バレエ「くるみ割り人形」クララ役
12歳 鳴海絆菜さん
11歳 山田優七さん
夢の大役 2人で挑戦
世界中で愛される名作バレエ「くるみ割り人形」。北海道のダンサーによる公演が12月9、10日、札幌文化芸術劇場ヒタルで行われます。主人公役は、札幌市・北星学園女子中1年の鳴海絆菜さん(12)、中の島小6年の山田優七さん(11)。「北海道期待の星」の2人が、夢の舞台を届けようと張り切っています。
市内の稽古場に、トーシューズの音がひびきます。「もっと高く、思い切って」と先生。女性を男性が持ち上げる「リフト」の稽古。タイミングや姿勢を修正しながら、鳴海さんが何度も飛びます。順番を待つ山田さんもイメージトレーニングをくり返します。
「くるみ割り人形」は、クリスマスイブに人形をもらった少女の冒険の物語。公演は劇場のヒタルが北海道バレエ界と協力し、初めて企画しました。2人は3月のオーディションであこがれのクララ役を射止め、交代で大役を務めます。
同じ教室でバレエを楽しんでいた2人。転機は小学3、4年で出始めたコンクールでした。「できるまでやらないとモヤモヤする」(山田さん)、「相手が先にいい成績を取ると、くやしくて頑張れた」(鳴海さん)と仲良く急成長。受賞を重ね、海外のバレエ学校に短期留学して、プロへの思いを深めました。
けれども今回は新たな挑戦です。技を競うコンクールに対し、公演では演技が大事。バレエ独特のしぐさ「マイム」で感情を表現するのは初めてです。「すごく難しい。動画を見て研究しています」と山田さん。稽古の合間も話し合い、鳴海さんは「役を通して自分を表現できるようになった」と手応えを語ります。
週5回、教室でコンクールに向けて練習し、「くるみ割り人形」の稽古にも通う日々。「遊びがバレエ、リフレッシュもバレエ」と顔を見合わせて笑いますが、そこまで夢中になるバレエの魅力は何でしょう。
「衣装もきれいだけど、おどる自分が一番きれいでないと駄目、という厳しさが好き」と鳴海さん。山田さんは「話すのが苦手なので、言葉を使わずに気持ちを伝えられるのがいい。自分の良さをうまく使って表現したい」と明るく答えました。(寺町志保)