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兼六園は、偕楽園や後楽園と並ぶ日本三名園のひとつ。歴代の加賀藩主によって作られた、加賀百万石の様子がうかがえる庭園です。そして、兼六園とゆかりがある金沢城は、加賀藩主だった前田家の居城です。このページでは、兼六園と金沢城の歴史や見どころをご紹介します。

安賀川 国光と桃原 ふね
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兼六園と金沢城

兼六園と金沢城

兼六園は、偕楽園や後楽園と並ぶ日本三名園のひとつ。歴代の加賀藩主によって作られた、加賀百万石の様子がうかがえる庭園です。

四季それぞれの美しさを感じられる兼六園では、桜や紅葉、雪景色などが楽しめる他、定期的なライトアップイベントや、中秋の名月に合わせた特別開園、ホタルの鑑賞会なども開催されています。また兼六園には多数の茶屋があり、抹茶やお団子に舌鼓を打ったり、加賀の郷土料理などをランチで食べたりすることも可能です。

このページでは、兼六園だけでなく、加賀藩主だった前田家の居城で、兼六園とゆかりがある金沢城についてもご紹介。兼六園・金沢城の歴史と見どころや、開園時間や入場料といった基本情報について詳しく説明しています。

兼六園の歴史

兼六園

兼六園は1676年(延宝4年)、加賀藩第5代藩主・前田綱紀(まえだつなのり)が別荘地のまわりを庭園にしたのがはじまりと言われています。この地の呼称は「蓮池庭」(れんちてい)が一般的ですが、作庭当時は「蓮池の上御露地」(はすいけのうえおろじ)と呼ばれており、客人の接待や宴会を楽しむ場として使われていました。

蓮池庭は1759年(宝暦9年)の火災で被害を受けたため、加賀藩第11代藩主・前田治脩(まえだはるなが)が再建を開始。1774年(安永3年)には翠滝(みどりたき)、茶亭・夕顔亭、1776年(安永5年)には内橋亭を築きました。

1822年(文政5年)、加賀藩第12代藩主・前田斉広(まえだなりなが)は敷地の中央部に約4,000坪もの竹沢御殿を完成させます。この頃、老中・松平定信は、この地を宏大(こうだい)・幽邃(ゆうすい)・人力(じんりょく)・蒼古(そうこ)・水泉(すいせん)・眺望(ちょうぼう)の6つの景観を兼ね備えているとして、「兼六園」と名付けました。

さらに加賀藩第13代藩主・前田斉泰(まえだなりやす)は竹沢御殿を解体。霞ヶ池を拡張したり木を植えたりと手を加えていきました。

1985年(昭和60年)に国の特別名勝に指定された兼六園は、取り壊されていた時雨亭(しぐれてい)、舟之御亭(ふなのおちん)が2000年(平成12年)に再現されるなど、整備がなされています。

兼六園の見どころ

兼六園には見逃せないスポットが多数あります。なかでも代表的な見どころをご紹介しましょう。

徽軫灯籠(ことじとうろう)

兼六園の徽軫灯籠・虹橋

兼六園のシンボルが徽軫灯籠です。足が二股に分かれた高さ2.67mの燈籠で、前にある虹橋を琴に見立てると、琴の糸を支える琴柱(ことじ)に見えることから、この名が付けられたと言われています。

徽軫灯籠は兼六園での定番フォトスポット。虹橋と横のモミジの木が織りなす光景はとても美しく、写真撮影に行列ができることもあります。

霞ヶ池・瓢池(ひさごいけ)

兼六園の瓢池

霞ヶ池は兼六園内最大の池です。徽軫灯籠や栄螺山(さざえやま)、唐崎松(からさきのまつ)などがまわりに配されていて、巡ると四季折々の姿が楽しめるように工夫されています。

