NHK連続テレビ小説「おちょやん」の第60話が26日、放送され、天海一平役を演じた俳優・成田凌のセリフに多くの女性視聴者が胸キュン。この日の最後に描かれた主人公・竹井千代(杉咲花)と一平の抱擁シーンが大きな話題となり、ツイッターでは「おちょやん」がトレンドに入り、朝ドラファンからコメントが殺到した。
喜劇俳優で劇作家でもある2代目渋谷天外さんの妻で、松竹新喜劇の女優だった浪花千栄子さんの半生をモデルに、大正から戦後の激動の時代に女優の道をいちずに歩んだ女性の姿をフィクションとして描く同作は、この日が第12週「たった一人の弟なんや」の最終日。千代が弟のヨシヲ(倉悠貴)と10年以上ぶりの再会を果たしたが、最愛の弟はヤクザになっていたという衝撃展開が待ち構えており、ヨシヲは、仲間からの指示で、大阪・道頓堀の芝居小屋を牛耳る「鶴亀」を潰すため、千代たちが所属する「鶴亀家庭劇」が公演を行うえびす座に火をつけて逃げることを決心。だが、ギリギリのところで千代と一平が駆けつけ、マッチを擦ろうとしているヨシヲを千代が止めた。
裏ではすでに、鶴亀を潰そうと画策した連中と、鶴亀の社長、大山鶴蔵(中村鴈治郎)とのあいだで話がつき、指示を出した仲間はもうこの件から手を引いていた。ヨシヲを見捨てた連中を千代は「本当の仲間ではない」と説得するが、これにヨシヲは激怒。幼いころ、家を出て、お腹を空かせていた自分を救ってくれたのが彼らだったといい、「俺にはあの人らしかいてへんねん…」とつぶやいた。
そして、ヨシヲは自分を置いて出て行った千代を憎んでいた。今回の仕事は鶴亀を潰すことだけでなく、千代を引きずり下ろしたいという思惑もあったのだ。ヨシヲの言葉に驚く千代だが、それでも弟への思いは変わらず、これまでの困難もヨシヲのことを思ったから乗り越えることができた。自分をずっと支えてくれたのはヨシヲだったと訴えた。さすがのヨシヲもこの思いに揺れた。
ヨシヲはこれ以上いたら戻れなくなるといい、千代の前から去ることを決める。別れ際、千代は大事にしていた母の形見のガラス玉を渡しながら「今までウチが独り占めしてもうてたさかい、今度はあんたが守ってもらう番や。その代わり、いつか必ず返しに来るんやで。約束な」といい、ヨシヲの手をギュッと握った。
去っていくヨシヲの背中に「誰が何と言おうと、あんたはウチの自慢の弟や!元気でおって。どうか元気でな…」と語りかける千代。ヨシヲは振り返ることなく、千代の前から消えた。