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2021.06.29

日本三大急流とは?流れが速くなる理由やそれぞれの特徴をご紹介

日本三大急流をご存じですか?
最上川、富士川、球磨川…。いくつかの川が思い浮かびますが、なぜこれらの河川なのでしょうか。そもそも流れはどのぐらい急?

この記事ではそんな日本三大急流のいろいろや、舟運などの歴史、見どころスポットまでご紹介します。

※この記事は2021年6月18日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。

記事配信:じゃらんニュース

日本三大急流とは?

(写真提供:山形県観光物産協会)
(写真提供:山形県観光物産協会)

日本三大急流とは、以下の3つの川を指すのが一般的です。

・最上川(山形県)
・富士川(長野県・山梨県・静岡県)
・球磨川(熊本県)

実は流れの落差だけなら、もっと流れの急な川は存在します(後述)。日本三大急流とは、川の大きさや、暮らしを支えてきた歴史まで含めた “賛美”です。

これらは経済的に重要な位置にあり、昔から舟運(しゅううん)に利用されてきました。年貢米や特産品など重いものは、馬や人が担ぐよりも、船の方が大量に早く運べるためです。

船が通るためには、水量豊かな大河であることが必要。そして流れが急であればあるほど、上流から下流への船旅は楽になります。

ここでちょっと疑問なのが、さかのぼるときはどうするのか?ということ。

流れがゆるやかな下流部は帆を張って風の力を利用し、川が狭くなると、岸から人や牛が綱(つな)で引っぱったりしました。下りが1日のところを、上りは4日も5日もかかったとか。

(写真提供:国立国会図書館デジタルコレクション)
(写真提供:国立国会図書館デジタルコレクション)

上は、1853年に歌川広重が描いた浮世絵。出羽国・最上川の盛んな舟運の様子が描かれています。奥に見えるのは月山(がっさん)。

重要な動脈だったからこそ、いくつかある難所は大変で、その困難さや怖さが人々に語り継がれ、いつしか「日本三大」に数えられるようになった…と言えそうです。

なぜ急流になるの?

なぜ急流になるかというと、落差が大きく、流れる距離が短いからです。

山がちで、海までの距離が近い日本の川は、全体的に急です。以下のグラフを見ると、日本の川が世界の川と比べて、いかに急流なのかが分かるはず。中でも三大急流は突出していますね。

(参考資料・高橋裕「新版 河川工学」東京大学出版会,2008,p.287)
(参考資料・高橋裕「新版 河川工学」東京大学出版会,2008,p.287)

三大急流よりもさらに急な一級河川が、富山県の常願寺川(じょうがんじがわ)。立山連峰の標高2600mから、たった56kmで海に流れ込みます。平均勾配は約5%。

二級河川や普通河川ではもっと急な例も。同じく富山県内を流れる早月川(はやつきがわ)は平均勾配約8%。明治時代、オランダ人土木技師ムルデルが「これは川ではない、滝だ」と言ったとか。

極端な例では、世界遺産・知床でクルージングに参加すると、わずか3kmで600m近い標高を下って海に流れ込む川も見られます。平均勾配なんと約20%!

(写真提供:写真AC)
(写真提供:写真AC)

でもこれらの川が「三大」に数えられないのは、やっぱり歴史における利用度が違うから。たとえば舟運では、船が通るために十分な水量が求められます。

「五月雨をあつめて早し最上川」という芭蕉の有名な句があります。五月雨とは梅雨の雨のこと。水量いっぱいでごうごうと流れる川こそ日本三大急流にふさわしいのです。

(写真提供:山形県観光物産協会)
(写真提供:山形県観光物産協会)

さてここからは、日本三大急流の特徴と見どころをご紹介します!