また翠滝や海石塔、枝垂桜が位置する瓢池は、兼六園の作庭がはじめられたと伝わる池。ひょうたんのような形をしていることからこの名前が付けられました。

兼六園は永遠の生命を求めるという「神仙思想」を基本にして作られており、海を模した池に不老不死の仙人が住むと伝わる島を設けています。そのため前田斉泰は霞ヶ池に蓬莱島、前田綱紀は瓢池に神仙島を浮かばせました。藩主たちの長寿・長く続く繁栄への思いをうかがい知ることができます。

唐崎松

雪吊りされた唐崎松

兼六園のなかで最も見事な枝ぶりを誇る松です。前田斉泰が近江八景・琵琶湖畔の唐崎松から種を取り寄せて育てました。

金沢市では雪の重みで木の枝が折れないよう、縄で枝を吊り上げる「雪吊り」作業が行われますが、この作業は兼六園の唐崎松からスタートします。円錐形の美しい姿は冬の訪れを告げる風物詩です。

根上松(ねあがりのまつ)

根上松

前田斉泰が植えたと言われている高さ約15mの松です。40本以上もの根が地上にせり上がっている姿は迫力満点。これは土を盛り上げた場所に植えられて、成長したあとに土がのぞかれたからだと伝わっています。

「根上」が「値上がり」と通じていることから、商売や株にかかわる人たちに人気です。

雁行橋(がんこうばし)

雁行橋

雁行橋は11枚の石が使われた、雁が列をなして飛ぶ姿に似ている橋です。各石が亀の甲羅の形をしているため、別名は「亀甲橋」。また地元の人々には「かりがねばし」とも呼ばれています。

石が擦り減ってしまったので、保護を目的に通行が禁止されていますが、かつては渡ると長生きすることができると伝わっていました。

黄門橋(こうもんばし)

黄門橋

長さ6m・幅1mの橋で、1枚岩でありながらも、横から見ると2枚であるかのように独特の工夫がなされています。

「黄門」とは官位である「中納言」のこと。中納言だった加賀藩第3代藩主・前田利常(まえだとしつね)に由来して名付けられました。

近くには日本で初めて作られたと伝わっている、約3.5mの噴水があります。

曲水(きょくすい)・花見橋

兼六園の曲水と花見橋

兼六園内には、約570mもの「曲水」が巡らされています。曲水とは曲がりながら流れる小川のことです。

花見橋は、橋から望む四季折々の花々の景観が美しいことから名付けられた橋。花見橋の周辺には、曲水に沿って桜やカキツバタ、ツツジなどが植えられており、なかでもカキツバタが咲き誇る景色は、兼六園の名物のひとつで、花以外にも紅葉や雪景色なども楽しめます。

兼六園菊桜(けんろくえんきくざくら)

兼六園菊桜

兼六園菊桜は、ひとつの花に300枚以上の花弁を付ける珍しい品種の桜。菊の花のような咲き方から、「兼六園菊桜」と呼ばれるようになりました。

花が散るときには、花の形のままに落ちます。4月下旬から5月中旬まで咲き、濃紅色から白色へと色の移ろいが見られるのが特徴です。

鶺鴒島(せきれいじま)

鶺鴒島

人生の3儀式を表した島です。正面に鳥居があり、その奥に誕生を表す陰陽石、結婚を表す相生の松、死を表す五重の石塔が置かれています。

鶺鴒島」という名前は、イザナミ・イザナギが鶺鴒から男女和合の方法を教えられたことが由来。石碑には「和合長寿」を詠んだ和歌が刻まれており、カップルにおすすめのスポットです。

兼六園にはこの他にも、兼六園三名石である獅子巌・虎石・龍石、200本の梅が植えられている梅林、紅葉の隠れスポットでもある山崎山など、見どころがたくさんあります。

兼六園とかかわりのある城・金沢城

金沢城」は加賀前田家の居城。加賀前田家には、兼六園の作庭をはじめた前田綱紀や、兼六園を拡張・整備した前田斉泰たちがおり、兼六園と金沢城には深いつながりがあります。

