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2023.2.15

海洋プラごみ 日本郵船から寄贈


最新鋭分析装置 亀田研へ
寄贈式で亀田豊教授(右)に顕微ラマン分光装置の目録を手渡す日本郵船の筒井裕子執行役員
寄贈式で亀田豊教授(右)に顕微ラマン分光装置の目録を手渡す日本郵船の筒井裕子執行役員
 世界の海に広がり人体への影響も懸念されるマイクロプラスチックについて、本学は1月24日、海洋を共同調査している日本郵船(株)から、超微細なマイクロプラスチックを分析できる「顕微ラマン分光装置」を寄贈された。都市環境工学科の亀田豊教授の研究室では、すでにこの装置で汚染微粒子の組成などを自動分析する手法を確立しており、世界をリードする研究へ強力な味方となる。
 海洋には毎年800万トン以上のプラスチックごみが流入しており、2050年には海洋プラごみの重量が海中魚類の総重顕微ラマン分光装置量を超えると予想される。海中プラは半永久的に分解されず、紫外線や波浪の影響を受けて直径5_以下の粒子=マイクロプラスチックとなって海洋に留まり続ける。
 生物が体内に取り込むと、食物連鎖を通じて海洋生態系全体に広がり、やがて人体にも脅威を及ぼす。国連環境総会(UNEA)では昨年3月、14の決議が採択され、汚染抑制条約へ向けて政府間交渉も始まっているが、マイクロプラスチックがどの海域にどれだけ浮遊・蓄積し、年間どれだけ増え続けているのか、実測データが不足している。
 本学と日本郵船は、世界に先駆けて20年3月、主に5_以下のマイクロプラスチックの分布調査に協力する覚書を交わした。日本郵船は運航船を活用し、外洋の150カ所余の地点でマイクロプラのサンプルを採取。サンプルは亀田研究室でサイズ・分布濃度・経年などを分析し、世界海洋プラごみマップとしてウェブで公開している。
 亀田研では、顕微ラマン分光装置を用いて超微細プラスチックを自動分析する手法を世界で初めて確立。今回の装置寄贈で、環境中のマイクロプラの劣化評価も可能になり、プラスチックの代替物質開発に役立つと期待される。
 亀田教授は「数年後には大きな代替材料革命が表面化するでしょう」と指摘。「マイクロプラ削減は世界貿易や経済に劇的変化をもたらします。それには世界でまだ測定できない1マイクロメートル程度の微小なマイクロプラスチックの把握が鍵となります。本研究室は世界一の研究環境を整え測定技術も開発できました。国連や政府研究機関、企業とも協力しており、(この分野で)世界をリードする人材を輩出していきたい」と語っている。
顕微ラマン分光装置
 試料にラマン分光と呼ばれるレーザー光を照射し、発生する散乱光を高感度で検出、光の波長から物質の化学構造を調べる。超微細なマイクロプラスチックを分析するために不可欠とされる。
超微細なマイクロプラスチック
約20マイクロメートル(0.02ミリ)未満のマイクロプラスチック。写真は顕微ラマン分光装置で撮影した超微細ポリカーボネート。

SDGs取り組み支援


千葉興銀から本学に寄付
 SDGs(持続可能な開発目標)に取り組む本学に1月30日、(株)千葉興業銀行(梅田仁司頭取)から寄贈があった。「ちば興銀SDGs私募債」を発行する企業から同銀行が受け取る手数料の一部を、SDGsに取り組む団体や基金に寄贈しているもの。発行企業は安定資金を調達でき、SDGsへの取り組み姿勢もアピールできる。
 今回はMITホールディングス(株)(増田典久社長)と千葉窯業(株)(池田喜美夫社長)から「大学の教育研究に役立てていただきたい」との意向があり同銀行からの寄贈となった。
 1月30日、本学で寄贈式があり、瀬戸熊修理事長と、都市環境工学科の内海秀幸教授、橋本紳一郎准教授が出席して、私募債発行会社と千葉興銀から目録を贈呈された。
寄贈式で(右から)瀬戸熊理事長、MITホールディングスの増田社長、千葉興銀の深谷浩之津田沼支店長
寄贈式で(右から)瀬戸熊理事長、MITホールディングスの増田社長、千葉興銀の深谷浩之津田沼支店長
目録を贈られる(右から) 内海教授、橋本准教授と千葉窯業の池田社長、千葉興銀の金杉毅本店営業部長
目録を贈られる(右から) 内海教授、橋本准教授と千葉窯業の池田社長、千葉興銀の金杉毅本店営業部長

本学も参加 閉店を飾る


津田沼パルコにマッピング
PARCO壁面に映し出された「20年後の津田沼は――」
PARCO壁面に映し出された「20年後の津田沼は――」
 津田沼パルコ(JR津田沼駅北口)の閉店を飾るプロジェクションマッピングが昨年12月2、3日夜、同店の壁面を使って展開された。本学チームも参加し、最新テクノロジーで想像力豊かに未来の津田沼を表現した。
 同パルコは1977年7月に開業以来、45年間営業してきたが2月28日を最後に閉店。地域への恩返しと思い出に何か……と、パルコと地元商店経営者らで組織した実行委員会と、津田沼駅北口街づくり協議会がプロジェクションマッピングを企画し賛同団体が協力した。
 津田沼駅舎の屋上に大型プロジェクターを設置し、PARCO・A館の高さ30メートル、幅60メートルの壁面に投射。「中からタイムマシンが飛び出し、津田沼の過去から現在・未来を旅する」ストーリーが展開された。1920年代の津田沼駅周辺の映像から始まり、発展を振り返って現在へ。駅のペデストリアンデッキでダンスする若者たちや、八坂神社の祭りが映された。
 続くパート「20年後の津田沼は――」が本学の出番。1分程度を学生の視点で、と依頼され、デザイン科学科の二井辰也さんら6人チームが、風景の変化とともにバス停の路線図や信号・交通標識も動く標識に変化していく未来を表現した。
 二井さんは「全て津田沼駅周辺で撮影し、映像に出た場所が未来へどう変化していくかを体感してもらう作りにこだわった」という。
 本学は10秒CMの制作も担当。三澤柾文さんら院生・学生7人が「『抽象と具体の融合』『デジタルとアナログの融合』をキーポイントに、大学生活での成長を植物の成長に見立て、学内での出会いや経験を背景のポーリングアートで表現した」(三澤さん)という。
 二井さんは「約2カ月の短い期間でしたが、笑顔を生み出すクリエイターとしての貴重な経験ができて、有意義な時間でした」と話していた。
10秒CMで千葉工大をアピール
10秒CMで千葉工大をアピール
10秒CMで千葉工大をアピール
参加学生は次の通り(敬称略)。
 未来動画担当 ▽西田絢子研究室=二井辰也(デザイン科学科4年)、永藤響、狩野駿介、廣田桃佳(以上同学科3年)▽倉斗綾子研究室=佐々木陽加、二本松梨紗(同)
 CM担当 ▽稲坂晃義研究室=豊田仁美(デザイン科学専攻修士1年)、大元葵(デザイン科学科4年)、徳永龍之助、関口唯愛、福井浩乃(以上3年)▽小早川真衣子研究室=三澤柾文(知能メディア工学専攻修士1年)、吉田洵(知能メディア工学科3年)