最上川(もがみがわ)とは

(写真提供:山形県観光物産協会)
(写真提供:山形県観光物産協会)

山形県は、置賜(おきたま)・村山・最上・庄内の4地方に分かれます。その全てを貫いて流れるのが最上川。山形県の『母なる川』です。

福島県との境にある西吾妻山の火焔滝(ひのほえのたき)を源流とし、標高約2000mから229kmにわたって流れていきます。

最上川の特徴は、5つのゆるやかな盆地と、5つの狭い部分を交互に縫って流れること。この狭い部分のうちのいくつかが難所となって、日本三大急流に数えられたといえるでしょう。

最上川の急流が見られるスポット

(写真提供:山形県観光物産協会)
(写真提供:山形県観光物産協会)

もっともポピュラーなスポットが最上峡(もがみきょう)。最上郡戸沢村にあり、舟下りを楽しむこともできます。

揺れたり、服が濡れたりといった心配はあまりありません。急流とはいえ下流部に近く、安心して景観が楽しめます。両岸に山が迫る景色は、東北旅の代表的景観のひとつです。

■最上川
[住所]山形県米沢市、長井市、村山市、尾花沢市、新庄市、戸沢村など
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「最上川」の口コミ・周辺情報はこちら

富士川(ふじかわ)とは

(写真提供:写真AC)
(写真提供:写真AC)

富士川は、山梨県を流れる釜無川(かまなしがわ)と笛吹川(ふえふきがわ)が甲府盆地で合流し、富士山を西側に迂回して駿河湾にそそぐ川です。

源流は南アルプスの鋸岳(のこぎりだけ)。標高約2700mから128kmにわたって流れていきます。山梨と静岡を結ぶ水運として、古くから大事な役目を果たしてきました。

(写真提供:写真AC)
(写真提供:写真AC)

ちなみに武田信玄の「信玄堤」は、富士川の山梨県部分である釜無川にあります。信玄堤はいまも現役。川の中の木組みは、水の勢いを弱める「聖牛」というものです。

富士川の急流が見られるスポット

(写真提供:国立国会図書館デジタルコレクション)
(写真提供:国立国会図書館デジタルコレクション)

富士川の三大難所とされるのが、天神ヶ滝(山梨県富士川町鰍沢近辺)、屏風岩(山梨県身延町)、釜口峡(静岡県富士宮市)。

天神ヶ滝は「富嶽三十六景 甲州石班澤(かじかさわ)」にも描かれたあたりで、風光明媚。また、観光しやすいのは釜口峡で、ラフティング体験なども可能です。

(写真提供:写真AC)
(写真提供:写真AC)

最下流部でも、新幹線が走る富士川橋梁と富士山の絶景コラボが見られます。まさにニッポンの旅といった雰囲気。下流部なのに大きな石がゴロゴロしていて、急流さが感じられます。

■富士川
[住所]長野県富士見町、山梨県甲斐市、静岡県富士宮市など
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球磨川(くまがわ)とは

(写真提供:写真AC)
(写真提供:写真AC)

球磨川は、熊本県南部を流れる一級河川です。

源流は、銚子笠(ちょうしがさ)と呼ばれる山。標高約1400mから115kmにわたって、Uの字を描いて不知火海に流れ込みます。

人吉盆地から八代平野までは巨岩がひしめく急流ですが、17世紀には開削工事が行われ、舟運が可能になりました。

水のきれいな清流としても知られ、釣り人にとってはアユ釣りの聖地。舟下りやラフティングが楽しめるスポットもたくさんあります。

球磨川の急流が見られるスポット

(写真提供:九州観光推進機構)
(写真提供:九州観光推進機構)

なんと言っても球磨川の風情が味わえるのは、人吉市温泉町。風情たっぷりの和船でゆったりと川下りが体験できる『清流コース』や『こたつ船』などがあります。

また、球磨郡球磨村ではラフティングも可能。「高曽の瀬」「石畳の瀬」などの難所が続き、場所によってはゴムボートごとジャンプすることも!夏なら飛び込みも体験できますよ。

雨の後は増水が激しいので、観光に訪れる際には気を付けましょう。

■球磨川
[住所]熊本県水上村、人吉市、球磨村、八代市など
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ラフティングなどのアクティビティもおすすめ

これらの川では、急流を生かしたラフティングなども楽しめます。
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ミキティ山田  ミキティ山田

旬な話題を求めて、いろいろな場所を取材・撮影する調査員。分厚い牛乳瓶メガネに隠したキュートな眼差しでネタをゲッチュー。得意技は自転車をかついで階段を登ること。ただしメガネのせいでよく転びます。