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2023.11.14

除夜の鐘は何時から?意味や由来・回数・つき方やマナーまで解説!

大晦日の夜、年が変わる元旦にかけて鳴り響く「除夜の鐘」。
この歴史ある法要の由来とは?108回は煩悩の数?
詳しく知って聞くと、その鐘の音がより心に響くはず。

そこで今回は、除夜の鐘の由来や回数の意味、何時からつくのか、鐘のつき方やマナーなどについて、天台宗 正光寺 住職の西村慈祐さんに伺いました。

※この記事は2023年11月14日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。

記事配信:じゃらんニュース

除夜の鐘の由来と意味

鎌倉時代に中国から伝わった仏教行事の一つ

「除夜の鐘(じょやのかね)」は、大晦日の夜に寺院の梵鐘をつく日本仏教の行事の一つ。

除夜とは大晦日の夜のことを指し、多くのお寺では1年間を振り返って感謝の気持ちを表す「除夜法要」「除夜会(じょやえ)」といった、その年最後の法要を勤めます。

除夜の鐘を鳴らすのも、その法要の一つ。大晦日から新しい年への引継ぎを行う大切な儀式なのです。

除夜の鐘

その歴史は古く、もともとは中国・宋の時代の末期頃に始まった鬼払いの文化で、日本には鎌倉時代の頃に伝わったと言われています。室町時代には仏教行事として一般化され、江戸時代には多くの寺院で行われていたようです。

西村さんに伺ったところ、古来より時報として鳴らされていた梵鐘の音は、単に正確な時を人々に知らせるだけでなかったのでは、とのこと。

梵鐘の梵は、サンスクリットの神聖・清浄が語源。鐘の音は仏様の音や声を連想させるものであり、その響きを聴く者は一切の苦から逃れ、悟りに至る功徳があるとされていました。

世の中の人々の今生と来世の幸せを願って梵鐘をつき、清浄な音が広がっていくことで極楽浄土のような安らぎを与える。そんな意味もあったようです。

除夜の鐘をつく回数と意味

108回つく意味は諸説あり

除夜の鐘

多くの寺院では、除夜の鐘が108回つかれています。この「108」という回数の理由は諸説ありますので、代表的なものを紹介します。

まず有名なのが、煩悩の数から来ているというものです。では、108の煩悩とは何でしょうか。

諸説ある中よく知られたものとして、煩悩とは、「眼(げん:視覚)」「耳(に:聴覚)」「鼻(び:嗅覚)」「舌(ぜつ:味覚)」「身(しん:触覚)」の五感+第六感ともいえる「意(い:意識)」による「六根(ろっこん)」から生じる心の働きによって生み出されると考えられています。

ここから起こる感情は「好(こう:良い)」「悪(あく:悪い)」「平(へい:どちらでもない)」の3つに分けられ、さらにその状態は「染(ぜん:汚れたこと)」「浄(じょう:清らかなこと)」の2つに分けられます。

また、煩悩によって人は過去・現在・未来の「三世(さんぜ)」によって悩みや苦しみが続くと考えられており、つまり計算をすると、6(六根)×3(良・悪・平)×2(染・浄)×3(三世)=108になるのです。

もう一つの説は、1年間を表しているというもの。月の数の12、「立春」や「夏至」などで知られる1年を季節ごとに細かく分類した「二十四節気(にじゅうしせっき)」の数の24、二十四節気をさらに細かく分けた「七十二候(しちじゅうにこう)」の数の72、これらすべてを足した数が108になります。

なお、除夜の鐘をつく回数は108回と決まってはおらず、寺院によっては200回以上つくところもあります。

除夜の鐘は何時から何時まで?

大晦日の深夜23時頃から元旦の1時頃まで

除夜の鐘は、大晦日から元旦にかけての深夜0時を挟んでつかれます。108回の鐘をつく寺院では、大晦日のうちに107回までをつき、新しい年になってから最後の1回をつくところが多いようです。

大晦日に107回つくのは、古い年のうちに煩悩を消すという意味もありますが、ただそれだけでなく、除夜の鐘はその人にとって一年に一度だけの格別な音。

鐘の音を聴きながら一年間のいろんな出来事を思い出しながら、感謝や反省、来年こそはという思いを馳せるためでもあるようです。

除夜の鐘のつき方やマナー

鐘をつくのは必ず参拝の前

除夜の鐘

除夜の鐘をつく方法はそれほど難しくはありません。

まず鐘の近くまで進んでから、つく前に鐘に向かって合掌・一礼をしましょう。鐘をつくための撞木(しゅもく)についている紐を後ろに引き、鐘にあてます。最後にもう一度合掌・一礼をしながら、仏様へのお願い事や感謝の気持ちを心に念じます。

大切な作法としては、まず他にも大勢の方が順番を待っている場合がありますので、一度鳴らしたら次の方に譲りましょう。

また、あまり強く鐘をつき過ぎないこと、できるだけ鐘をつく間隔を30秒以上あけることも大切。場合によってはヒビが入ってしまうこともあるため、大切な梵鐘を守ることにつながります。

また、本堂への参拝後に鐘をつくのは「戻り鐘」といって縁起が悪いものとされていますので、鐘をつくのは必ず参拝の前にしましょう。

除夜の鐘がつける寺院はある?

一般開放されている寺院もたくさん

除夜の鐘

寺院によっては一般の方でも除夜の鐘をつくことができます。ただし、名前が知れた寺院では希望者が多いため、事前予約や先着順での整理券が必要なケースもあります。

除夜の鐘がつける寺院かどうか、人数や時間に制限がないか、有料か無料かなど、事前に確認しておくことをおすすめします。

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Akiko  Akiko

美味しいものを求めて、国内外を旅するライター。最近は山登りも始めるも、何よりの楽しみは下山後のビールと温泉。