忍者、ブラジルに参上 セミナーで実像に迫る
【サンパウロ時事】ブラジル最大都市サンパウロで日本政府の情報発信拠点となっている「ジャパン・ハウス」は21日、海外で関心が高まる忍者に関するセミナーを開いた。広く知られる忍者像と実在した忍者との違いを説明。会場では、忍術を会得した「忍者」の実演もあり、約80人の参加者は食い入るように見ていた。
セミナーは、忍者のふるさとの伊賀を抱える三重県がサンパウロ州との姉妹都市提携50年などの節目を迎え、魅力発信の一環で協力した。
セミナーでは、忍者研究で知られる三重大学から山田雄司教授が、忍者の存在は14世紀の南北朝時代までさかのぼり、「武装して自衛するために忍術が発展した」と説明。同大の吉丸雄哉教授は「黒装束で手裏剣を打つのは、つくられた忍者像」と指摘した。「最後の忍者」の川上仁一さんは、針のようなものを口から飛ばすなどの忍術を披露した。
忍者はブラジルでも人気があり、「仕事の能力が優れた人」を意味する言葉として定着。学校で体育を教えているというジョルジェ・マサホッロさんは、子供の頃から忍者を知っていたといい、「もっとこの文化を知るために(日本を)訪れたい」と語った。
三重県の一見勝之知事はセミナーに先立ち、忍者を「観光のキラーコンテンツ」と強調。日本を90日以内の短期で訪れるブラジル人には9月末からビザ取得が免除されることから、観光振興をPRした。