2003年06月18日

  宗教法人の所有地としては国内最大級の一般定期借地権を利用した開発事業が、この度、全体完成いたしました。本開発事業は、青山「梅窓院」(東京都港区青山、住職:中島真成)の所有地の一部に一般定期借地権(52年間の地上権)を設定し、地上権者が定期借地に業務棟(地上12階地下2階)の建設を行うものです。定期借地した敷地は、借地期間終了後に更地として返還されます。また合わせて、残る敷地には「梅窓院」が寺院棟と住宅棟(20戸)の建替えを行いました。長谷工コーポレーションは、こうした事業スキームを提案するとともに、設計、施工を手がけております。

 「梅窓院」は、正式名を「長青山宝樹寺梅窓院」といい、寛永20年(1643年)に開山されました。青山という地名はここからとられたもので、まさに青山発祥の地といえます。「梅窓院」では、かねてから計画していた本堂の建替えにあたり、大規模・複合開発に豊富な実績を持つ長谷工コーポレーションに事業計画全体のコーディネートや開発推進を要請し、計画を進めてまいりました。

 本事業のスキームは、「梅窓院」の敷地(約5,930m2)の内、約4割(約2,100m2)に一般定期借地権を設定し、これをデベロッパーに52年間(工事期間2年を含む)賃貸するものです。事業者が業務棟を建設・利用し、期間終了後は原則として更地にして借地権を返還することになります。その結果、都心部の大規模な用地の有効利用を実現いたしました。利用用途を一部転換させ多目的な活用を図ることで、「青山地区」の新たな魅力の1つとして地域経済を活性化し、ひいては安全で快適な社会資本の整備をめざす「都市再生」の動きにも呼応したプロジェクトであると考えております。 

 長谷工コーポレーションでは、36万戸を超える分譲マンションの施工実績を生かして土地の有効活用を促進してまいりました。一般定期借地権方式についても、優良かつ低廉なマンション供給を実現し、都心居住を実現する手法の1つとして積極的に導入しています。
これまでの実績としては、神社の一部土地を利用した定期借地権付きマンションの分譲事業のコーディネート及び設計・施工(東京都渋谷区)、財団法人の遊休地を活用するための一般定期借地権を利用した賃貸マンション事業のコーディネート及び施工(東京都渋谷区)があります。さらに郊外の商業施設においても、事業用定期借地権を積極的に活用し、事業スキームの1つとして確立し、コンスタントに受注しております。

【青山「梅窓院」計画概要】


  • 所在地:東京都港区青山2-26-38
  • 工事名:青山梅窓ビル新築工事
  • 全体敷地面積: 5,932.12m2(1,794.46坪)
  • 全体延べ面積:33,017.07m2(9,987.66坪)
  • 全体開発期間:平成12年7月 各種許認可及び設計等事業計画スタート
              平成13年9月 建築工事着手
              平成15年6月 工事竣工及び建物引き渡し

【事務所棟】


  • 事業者:株式会社CSK
  • 設計・監理:株式会社松田平田設計
  • 総合元請:株式会社長谷工コーポレーション
  • 施工:鹿島建設株式会社
  • 延べ面積:24,106.12m2 (7,292.10坪)
  • 構造・規模:S造一部SRC造 地上12階/地下2階
  • 工期:平成13年 9月~平成15年 6月

【寺院・住居棟】


  • 事業者:宗教法人梅窓院
  • 設計・監理:株式会社長谷工コーポレーション
            株式会社隈研吾建築都市設計事務所 

  • 総合元請:株式会社長谷工コーポレーション
  • 施工:鹿島建設株式会社
  • 延べ面積:《寺院棟ほか》3,831.13m2(1,158.91坪)
           《住居棟ほか》4,690.00m2(1,418.72坪)  
           《その他》389.82m2( 117.92坪)  
  • 構造・規模:《寺院棟ほか》SRC造一部S造 地上5階/地下2階
            《住居棟ほか》SRC造 地上14階/地下2階 
            《その他》RC造 地上1階/地下2階 
  • 工期:平成13年 9月~平成15年 6月

■梅窓院について(「梅窓院」HPより抜粋)
 梅窓院は、寛永二十年(1643)、徳川家康家来の譜代大名、青山忠成公の四男、青山大蔵少輔幸成公(明治維新の際は郡上八幡五万石の藩祖)の法名、梅窓院殿香誉浄薫大禅定門から寺名がつけられ、菩提寺として青山家下屋敷内に開山されました。
 正式名は長青山宝樹寺梅窓院といい、郡上藩歴代藩主の墓のほか、切支丹灯篭を利用して建てられた青山幸敬の墓や、天狗煙草で有名な明治の奇商岩谷松平、歌人伊藤松軒、画家板谷桂舟、僧侶山上人、レオナルド・ダヴィンチの研究家児島喜久雄の墓などがあります。青山という地名は、この青山家の名からとられたもので、まさに青山発祥の地が梅窓院といえます。
 現在は、江戸三十三観音の第二十四番札所として参詣する人も多く、観音堂に安置されている泰平観音像は世界平和を求願する観音様として信仰を集めています。また、毎年9月に境内において開催される"郡上踊り"は、地域住民の楽しみの一つとして、地域の活性化に多いに役立っています。

■定期借地権について(「定期借地権普及促進協議会」HPより抜粋)
・定期借地権は、平成4年8月に施行された「借地借家法」により誕生しました。従来の借地権と異なり、当初定められた契約期間で借地関係が終了し、その後の更新はありません。
・この制度によると、土地所有者は従来に比べ安心して土地を貸すことができ、借り主は、従来より少ない負担で良質な住宅を持つことができますので、土地の貸借が円滑に行われることが期待でき、住宅・宅地政策上も有効な制度と見られています。
・定期借地権には、「一般定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」「事業用借地権」の三つのタイプがあります。「一般定期借地権」は、借地期間を50年以上としたもののことで、期間の満了に伴い、原則として借り主は建物を取り壊して土地を返還する必要があります。


【「梅窓院」完成写真(外観)】


 

 

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