大勢の中学生に見送られる森元首相=能美市根上総合文化会館

中学生の質問に答える場面もあった

 加賀立国能美誕生1200年を記念したイベントに「大物講師」が登場した。7日、能美市根上総合文化会館で開かれた特別講演会で、森喜朗元首相(86)が市内3中学校の3年生約500人に努力を重ねる大切さを説いた。森氏はラグビーに打ち込んだ学生時代に触れ「苦しいことにぶつかり、仲間と喜びを分かち合った。それが今日の基礎となっている」と、高校受験を控えた故郷の後輩にエールを送った。

 市教委が生徒のふるさと愛の醸成につなげようと企画し、井出敏朗市長が進行役を務めた。

 森氏は小学生の頃、父で元根上町長の茂喜氏が誘致した早大ラグビー部の合宿の光景が忘れられないとし「ラグビーに心を寄せるきっかけになった」と振り返った。その上で「やりたいことをやりながら親父の歩いてきた道を一生懸命歩んできた」としみじみと語った。

 講演中に私語を交わしている生徒を見つけると、言いたいことがあるなら言ってほしいと促し、「話したい時に話す、聞きたい時に聞く、意見を言いたかったら言う。そういう若者になってほしい」と人生の先輩として指導する場面もあった。

 講演に続いて、森氏と生徒代表の6人がトークで交流した。生徒は将来の夢や、能美市の魅力を紹介すると、森氏は相づちを打ったり、メモを取ったりしながら生徒の説明を聞いた。

 生徒がウクライナ情勢や北陸新幹線などについて尋ねると、森氏はウクライナ南部クリミア半島がロシア占領下にあることについて「もともとロシアで成功したり、金持ちになったりして老後を過ごす優雅な場所だ。それはそれで認めたらいい」との見方を示した。

  ●立ち上がって花束

 森氏は車いすで登壇したものの、生徒から花束を贈られた際には秘書に支えられながら立ち上がって受け取った。生徒代表一人一人と握手し「ありがとう。また来るよ」と笑顔で応じた。大きな拍手で見送られ、会場を後にした。トーク交流に参加した根上中3年の浦脩太さんは「いい思い出になった。貫禄があったし、冗談を飛ばしていておもしろかった」と話した。

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