こちらでは、そんな金沢城についてご紹介していきましょう。

金沢城の歴史

金沢城・五十間長屋

金沢城は1583年(天正11年)に「前田利家」が本格的な築城を開始した城で、明治維新まで前田家が14代城主を務めました。1602年(慶長7年)、落雷により天守が焼失。このあと天守は再建されることなく、本丸に三階櫓、二の丸に御殿が作られました。

何度も火災に見舞われた金沢城は、大半の建造物がなくなってしまっています。1996年(平成8年)に金沢城公園として公開され、2001年(平成13年)には資料をもとにして、菱櫓(ひしやぐら)・五十間長屋(ごじっけんながや)・橋爪門続櫓(はしづめもんつづきやぐら)が復元されました。

さらに2020年(令和2年)には、金沢城西側の玉泉院丸と金谷出丸を結んでいた鼠多門橋(ねずみたもんばし)と鼠多門(ねずみたもん)の復元・整備が完了しています。

金沢城の見どころ

金沢城・菱櫓

金沢城には多くの見どころがあります。

まず復元された菱櫓です。菱櫓はもともと、城の表側・裏側を見張る役割を果たしていました。「菱櫓」の名の通り、ひし形をした建物で、柱もすべてひし形となっています。

同じく復元された五十間長屋は武器庫として使用されていた建物。菱櫓と橋爪門続櫓を結んでいます。釘やボルトを使わない方法で復元されていますが、耐震性に優れているのがポイントです。

石川門の鉛瓦と海鼠壁

兼六園と向かい合う石川門は、金沢城の裏門。江戸時代の姿のまま残っており、国の重要文化財に指定されました。この石川門や五十間長屋などには、瓦に鉛板が使用されており、雪のように白く見えます。

金沢城は、平瓦を白漆喰でつなぎ合わせた「海鼠壁」(なまこかべ)も見どころ。あまり他の城で見ることができない海鼠壁は、菱櫓・石川門・五十間長屋などで使われています。また鼠多門にも海鼠壁が使われていますが、黒漆喰で仕上げられている点が他の建物と異なる特徴です。

金沢城の石垣

さらに金沢城の石垣は、全国的に珍しいほど種類が豊富。加工されていない自然石を積み上げる「野面積」(のづらづみ)、石を加工して野面積より高く積み上げる「打込接」(うちこみはぎ)、さらに技術が発展して登場した、石同士を隙間なく積み上げる「切込接」(きりこみはぎ)を見比べることができます。

兼六園で季節を楽しむ

兼六園の春

兼六園では3月頃から梅林の梅の花が咲き、4月になるにつれて徐々にも咲き始めます。桜は兼六園のいたるところに植えられており、その数は約40種400本以上。開花時期も種類によって異なるので、長い期間桜が楽しめます。5月になるとツツジやカキツバタが咲き誇り、特に花見橋からの眺めがおすすめです。

夏の兼六園では曲水翠滝、泉・金城霊沢といった水にかかわりのあるスポットが人気。清らかな水から涼しさが感じられます。

兼六園の紅葉

兼六園では11月が紅葉の見頃。10月から木々が色づきはじめ、兼六園内の様々な場所が紅葉スポットとなります。

11月から12月中旬にかけて、兼六園内で見られるのが冬の風物詩・雪吊り。特に縄に雪が積もった様子は類がないほど美しいです。兼六園の冬は、雪と氷の水墨画のような世界や空気が良く澄んだ清浄な雰囲気が楽しめます。

兼六園の雪吊りライトアップ

また兼六園では、季節ごとのライトアップイベントを開催。満開の桜や紅葉が照らされる様子が味わえます。

2月の兼六園で見逃せないのは、雪吊りとライトアップの幻想的なコラボレーション。金箔のような黄金色のライトアップで、特に雪が乗っている姿はとても美しく、絶景です。

兼六園と金沢城の開園時間・入場料・アクセス方法

ライトアップされた兼六園

兼六園・金沢城の開園時間や入場料、アクセス方法、駐車場の有無などについてご紹介します。

兼六園・金沢城の開園時間

兼六園・金沢城ともに開園時間は3月1日~10月15日は7~18時、10月16日~2月末日は8~17時。また兼六園・金沢城は、時期によって開園時間は異なるものの、早朝ならではの雰囲気が堪能できる早朝開放も行っており、この時間帯の兼六園の入場料が無料となっています。

