ダイエットにもトレンドがある。糖質制限DASHダイエットケトジェニックパレオダイエットなどさまざまだ。その中のひとつとして、デトックスを経験した人も多いかもしれない。ただ、デトックスは科学的根拠がないと言われていたり、そもそもダイエットに有効なのか、疑問の声も多い。

そこで、本来デトックスとはどういう意味なのか、私たちの体にどういった効果をもたらすのか、解毒治療を専門とする医療法人社団 医献会 辻クリニック理事長であり、『専門医が教えるデトックス入門』(幻冬舎)の著者でもある辻直樹先生に伺った。また心のデトックス方法や食材、ドリンクなどデトックスにまつわる編集部のおすすめを続けてご紹介します。


デトックスとは? その意味は?

デトックスとは解毒、毒って何?

まず、毒を何と定義するのかがデトックスの鍵と辻先生は説明する。「医学的に言うと、人間にとっての毒は主に3種類に分けられます。まずヒ素や青酸カリウムといったような危険な化合物などの絶対毒、そして少量なら摂取しても安全だけど、過剰にとることによって体に危害を及ぼす量的な毒、さらにアレルギーなどの個別的な毒。花粉だって花粉症の人にとっては毒になるんです。体に悪影響を与え、それが原因で症状が出るものはすべて毒と言えます」

毒を体外に出す方法は?

毒の排泄経路は限られる。挙げてみると、尿、便、汗、皮脂、垢、爪、髪、唾液、呼気などだ。その中で、毒を体外に出す方法はどうやって選ぶべき? お酒を飲み過ぎたときのアルコールは尿や汗、栄養として吸収されなかった食べ物の老廃物は便で排泄する。排泄したい毒に対して、出口が合っているかどうかが大事だと辻先生は言う。

「たとえば、ダイエット目的で脂肪を排泄したいとして、それをデトックスウォーターやスムージーをたくさん飲んで尿や便で出そうとしても無理ですよね。脂性物質の排泄経路といえば皮脂ぐらいではないでしょうか」

デトックスの効果

Healthy food and fitness concept
fcafotodigital//Getty Images

ダイエット目的でのデトックスは有効?

本来、デトックスとは目的とした毒を排泄することをいうが、最近では毒が体内に侵入するのを防ぐことまでデトックスと言われているのが現状だ。

「肥満という症状があるとして、その原因は何かを考える。それが食べすぎだったら、食べすぎてしまうのを止める。それはデトックスではなく予防になるのです」と辻先生は言う。

「日々できるデトックスとしては日常的に運動をして汗をかくこと。サウナでもいいです。ある程度汗で排泄される体内に蓄積した重金属のようなものであれば、それはデトックスになります」

肌荒れにも効果はある?

肌にもダイエットと同じことが言えそうだ。まず、肌荒れの原因を突き止めなければいけない。たとえば、肌荒れの原因が大量の砂糖だとすると、それはデトックスよりも砂糖の摂取を止めた方が得策なのだ。「その原因を排泄するにはどうすべきか。そしてそれは解毒すべきものなのか、予防すべきものなのかを考えてほしいです」

ただその肌荒れの原因であるものが代謝をして、ニキビが減ったり肌がきれいになったりすることはあり得る。その代謝をあげるためには、やはり運動をして汗をかくことが大事なのだ。


デトックスにおすすめの飲み物は?

Three kinds of detox water with blackberry, strawberry, lime with ingredients on white wooden background. Super macro
RoNeDya//Getty Images

デトックスウォーターは効果がある?

デトックスウォーターと言えば、ボトルの中にフルーツや野菜が入っている水を思い浮かべる人が多いかもしれない。でも実はこのいわゆるデトックスウォーターには、科学的根拠が少なく、効果が立証されていない

ところが、フルーツや野菜が入っていないただの水でも十分だと辻先生は言う。「ただの水でもいいし、吸収のいいスポーツドリンクでも、たくさん飲むと尿や汗としてデトックスできます。ただしこれも、尿や汗として排泄できるものに対してだけです」


汗でデトックス 、入浴や運動で汗を思いっきりかく

入浴剤の効果は? 体が温まるお風呂の入り方は?

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お湯のみよりも発汗を促進する入浴剤を入れた方が汗はかきやすくなるだろう。発汗作用のある植物エキスや生薬有効成分が入っているものを選ぼう。

体が温まりやすいお風呂の入り方は、40度ぐらいのぬるめのお湯で全身浴がいいとされる。また、水道水など水中の塩素の濃度が高いと体に熱が入りにくくなるので、薬局などで売っているアスコルビン酸(ビタミンC)を入れて、塩素を除去するとよい。


デトックスに効く食べ物、断食は効果がある?

デトックスに効くのはやっぱり食物繊維

便秘がちの人の「食物繊維を摂ると便通が良くなった!」という声を聞いたことがあるかもしれないが本当にそのとおりで、食物繊維を含む食材は便によるデトックスにとても有効なのだ。食物繊維には不溶性と水溶性があり、不溶性食物繊維には胃や腸で水分を吸収して大きくふくらみ、腸を刺激して蠕動運動を活発にし、便通を促進する働きがあるため、デトックス目的で便の量を増やしたい人にはおすすめ。

食物繊維と言えば野菜だが、サラダだけで野菜を摂るのが苦手な場合は、食物繊維の豊富な野菜をたくさん入れたデトックススープにしたり、食物繊維入りのハーブティを取り入れてみるといい。

