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FEATURE
葵わかなと恒松祐里が話す、6年前と6年後のわたしたち。
路地裏てぃーん。特別編

葵わかなと恒松祐里が話す、6年前と6年後のわたしたち。

2016年にスタートした「路地裏てぃーん。」は、これまで77人もの蒼き才能を秘めた10代の若き表現者にフォーカスしてきました。今回の主役である葵わかなさんは1人目に、恒松祐里さんは4人目に登場した経緯があります。そして、二人は映画『くちびるに歌を』での初共演以来、無二の親友でもあります。そんな彼女たちに聞いたのは18歳の過去、24歳を迎えた現在、そして30歳の未来について。友達だから話せる、あんなことやこんなこと。

  • Photo&Styling_Yu Sugiura
  • Hair&Make_Yoko Fuseya(ESPER)
  • Edit_Shun Koda

PROFILE

葵わかな
あおいわかな

1998年6月30日生まれ。神奈川県出身。2009年に女優デビュー。以降、テレビドラマ、映画、CM、ナレーションなど幅広く活動。2015年に映画『くちびるに歌を』で、恒松祐里と初共演。2017年には連続テレビ小説『わろてんか』(NHK)で、ヒロイン・藤岡てん役を演じた。2019年にミュージカル『ロミオ&ジュリエット』で初舞台&初ミュージカルに挑み、舞台にも活躍の場を広げる。最近の主な作品にドラマ「三千円の使いかた」(東海テレビ)や2夜連続スペシャルドラマ「キッチン革命」(テレビ朝日)の主演が控える。
Instagram:@aoiwakana0630
Twitter:@AoiWakana0630

PROFILE

恒松祐里
つねまつゆり

1998年、東京都生まれ。2005年『瑠璃の島』(日本テレビ)で子役としてデビュー。映画『凪待ち』で、おおさかシネマフェスティバル2020新人女優賞を受賞。主な出演作にドラマ『真田丸』、『おかえりモネ』(ともにNHK)、『ザ・トラベルナース』(テレビ朝日)、『全裸監督 シーズン2』、『今際の国のアリス シーズン2』(ともにNetflixシリーズ)、舞台『ザ・ウェルキン 』、『きさらぎ駅』で映画初主演。ドラマ『リバーサルオーケストラ』(日本テレビ)にレギュラー出演中。
Instagram:@yuri_tune
Twitter:@Yuri_Tsunematsu

物事に対する矢印の太さが、ほとんど一緒。

二人が出会ったのは、初共演作でもある『くちびるに歌を』の撮影現場。長崎県・五島列島で過ごした1カ月半におよぶ撮影期間。女性キャスト8人が一部屋で過ごした長いようであっという間に過ぎていった時間が、彼女たちの絆を固いものにしていったそうです。でも、「ここまで深い仲になるとは思いもしなかった」と声を揃えるのはどうしてだろう。

恒松:最初に声かけたのって、どっちからだっけ? 覚えてないけど、きっと私だよね?

葵:絶対そうだよ。私は自分から話かけられるタイプじゃないし(笑)

恒松:私が演じたのは部長の役っていうこともあったので、みんなをまとめなきゃと思って一番最初にみんなに声かけてたと思います。わかなはわかなで指揮者の役だったから、私とは別の立場でまとめていたけど。

葵:そうだったね。中学、高校生くらいの男子女子が集められたから、最初はもじもじしていて、全然話せなかったんだよね。たしか最初が合唱練習だったから、余計に緊張してたのかも。

恒松:みんな、最初は固いもんね。

葵:そしたら、会ったばかりの頃に「しりとりしよう、英語で!」って祐里が突然言い出して。「なんだこの人は……、しかもしりとりのハードルが高い!」って思った(笑)

恒松:全然覚えてない(笑)

葵:英語しりとりが難しすぎて、誰も上手くできてなかったんだけど、それをきっかけにみんなと仲良くなれたはず。だから祐里のおかげ。

恒松:きっかけはそうかも。だけど、日々の積み重ねで絆ができてきたんだろうね。

葵:『くちびる』のメンバーは今でも男女関係なく仲良くて一生の仲間って感じです。

『くちびるに歌を』の撮影から数年後。恒松さんはとあるインタビューで“あの時出会って良かった人”の名前に、葵わかなさんを挙げています。それに続くように「私たちは凸凹な性格」と表現しますが、どういったところがそうなのでしょうか。

恒松:わかなとは、いまでこそ親友って感じだけど、最初はこんなに仲良くなれるとは思ってなかった。

葵:私もそう思ってた。私たち正反対の性格だもんね。

恒松:うん、真逆。ほんとに凸凹って感じ。わかなは一直線に深く深く考えて、自分でちゃんと結論を導き出すためにもがくタイプ。逆に私は結構軽い(笑)。これでも前よりは深く考えるようになったつもりだけど。だから、そういうひとつのことを極めて自分と戦っている姿勢はすごいなって思うんです。

葵:えー、うれしいな。祐里の尊敬しているところは、まず人柄。世間話が上手で、誰とでもすぐに仲良くなれるんです。私は初対面の人と何を話したらいいかわからなくなるから、うらやましい。ムードメーカーになって私をいろんな人たちと引き合わせてくれるんです。

恒松:違う性格だからこそ、お互い別のいいところを持っているんだろうね。わかなを一言で表すと“芯が強い”かな。

葵:うんうん。

恒松:心にちゃんと一本の幹があるんです、わかなには。それがあるからこそ曲げるのも難しかったりとかするんだろうけど。ね?(笑)

葵:おっしゃる通り(笑)

恒松:でもそれがわかなの良さでもあって。私は誰にでも合わせにいけちゃうタイプだから、ぐにゃぐにゃ。わかなはピシッと地に足ついてるから、その芯の強さが武器だし、本当に凛として素敵だなって思うの。

葵:祐里はぐにゃぐにゃというか、“しなやか”なんだよ。すごく柔軟性があるからいろんな役ができるし、どこに行っても自分の役割を全うできるんだと思う。プライベートでもすごくしなやかで、誰とでもすぐ仲良くなれるところを尊敬してる。

恒松:バレエやってたから、身体もしなやかだからね。

葵:そうだね(笑)。でもさ、歳を重ねていくうちに、だんだん私たち似てきたと思うんだけど、そんなことない?

恒松:んー、似てきたっていうか歩み寄ってきたのかな? お互いの違いがわかってるから、「ここ直してほしいな」って思うところも一つもない。

葵:ないよね。性格は正反対なんだけど、大切にしてるものの規模感が一緒って感じがする。大きいものを求めずに、身近なもので幸せを感じていたい、みたいな。

恒松:そうだね。趣味も全然違うし、好きになるものも違うんだけど、お互い好きなものにかける熱量は一緒みたいな。物事に対する矢印の太さが、ほとんど一緒なんだと思う。

葵:矢印の太さが一緒か。ほんとそうだね。

恒松:私たちは陰と陽っていうか、色に例えると暖色と寒色みたいな。正反対なんだけど、相性のいい色をしてるんだと思います。そういうイメージがあるからこそ、今回杉浦(優)さん*に撮ってもらった写真は、普通だったら私がピンクで、わかなが青を選ぶところ、お互いのイメージを逆にして撮ってもらったんです。

*今回のスタイリングと撮影や『路地裏てぃーん。』も担当しているスタイリスト。

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