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inter-edu’s eye
都内でも数少ない男女別学での教育を実践している国学院大学久我山中学高等学校(以下、久我山)。久我山では、男女がそれぞれ別校舎に分かれて学校生活を送っていますが、必要に応じて男女協働を進める教育も進めています。男女別学、協働を進めるメリットや効果はどういったものなのでしょうか。久我山の教育に迫ります。
男女別で学ぶ意義
久我山は昭和19年4月に創立され、当初は男子部のみでしたが、時代の流れに対応する形で女子部が設けられるようになりました。男女別学で学ぶ意義について、國清英明校長からお話しをうかがいました。
今、SDGsにおいてもジェンダー平等意識の啓発や女性のエンパワーメントの意識促進が求められています。そのような時代であっても、中学から高校における思春期の子どもたちに、男女の特性に沿った学習指導や生活指導を実践していくことは、物事をより深く議論し自立した思考を醸成していくうえで必要であると考えます。男女が同等であることを踏まえたうえで指導にあたることは勿論の事です。同じ敷地内に男女が生活している別学の体制は、身近にいる異性を互いに意識しながらも、同性の中で屈託のない意見交換が出来る環境にあります。
これまでも、またこれからもこの環境を活かしたジェンダー課題について取り組む下地が育成されると思っています。
社会が求めるグローバルな人材育成にあたって、私たちは「日本の文化や伝統を世界に発信できる」「ほかの国の文化や伝統を相互に尊重できる」ことが大切であると考えています。コミュニケーションを取るためのツールとしての英語力を確かなものにし、それを使ってフレンドシップを深められる人材の育成も不可欠です。
そのための土台作りとして、人間関係を作り上げていくうえで、まず必要となる「挨拶」の励行と、自分の考えをきちんと伝えることのできる発信力の育成に力を入れ、社会が求める人材を育てていきます。
男女それぞれの特性とは?
男子部長&女子部長対談
久我山は、男女の特性に応じた教育を進めています。その目的や特徴について、女子部長の横山聡先生と男子部長の大瀬裕司先生のお二人からうかがいました。
男女別学の狙いについて、お二人の考えをお聞かせください。
横山先生:元々男子部を担当していて、女子部に移りました。男女ともに国語を教えていて、それぞれの指導法があるということが分かりました。
女子は、積み上げ型で間違えたくないという気持ちが男子よりも若干強い。ですので授業も男子は問題を投げかけて反応を待ちますが、女子はヒントを出し話し合いながら答えを引き出す。女子の特性を生かした指導ができることは男女別学の大きなメリットではないでしょうか。
久我山生の特徴を男女別に教えてください。
大瀬先生:男子部に関しては、素直な心を持ちながら、勉強と部活動をしっかり両立させているという実感があります。
横山先生:女子部には日本の伝統文化を学ぶ特別講座があるのですが、何事も好奇心を持って取り組む生徒たちの姿があります。この講座を通して豊かな教養を育んで欲しいですね。
女子のキャリア教育だけは1年早く始まるようですね。
横山先生:これも女子の特性を活かしているからです。女子は男子に比べて、精神的に一歩先を歩んでいます。その一方で視野の狭さを感じることがありました。そこで、企業のトップの方から話を聞く機会を作り、多様な職業や働くことの意味を考えるなどして社会の仕組みを知る時間が必要だと感じ、中2よりキャリア教育を始めています。
大瀬先生:男子は良い意味での競争心を保ちながらお互いを高め合っています。仲間でありながらライバルでもある同級生が高い目標を掲げている様子を見ながら、自らを奮い立たせて勉強に勤しむ姿はたくましさを感じます。
男子部・女子部それぞれのユニークな取り組みはどんなものがありますか。
大瀬先生:男子部ならではの取り組みといったら武道ですね。週に1時間、中高の6年間を通して、柔道や剣道から礼儀の大切さを学びます。
さらに年に1度、東京武道館を貸し切って大会を開きます。下級生が準備・片付け・運営を担当し、高3が競技に出場します。勝ち負けだけに限定されず相手を思いやる精神を身につけること、礼儀を知ることを目的としています。
横山先生:女子部は先ほども述べた特別講座があります。中学では華道や茶道、高校では能や日本舞踊を年間を通して学びます。感受性豊かな時期に豊かな感性と教養を身につけてほしいという思いで指導にあたっています。日本文化を知り、それを次世代に伝えられる女性になってほしいですね。
久我山生となった生徒たちにはどのような大人に育ってほしいでしょうか。
大瀬先生:主体性と他を思いやる気持ちを持った誰からも信頼される人間に育ってほしいですね。そのためには教員が「やらせる」のではなく、「自分で考えて行動する」ことができるよう導いていきたいです。
横山先生:社会に出るための礎を築くことを堅持しつつ、主体的に学ぶことを通して礼儀正しくかつ豊かなコミュニケーション力を持った大人になってほしいと思います。そのために、我々も一丸となって努力していかなければならないと考えています。
英語で数学を学ぶ
「Math In English」
久我山では、男女一緒に英語で数学の授業を行う教科横断型の特別授業を実施しています。生徒は、四則計算や合同、相似など中学レベルの数学講座をネイティブの先生から英語で受講します。合同の証明は英語で書き、ステージ上での発表も英語だけで行います。
参加した生徒に質問「久我山はどんな学校?」
「Math In English」に参加した中2の女子生徒から、講座の感想や男女別学、学校での過ごし方についてお聞きしました。
先ほどは講義を受けていかがでしたか。
Hさん:昨年までは分からない英単語があったのですが、今年になってその意味が理解できるようになってきました。1年間、頑張って英語を勉強してきた結果が実感できて、とてもうれしかったです!