不溶性食物繊維を多く含む野菜
Close-Up Of Kidney Beans On White Background

ファスティング(断食)は効果があるか

辻先生によると、ファスティングにはデトックス効果があると言う。

「人間の腸って面白くて、入ってくるものがなくなると排泄の働きが活発になるのです。細胞が中の老廃物を掃除し始めて、勝手に排泄してくれるようになる。冷蔵庫を体内の細胞に例えれば、毎日買い物に行っていると、野菜の余り物などでどんどん冷蔵庫内がごちゃごちゃになってくる。ところが買い物をやめると、余ったものを使っていくようになりますよね。そうして冷蔵庫内がきれいになる。これを「オートファジー」といい、2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典さんが解明した仕組みです。細胞レベルで医学的にエビデンスが取れているのはファスティングだけだと思います」

ファスティングといっても、普段1日3食食べていたら2食にしたり、1日に食べていい時間を4時間だけにするといったような方法でもいい。

「普段ファスティングをやっていない人が1日1食にして、水をたくさん飲んで食物繊維をとって、運動やサウナで汗をかくと体質や肌質はがらっと変わりますよ。患者さんにもおすすめしています」


デトックスの注意点

断食も含め、デトックスの注意したい点として、過剰に固執することはよくないと辻先生は指摘する。

「どんなものでも過ぎたるは猶及ばざるが如しで、過剰はだめ。もともと健康な人間の体には解毒システムが備わっているし、無理に排泄する必要はないのです。バランスの取れた食事や水分をたくさんとったり、適度に運動をして汗をかくことを習慣づけていれば、わざわざデトックスを取り入れなくてもいいはずです」


心のデトックスに! 旅行や、涙活でストレス発散

ヒーリングやヨガ体験ができる旅行プラン

身体だけでなく、心にも溜まる毒がある。それはストレスだ。ストレスが溜まっていたり、気分が上がらないときこそ心のデトックスが必要になるもの。もしも休暇がとれるのであれば、自分自身をもてなす旅に出てみるのもひとつの手だ。

長野・穂高養生園(HOTAKA YOJOEN)

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信州・穂高の森の中に立つリトリート施設。人間本来の自然治癒力を高めることを目指し、マクロビオティックをベースとした食事やヨガ、散歩といった適度な運動で心身ともにケアできる。

※現在冬季休園中、4月4日から開園。
ご予約はこちらから

大泣きしてストレス発散、涙活って知ってる?

涙活とは、心のデトックスとして意識的に泣くことでストレス解消を図るもので、実業家である寺井広樹氏が発案した。涙活の公式サイトによると、涙を1粒流すとストレス解消効果が約1週間続くことが医学的にも証明されているという。

泣ける! 切なくて愛おしい、遠距離恋愛を描いた名作映画10選

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癒やしの音楽、アロマキャンドルなど、自分でできる癒やしの環境づくり

自宅にリラックスできる空間はある? 自分の部屋やお風呂などで楽しめる音楽やグッズをご紹介。

メンタル・デトックス
Makiko Hirohashi メンタル・デトックス
¥1,200

気持ちを整えるヒーリング・ミュージック。 一日の終わりに聴きたいのがこちら。

アロマキャンドル
DW Home Candles アロマキャンドル

お気に入りの香りを見つけて、バスタイムや寝る前、旅や出張先のホテルでも、すぐさま自分だけのリラックス空間に。

エッセンシャルオイル
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手に伸ばして深呼吸したり、加湿器に垂らしたり、万能に使えるエッセンシャルオイルをひとつ持っておこう。

Courtesy of iHerb

続かない、きっかけがない、そんな時はプロの手も借りて

忙しい毎日を送る女性にぴったりのクイック&エフォートレスなエステサロン

表参道・クイーンズランドリー(QUEENS LAUNDRY)

昨年9月にオープンしたばかりの新ビューティスポット。ありそうでなかったネイルサロン感覚で通えるクイックなフェイシャルエステから、本格的なボディメンテナンスメニューまで揃う。お店に入った瞬間わくわくするような内装も通いたくなるポイント。

デトックス高周波ラフォスは、高周波温熱によって体の深部まで温めることで、冷え性改善や血行促進、むくみや老廃物の排出を手助けする。9種類ものコールドプレスジュースも用意、まさにデトックスしたい女性にとっての駆け込み寺的サロン。

デトックス高周波ラフォス(ボディ)60分
¥8,000(トライアル)
¥14,000(通常価格)
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今回取材した辻直樹先生の著書『専門医が教えるデトックス入門』(幻冬舎)

今回取材した辻直樹先生の著書『専門医が教えるデトックス入門』(幻冬舎)

今回取材した辻直樹先生の著書『専門医が教えるデトックス入門』(幻冬舎)

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正しく無理のないデトックス・ライフを

辻先生の言うとおり、排泄したいものを把握せず、不必要にデトックスに固執するのはあまり良くなさそうだ。気持ち的にストレスが溜まっていたり、気分が上がらない場合は家やサロンなど、自分だけのリラックスできる空間を見つけて過ごしてみよう。

健康的な食事や睡眠、適度な運動といったごく普通の生活を丁寧に送ることが、不要なものを溜め込まない一番の近道なのかもしれない。

Headshot of Mayaka Yamamoto(Harper's Bazaar)
Mayaka Yamamoto(Harper's Bazaar)
Editor

 大学在学中に『ハーパーズ バザー』編集部でのインターンを経験し、エディターを志して上京。アシスタントを経て、デジタルエディターに。トレンドやショッピング記事などのファッション企画を中心に、YouTube動画コンテンツも担当。最近は、運動不足解消のために始めたキックボクシングにドハマり中。 兵庫県・神戸市出身。