テーマ2環境 自然とともに生きる

18弥生のまつり

むかしの人にとって、お祈りをすることは、お米をつくったり、道具をつくったりするのとおなじように、生きてゆくうえで必要不可欠なものでした。弥生時代のおまつりの中で一番大切なものは、豊かなみのりがもたらされることを祈るおまつりでした。農耕にともなうおまつりは弥生時代になって、米作りとともに伝わったものです。

おまつりには様々な道具が使われました。その代表的なものが銅鐸(どうたく)です。銅鐸は青銅でできた鐘です。表面には幾何学的な文様がほどこされています。神戸市桜ヶ丘(さくらがおか)遺跡から出土した銅鐸には、働く人の姿や鳥、亀など動物の姿が描かれています。銅鐸は朝鮮半島にあった小さなベルから発達した、日本列島独自の青銅器(せいどうき)であり、近畿地方を中心に分布しています。当初はまつりのときに打ち鳴らされ、神々しい金属の音を響かせる道具でしたが、次第に銅鐸そのものが神の霊力の象徴として崇拝の対象となりました。

音を鳴らし聞くための銅鐸から、仰ぎ見る銅鐸への変化に伴い、打楽器としての機能を失った銅鐸は巨大化し、1mをこえるものもあらわれます。このような銅鐸も、弥生時代の終わりころになると、お墓を舞台として祖先の霊をまつるという、新しいタイプのおまつりが広まるとともに使われなくなり、最後は破壊されたり、土の中に埋められたりしてしまいました。