●「おちょやん」のほか「半分、青い。」「まんぷく」も?
2020年後期、杉咲花の主演で放送された「おちょやん」は、女優として活躍した浪花千栄子さんの半生をモデルに、大正から戦後の激動の時代に女優の道をいちずに歩んだ女性の姿をフィクションとして描いた朝ドラだ。スズ子が最初に所属したのは大阪・梅丸少女歌劇団(USK)。そのモデルは現在の「OSK日本歌劇団」で、その歴史は「松竹楽劇部生徒養成所」が創立されたところから始まり、これがのちに「松竹歌劇団」となる。浪花さんは、「松竹新喜劇」の前身「松竹家庭劇」に参加しており、松竹新喜劇の創設メンバーの1人でもある。
そして「ブギウギ」の第10週「大空の弟」(第49話)では、「おちょやん」の最終回を思い出させる演出が話題を呼んだ。この週、スズ子は弟の六郎(黒崎煌代)が戦死したことにショックを受け歌うことができなくなり、そんな彼女のために善一が、六郎をイメージした楽曲「大空の弟」を書き上げた。スズ子はこの曲を茨田りつ子(菊地凛子)との合同コンサートで初披露。しかし歌唱後、自分の足で立っていられず、その場に泣きながらうずくまってしまう。直後、スズ子は観客席に六郎の幻影を見る。このシーンはまさに「おちょやん」最終回のクライマックスと同じ演出で、竹井千代(杉咲花)が、鶴亀の社員、熊田(西川忠志)の要望を受けて大阪・道頓堀の舞台に立ち、元夫の天海一平(成田凌)ら「鶴亀新喜劇」の面々と渾身の喜劇を披露するなか、客席から、亡くなった千代の両親、テルヲ(トータス松本)とサエ(三戸なつめ)、そして弟のヨシヲ(倉悠貴)が声援を送るシーンがあった。これは千代だけに見えた幻で、六郎もスズ子にしか見えなかった。
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朝ドラ通算109作目。戦後の大スターで“ブギの女王”として人気を博した歌手、笠置シヅ子さんをモデルに、大正生まれのヒロイン、鈴子が人々に勇気と希望を与える姿を描く。
- 【放送】総合:月~金曜(土曜は総集編)午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00、 BS/BSプレミアム4K:7:30〜7:45
- 【作(脚本)】足立紳、櫻井剛
- 【音楽】服部隆之
- 【主題歌】中納良恵・さかいゆう・趣里「ハッピー☆ブギ」
- 【語り】高瀬耕造(NHKアナウンサー)
「ブギウギ」第60話では、スズ子の愛助がキスをするシーンが注目を集めたが、それ以前の朝ドラでキスシーンがあったのも「おちょやん」だ。
まだまだある。「ブギウギ」第12週「あなたのスズ子」(第57話)では、「福来スズ子とその楽団」のトランペット奏者、一井(陰山泰)が、スズ子と愛助の親密な関係を善一に話してしいたことが発覚。うわさが広がる原因になったおしゃべりな一井のことをスズ子は「口が綿より軽い」と表現した。「半分、青い。」(2018年度前期)のヒロイン、楡野鈴愛(永野芽郁)もなかなかのおしゃべりで、その口の軽さが災いし、大騒動になったことがあった。そんな鈴愛を見た幼なじみの荻尾律(佐藤健)は「ほんとにお前の口は羽より軽いな!」と叱責したが、これを覚えていた一部の視聴者が、一井と鈴愛ではどちらが口が軽いかで盛り上がり、SNSに「そのフレーズは『鈴愛の口は羽より軽い』リスペクトやな」「一井さんは綿より軽くて、鈴愛は羽より軽い。綿の方が軽いから一井さん、口軽選手権優勝!おめでとう!」などのポストが寄せられた。
「ブギウギ」第11週のタイトルは「ワテより十も下や」で、これはスズ子と愛助の年の差(正確には9歳)を表現したもの。この年齢差は「まんぷく」(18年度後期)でも使われ、ヒロインの立花福子(安藤サクラ)とその夫、萬平(長谷川博己)の年齢差が10、福子の姪、神戸タカ(岸井ゆきの)と夫の茂(瀬戸康史)も10歳、年が離れていた。