Nさん:久我山の先生方は勉強の面倒見が良いんですよ。おかげで英語の聞き取りにも自信がついてきたかな。CCクラスを選んで本当に良かったです。
久我山での学校生活はいかがですか。
Hさん:男女別学なので普段は女子だけで過ごすのですが、それはもう、笑いの絶えない毎日で楽しいです。体育祭や文化祭のような行事では、男子と一緒に協力して準備を進めることもあるので、時々は共学の雰囲気も味わうことができますよ。
Nさん:とにかく毎日が楽しいです。個性豊かな先生が多くて授業は面白いですし、部活動もしっかり取り組める素敵な学校だと思います。授業体験や説明会でみんなの過ごし方を見てほしいですね。
男女協働で生まれる可能性
男女別学を進める中で、男女一緒に参加する行事や授業もありますが、その狙いについて教えてください。
大瀬先生:これからの時代は、主体性・協働性・多様性を伸ばす教育を進めていく必要があります。そういった力を備えた生徒に育てるためには、男女一緒の場面を作る機会も欠かせなくなってきました。実際に、男女一緒に作業することで大きな力を発揮しています。
横山先生:女子にとっては大きな刺激になっているようです。中学入学当初は、男子を引っ張って先導していた女子が、高2ぐらいになってくると、成長した男子のたくましさに気づきます。ある意味、別学ならではといえるかもしれません。
大瀬先生:高い目標を諦めずに受験勉強する男子の姿勢に刺激を受けて、同じようにトップ校にチャレンジする女子も増えているという嬉しい話もあります。
先生方から見た久我山生の良いところを一言で表すとどうでしょうか。
大瀬先生:真面目で一生懸命な点が、男女に共通していると感じます。何事にも誠実に取り組む姿勢や、相手に感謝の心を持って行動できる点は、久我山生ならではの美徳だと強く思いますね。
横山先生:5分前行動や挨拶の徹底など、当たり前のことをきちんとできるのが久我山生。だからこそ、社会に出た際には当たり前にマナーを守り、必要なコミュニケーションを確実に取ることができます。卒業する頃には、大人に必要とされる教養を身につけています。
男女が一緒に参加した過去の取り組みを一部抜粋しました。
イベント日程
中学校 学校説明会日程
授業体験 in Kugayama | 2019年7月28日(日) 9:00~13:00 |
第1回夏休みミニ説明会 | 2019年8月3日(土) 10:00~11:00 |
第2回夏休みミニ説明会 | 2019年8月10日(土) 10:00~11:00 |
第3回夏休みミニ説明会 | 2019年8月24日(土) 10:00~11:00 |
第4回夏休みミニ説明会 | 2019年8月28日(水) 19:00~20:00 |
高等学校 学校説明会日程
第1回夏休みミニ説明会 | 2019年8月3日(土) 13:00~14:00 |
第2回夏休みミニ説明会 | 2019年8月10日(土) 13:00~14:00 |
第3回夏休みミニ説明会 | 2019年8月24日(土) 13:00~14:00 |
第4回夏休みミニ説明会 | 2019年8月28日(水) 13:00~14:00 |
第5回夏休みミニ説明会 | 2019年8月28日(水) 15:30~16:30 |
大瀬先生:久我山は元々男子校だったということもあり、男子校の校風や伝統が残っています。礼に始まり礼に終わる武道を6年間正課に採り入れているのもその1つです。男子だけの世界で競争意識を刺激しながらお互いを高め合っていけるよう促すのが教員の務めだと考えています。