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23年春闘、賃上げ率3.58% 物価高で30年ぶり高水準―連合最終集計

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【図解】春闘の平均賃上げ率の推移

【図解】春闘の平均賃上げ率の推移

 連合が5日発表した2023年春闘の最終集計結果(3日時点)によると、基本給を底上げするベースアップ(ベア)に定期昇給を合わせた平均賃上げ率は3.58%(1万560円)と、3.90%だった1993年以来、30年ぶりの高水準を記録した。歴史的な物価高で家計が圧迫された上に、企業側には人手を確保する狙いもあり、労使ともに賃上げ機運が高まった。

人材引き留めへ賃上げ容認 原資確保、価格転嫁が急務

 賃上げを要求した5613組合のうち、53.2%がベアを獲得。平均賃上げ率は前年を1.51ポイント(4556円)上回った。業種別では、製造業が3.92%(1万1819円)、商業流通が3.54%(1万146円)。コロナ禍の影響が残る交通運輸、サービス・ホテルもそれぞれ2.50%(6813円)、2.97%(8792円)と大幅な賃上げを実施した。

 組合員300人未満の中小組合に限ると、平均賃上げ率は3.23%(8021円)。前年を1.27ポイント(3178円)上回った。

 物価変動の影響を除いた実質賃金は昨春以降、前年同月比マイナスが続き、23年春闘では賃上げ期待が一段と高まった。人材獲得の観点から大幅な賃上げを表明する企業や、労使交渉で労働組合の要求に満額で応える大手企業が相次いだ。「物価上昇を超える賃上げ」を目指す政府が、原材料費などコストの増加分を価格に転嫁するよう呼び掛けたことも、中小企業の賃上げの後押しとなった。

 連合は「労使が中期的視点を持って粘り強く交渉した結果だ。『未来につながる転換点』となり得る」とコメントした。物価上昇率はやや鈍化傾向にあるものの依然として高水準で、景気の持続的な回復には来年以降も賃上げが継続するかが鍵を握る。

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