元フジテレビアナウンサーで兵庫県姫路市の善教寺住職、松倉悦郎容疑者(73)が11日、同県警姫路署に器物損壊の疑いで現行犯逮捕された。結城思聞(ゆうき・しもん)の名で住職を務める松倉容疑者だが、長年鬱病を患っていたほか、認知症の疑いもあったというが、犯行との関連はあったのか。
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姫路署によると松倉容疑者は同日午後0時55分ごろ、善教寺近くの民家の駐車場に止めてあった男性会社員(26)の乗用車の前部に、鍵で約30センチの傷を付けた疑い。
現場周辺では8日以降、同様の被害が約50件発生していたため、同署員が警戒に当たっていたところ、松倉容疑者が車に手を伸ばして傷を付けていたため、その場で逮捕した。被害男性との面識はなかった。
松倉容疑者は当初、犯行を否認していたが、「しょうもないことをしてしまった。傷を付けてしまいました」と供述し、取り調べにも素直に応じているという。
1968年、フジテレビのアナウンサーとして入社した松倉容疑者は、93年に亡くなった逸見政孝さんと同期入社で、逸見さんの葬儀では弔辞を読んだ。2002年に退社すると僧侶に転身、06年から妻の実家である善教寺の住職となった。
松倉容疑者の妻は11日、サンケイスポーツの取材に「事情が分からない。長らく鬱病を患い、回復と悪化を繰り返していた。認知症ではないかとも医者から言われていた」と明かしている。
山野医療専門学校副校長で医学博士の中原英臣氏は「認知症でわけが分からなくなることはあるが、約50台の車に傷を付けているとすれば、意図的にやった可能性がある。鬱病や認知症の場合、万引などの行動に出ることもあるが、発症者だからといって、犯罪行為が多いわけではない。ただ、異常行動に出る可能性はあるので、周囲にいる家族などは、注意してみておくケアとサポートを心掛ける必要はある」と解説する。
善教寺のホームページをみると、「楽しくなければお寺じゃない!」をキャッチコピーに、ソフトボール大会やコンサートを精力的に開催するなど広く布教活動を行っていたようだが、まずは自らの行動に襟を正してもらう必要がある。