同性婚を認めない民法などの規定が違憲だとして、同性カップルら8人が国に1人当たり100万円の損害賠償を求めた東京第2次訴訟の判決で、東京地裁は14日、法制度が未整備の現状を「個人の尊厳と両性の本質的平等」を掲げた憲法24条2項に違反し、重要な人格的利益を剥奪している状態だと判断した。賠償請求は棄却した。
全国5地裁で起こされた同種訴訟6件の一審判決が出そろい、「違憲」が2件、「違憲状態」が今回を含めて3件、「合憲」は1件だった。
現行の民法や戸籍法が憲法24条2項のほか、法の下の平等を定めた憲法14条1項などに違反するかどうかを中心的な争点として、立法措置を巡る国の賠償責任に関する判断も焦点となっていた。
飛沢知行裁判長は同性カップルに婚姻と同様の法的利益を享受するための制度が設けられていない点を「重要な人格的利益を剥奪するものにほかならない」と指摘。法制度については「複数の選択肢があり、制度設計は国会の立法裁量に委ねられる」として、現時点で違憲とまでは言えないと結論付けた。
8人は40~50代で、いずれも東京在住の会社員や公務員ら。同性カップルが婚姻の法的効果を得られず、異性カップルとの差別的取り扱いに当たると強調。重大な権利侵害が生じており、国会が立法措置を怠って精神的苦痛を受けたと訴えた。
一方、国側は憲法が同性間の婚姻を想定していないと主張。婚姻制度の目的は法律上の男女の保護で、合理性は失われていないと反論し、請求棄却を求めていた。
2021年3月~23年6月の一審判決5件は大阪地裁を除く札幌、東京(第1次訴訟)、名古屋、福岡の4地裁が違憲性に言及。札幌、名古屋の両地裁は、現行規定が同性カップルに対し「関係を保護するのにふさわしい枠組みすら与えていない」などとして14条1項に違反すると指摘し、さらに名古屋地裁は24条2項にも反するとした。
東京、福岡両地裁は「24条2項に違反する状態」だが、違憲とまでは断じられないと判断した。
国家賠償請求は5件とも退けていた。14日午後には同種訴訟で初の控訴審判決が札幌高裁で予定されている。
同性婚 同性同士のカップルの結婚。日本の民法や戸籍法の諸規定では認められていない。不利益として(1)パートナーの法定相続人になれない(2)所得税の配偶者控除を受けられない(3)子どもの共同親権を持てない(4)財産分与の請求権がない―などがある。同性婚実現に向け活動するNPO法人「EMA日本」によると、2001年にオランダが世界で初めて法的に認めて以来、24年1月時点で米国や台湾など36の国・地域で容認。国内では390超の自治体が同性カップルを公的に認定するパートナーシップ制度を導入している。
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