好漁場としても名高い玄界灘が自慢の博多では、当然のことながら魚グルメが強い。高級店がまぶしい中洲でも、話題の店が立ち並ぶ天神でも、魚料理自慢の名店がしのぎを削っていますが、今回ご紹介したいのは大衆系。しかも“佇まい”を含めておいしい穴場があると聞きつけ、どんなお店なのかをリサーチいたします。
おっと、申し遅れました。
博多のグルメ侍……とか言われてみたい、攻めのグルメ案内人……とか言われてみたい、メシ通レポーターのマツータケシです。
さてさて、どこにあるのかその穴場? ということで、「うまか魚のことは、歴史ある魚屋さんに聞こう!」と、訪れたのは「柳橋連合市場」。良質にこだわる魚料理店の多くが買い付けにくる “博多の台所”です。
こちらが「柳橋連合市場」の入り口。
天神からも博多駅からも西鉄バスを利用して10分ほどにあるので、アクセスも良いです。
全長100mほどあるメインの通り。通路を挟んで、鮮魚店をはじめ、青果店や食肉店など50軒ほどの小売店が並んでいます。
「安かよ! おいしかよ! 」「ちょっと寄っていかんね!!」 。威勢の良い博多弁が、方々から聞こえてきて、いつ訪れても賑やかです。
「安い・うまい・新鮮」の三拍子が揃う「柳橋連合市場」は、1918年頃に那珂川にかかる柳橋のたもとで鮮魚商人が魚を売り出した際に、「柳橋廉売市場」と名付けられたのがはじまりとされる歴史ある市場です。その後、様々な商店が出店し規模が拡大したことから、各店舗をとりまとめて「柳橋連合市場」と称するようになったとのことです。(「ちょっと、博多んことば知っちゃらんね情報」でした〜)
福岡市内の料亭や料理店、ホテルなどに卸す食材が7割~8割を占めるほど、食材の質には絶大なる信用があり、まさに名実ともに博多っ子の胃袋をつかむ台所。「博多は魚がうまいね」とほめてくださる県外のみなさま、福岡のおいしい魚はここに集まっているんですよ。もちろん一般の方も気軽に買い物を楽しめるので、ぜひ足を運んでみてください。
と、ここで食堂の提灯を発見!!
うまい魚を食わせてくれる穴場の食堂のリサーチに訪れただけなのに、まさかの一発ビンゴか!? ……なんて茶番はさておき。
この「吉田鮮魚店」が営む「柳橋食堂」が、目的の“穴場食堂”です。
赤提灯が目印のお店です。
ということで、まずは、「吉田鮮魚店」のことを少しご紹介。
創業50余年になる鮮魚店で、毎朝50種近く(※時季によっては異なる)の旬の魚介類が揃っています。毎日休むことなく、市内の料亭やホテルなどに美味しい魚を届ける名店です。
早朝から夕方遅くまで、一尾一尾丁寧に魚をさばいています。
店頭にあるショーケースには、刺身や天ぷら、煮物などがずらり。テイクアウトすることができ、どれもお財布ニッコリお手頃価格です。
その「吉田鮮魚店」の2階にあるのが今回のお目当「柳橋食堂」。
鮮魚店ならではのおろしたての海鮮料理をお値打ち価格で味わうことができる、穴場食堂なんです。
メニューは、一階の壁一面に書かれていますので、チェックしておいてください。
大トロ丼(1,650円)、いくら丼(1,050円)、国産生うに丼(2,500円)、ごまあじ丼(1,050円)などの丼ぶりメニューから、刺身定食(880円~)、寿司定食(880円~)、天ぷら定食(880)などの定食メニューまで、さまざま。昼からお酒を楽しむことができ、肴として、たい、いか、車海老、とらふぐなどの刺身メニューや、ふぐ唐揚げなどの一品メニューも多く揃っています。
とまあ、単品や定食などのメニューが多彩にそろっているのですが、ビギナーにも常連さんにも絶大な評判を誇るのが、この店の名物「海鮮丼(670円)」。
670円は安いです。「魚があんまりのっとらんとやなかですか?」なるツッコミもあるそうですが、いえいえ、次の写真ば見てごらんなさい。
厚めのタイ、イカ、マグロ、ブリ、サーモンの切り身を博多特有の甘めのお醤油で作った、特製のごま醤油ダレにさっとくぐらせて、ご飯の上に!
刺身が多すぎて、ごはんが見えません。
疑ってすいませんでした。
あらためまして、安すぎます!! とびっくり仰天です。
しかも、こちらの海鮮丼、好みに合わせてさらにグレードアップができるのだとか。
たとえば、「極上海鮮丼 いくら入り(1,120円)」「極上海鮮丼 うに入り(1,220円)」「デラックス いくら・うに入り(1,540円)」などなど。ついついこちらの丼ぶりにも心が奪われちゃいます。
てことで、ドドーン!
トロ~っととろける濃厚なウニと、プチっと弾けるいくらがふんだんにのった、デラックス海鮮丼(1,540円)です。
気になるお味は……やっぱしウマい!!
そりゃそうか。鮮魚店で取り扱う新鮮な食材を使っているんだもの。しかも注文が入ってから調理してくれるんだもの。見た目も味も輝きまくってます!
そして、さらにもう一品という人には……、あらだき、唐揚げ、てんぷら、焼き魚などが付いたセットメニューもあるんです。
- Aセット:ミニ海鮮丼、あらだき、汁、つけもの(750円)
- Bセット:海鮮丼、フライor唐あげ、汁、つけもの(900円)
- Cセット:海鮮丼、焼き魚、汁、つけもの(900円)
と、どれもお値打ち価格で満足すること間違いなしですが、数量に限りがありますのでお早目に。
ということで、続いての写真は、Aセット:ミニ海鮮丼、タイのあらだき汁、つけもの。
醤油味が骨までしみています。サイズも大きくて身もたっぷりついているから、食べ応えもあります。
ちなみにこの日は取材ということで、2杯の海鮮丼をいただきましたが、魚が新鮮ゆえ実に美味で、ペロッと完食しちゃいました。味噌汁もついてのこのお値段に満腹満足でした。
最近では、国内外からの観光客も増えているそうで、「そら納得ですよ」なクオリティー。
そして昭和なムードが漂うお店には、飾らぬ良さがあり、それがおいしさをより一層底上げしてくれる気がします。
下の写真を見てください。
まるで少年のようなピースができるご主人が営むお店です。
それだけで惹かれるでしょ!
御年80歳!! 鮮魚店一筋65年の吉田精一さんがお出迎えしてくれます。
お店情報
吉田鮮魚店内 柳橋食堂
住所:福岡県福岡市中央区春吉1-10
電話:092-761-1811
営業時間:11:00~16:00
定休日:日曜日・祝日
※本記事は2016年4月の情報です。
※金額はすべて消費税込です。