兼六園・金沢城の料金(個人)

兼六園の入場料は大人(18歳以上)が320円、6~18歳未満が100円。金沢城の入場料は無料ですが、菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓・橋爪門に入場する際は、兼六園入場と同じ入場料がかかります。

また兼六園は年末年始期間(12月31日~1月3日)、観桜期の1週間、金沢百万石まつりの期間、お盆期間、金沢城・兼六園ライトアップの日は無料開放期間で、入場料がかかりません。

兼六園プラスワン利用券」(500円)も販売されており、この券を利用すると、兼六園に加えて兼六園周辺にある6つの文化施設のうち、ひとつに入場することができます。

兼六園・金沢城へのアクセス方法

兼六園と金沢城は隣接しています。

車で訪れる場合は、北陸自動車道・金沢西ICより約30分、北陸自動車道・金沢東ICより約30分、北陸自動車道・金沢森本ICより約20分です。近くに駐車場は2つあり、「兼六園駐車場」には482台、「石引駐車場」には370台の普通車が停められます。

電車を利用する場合は、東京方面からは北陸新幹線、関西地方からは特急サンダーバード、東海地方からは特急しらさぎでアクセス可能。JR金沢駅の兼六園口から「兼六園シャトル」「城下まち金沢周遊バス」が毎日運行しており、毎週土曜と特別運航日には、金沢城をはじめライトアップスポットをまわる「金沢ライトアップバス」が走っています。

施設詳細

兼六園

所在地 石川県金沢市兼六町1
電話番号 076-234-3800
施設詳細 https://www.homemate-research-tour.com/dtl/00000000000000253667/

金沢城

所在地 石川県金沢市丸の内1-1
電話番号 076-234-3800
施設詳細 https://www.homemate-research-castle.com/dtl/00000000000000251469/

兼六園と一緒にまわりたいスポット

兼六園近くの、歴史が感じられる観光スポットをご紹介します。

成巽閣(せいそんかく)

成巽閣

成巽閣は前田斉泰が母親のために作った隠居所です。優しいイメージの御殿で、色彩の豊かさが特徴となっています。

華麗な「謁見の間」、群青色の天井と朱色の壁の「群青の間」、柱のない縁側から眺望でき、松やドウダンツツジなどが配された「つくしの縁庭園」などが見どころ。また前田家ゆかりの工芸品や資料などを所蔵しており、年間を通じて行われるイベントで公開しています。

【施設情報】

施設名 成巽閣
所在地 石川県金沢市兼六町1-2
電話番号 076-221-0580
アクセス 「成巽閣前バス停」下車 徒歩1分
施設詳細 https://www.homemate-research.com/dtl/00000000000000254908/

石川県立歴史博物館

石川県立歴史博物館

かつて陸軍の兵器庫として使われていた、赤レンガの外観の博物館です。2015年(平成27年)には、「いしかわ赤レンガミュージアム」に愛称が決定し、リニューアルオープンしました。

常設展示は「石川の歴史と文化」がテーマ。原始時代から近現代まで石川の歴史を知ることができ、特に近世の「加賀藩の政治と文化」コーナーでは、加賀藩の成立から幕末までの様子を伝えています。

【施設情報】

施設名 石川県立歴史博物館
所在地 石川県金沢市出羽町3-1
電話番号 076-262-3236
アクセス 「成巽閣前バス停」下車 徒歩2分
施設詳細 https://www.homemate-research.com/dtl/00000000000000245837/

※この記事は、2021年(令和3年)8月時点の情報に基づいて作成されています。

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