の参院予算委員会で、改憲への積極的な発言は「右派をつなぎ留めたいからではないか」と立憲民主党の辻元清美氏からやゆされ、こう反論した。

 今国会では、「前のめり」な首相の発言が目立つ。10月の所信表明演説で、改憲を「先送りできない重要課題」と位置付け、「条文案の具体化」を提唱。その後も、「2期目を含む」との解釈もあった「任期中」について「来年9月まで」と明言した。

 しかし、意気込みは空回りしている。憲法審査会は今国会に入り、衆院で4回、参院で1回開かれたが、いずれも自由討議などにとどまる。13日に会期末を迎える今国会中の開催予定は衆参とも残り1回ずつ。与党幹部は「条文化は無理だ」と語った。

 自民が首相のかけ声に呼応しない背景には、政権の先行きが危ぶまれ、改憲への見通しが立たない中、野党第1党との協調を重んじてきたこれまでの「伝統」を崩すわけにはいかないとの判断があるようだ。与党筆頭理事を務める自民の中谷元氏は先月30日の衆院憲法審で「首相が発言しようがしまいが、各党が議論して決めるのがルールだ」と強調した。

 改憲派は首相への不満を募らせている。民間団体「美しい日本の憲法をつくる国民の会」は同27日、緊急集会を国会内で開催。共同代表でジャーナリストの櫻井よしこ氏は「(自民の)ふがいなさに限りない不満を抱いている。首相は責任を持つ政治家とは思えない」と酷評した。

 維新や国民民主党は櫻井氏らに同調する。維新の青柳仁士氏は同30日の衆院憲法審で「首相の決意とは裏腹に、自民から一向に熱が伝わってこない」と自民を批判。国民の玉木雄一郎代表は「自民の熱意と本気度が感じられない。絶望的な徒労感を感じている」と嘆いた。

 報道各社の世論調査で岸田内閣の支持率は軒並み2割台に突入。自民の支持率も下降を続ける。自民関係者は「このままでは維新や国民に保守派の支持を奪われ、内閣や自民の支持率の底が抜けかねない」と危機感をあらわにした。

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