2011年3月11日から始まった東京電力福島第一原発事故。2021年で、発生から10年が経過します。あの時、何が起きたのでしょうか?そして、今何が起きているのでしょうか?あなたがもしかしたら今日まで知らなかったかもしれない、16の事実をまとめました。

  1. 2011年3月11日、東日本大震災で発生した14~15メートルを超える大津波*1で、東京電力福島第一原発は全電源喪失した。
東京電力福島第一原発。(2018年10月)
  1. 電源喪失した1号機の建屋は、翌日の12日に水素爆発。3号機、4号機が続いて爆発した*2
爆発した東京電力福島第一原発の2011年3月14日の衛星写真。
  1. 原子力施設の事故の深刻度を示す国際評価は、チェルノブイリ原発事故と同じ「レベル7」。推定で4〜90京ベクレルの放射性物質が放出*され、7~8割が海へ、残りが陸へ拡散した。 * Institute for Radiological Protection and Nuclear IRSN 28 February 2012
許可がなければ通行できない福島県浪江町の帰還困難区域。(2019年10月)
  1. 原発から20キロメートル圏内に、避難指示が出された。約40キロ離れているものの、大量の放射性物質が流れ込んだ飯舘村に、避難指示が出されたのは、原発事故発生から1カ月以上たった4月22日だった*4
全村避難になった福島県飯舘村の公園。原発事故発生から1カ月以上、高い放射線量だったにもかかわらず、避難指示が出されていなかった。
  1. 事故が起きるまで、政府は一般人の被ばく限度を年間1ミリシーベルトとしていたが、20ミリシーベルトへと20倍に引き上げた。
除染が終わったとして、福島県飯舘村の避難指示は解除された。除染完了の基準は、事故後に引き上げられた年間被ばく量20ミリシーベルト以下であること。(2014年10月)
  1. 東電福島第一原発では、メルトダウンした原発を常に冷却する水が必要で、100万トンが放射能汚染水として溜まり続けている。東京電力は、溜まり続ける汚染水を処理して太平洋に放出しようとしているが、すべての放射性物質が取り除けるわけではない*5
放射能汚染水の貯蔵されるタンク[写真左側]。(2016年3月)
  1. 東京電力の幹部は、東日本大震災の9年前に、大津波のリスクを報告されていたが、対策を怠った*6。しかし事故当時の幹部3人の責任を問う刑事裁判では、無罪になっている。
2011年6月に開かれた東京電力の株主総会で、原発から撤退し、被害者に十分な賠償を支払うことを求めてアクションするグリーンピース
  1. 放射性物質で汚染された土地の除染は、事故発生から10年経つ2021年でも続いていて、総額で20兆円かかるという試算も*7。除染作業にあたる人には、元路上生活者なども多くいる。
当時約1年半後に、避難指示解除をめざしていた福島県飯舘村で、畑を除染する労働者。(2015年7月)
  1. 福島県の7割を占める森は、道路から20メートルまでしか除染されない。森をすべて除染することは不可能。
森の入り口からはぎ取られた草木が積められたフレコンバッグ。奥には除染されない森が広がる。(2015年7月)
  1. 除染されていない森から、雨や台風によって放射性物質が流れ、一度除染された場所が再汚染されている箇所も確認されている*8
福島県南相馬市の新田川河口で放射線調査を行うグリーンピース。調査直前に強力な台風が福島周辺を襲い、森から雨や洪水で移動したと考えられる放射線が計測された。(2019年10月)
  1. 回収された除染廃棄物や除染土は、2,200万立方メートルにのぼる*9。フレコンバッグに詰められて、所有者から借りた田んぼなどに保管されている場合もある。
福島県飯舘村の山中に積み上げられた放射性廃棄物のフレコンバッグ。(2017年10月)
  1. 政府は除染で出た放射性廃棄物の体積を減らすために、処理施設で焼却しており、燃やした後には、放射性物質が高度に濃縮した灰が残る*10
福島県飯舘村の山中にある、放射性廃棄物の焼却施設。煙突から立ち上る白い煙を介しても、微量の放射性物質が再拡散する。(2017年10月)
  1. 環境省は、除染で剥ぎ取った土を、全国の公共事業や農地で利用できるようにする方針を示している*11
集められた放射性廃棄物の中間貯蔵施設と作業員。(2017年10月)
  1. 除染して避難指示解除、という方針で住民の帰還が進められている。避難指示が解除された地域の住民には賠償金は支払われなくなり、帰還しないことを選んだ人は自費で避難生活や移住をしなければならない。
避難指示が解除されても、長年暮らしてきた飯舘村の家には戻らず、避難を続けることを決めた安斎徹さん。グリーンピースの調査では、安斎さんの自宅では、毎週レントゲンを受けるのと同じくらいの放射線量が計測された。(2017年10月)
  1. 原発事故によって避難を続けている人は、2021年でも約4万人いる。避難を続ける権利と補償を求めて、全国で、民事訴訟が起きている。
東京電力を相手に裁判の原告になった武藤類子さん。裁判は、誰かを断罪するためではなく、事故を繰り返さないためにこれからの道を共に探ることだと語る。
  1. 原発事故で発出した原子力緊急事態宣言は、今でも取り下げられず、続いている*12
双葉郡富岡町本岡の立ち入り禁止区域の境目。(2014年7月)

2011年の悲劇を境に、ドイツや韓国で脱原発が進められる中、日本では、事故を繰り返さないために原発をなくすどころか、古くなっていく各地の原発の再稼働を繰り返してきました。2021年2月現在でも、4つの原発が稼働しています。

次の10年こそは、原発の危険のない、誰も犠牲を強いることのない社会を作るために、動き出さなければなりません。

政府は、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指していますが、それを口実に、原発を再稼働させようとしています。

これからの日本の電力の方針を決める「エネルギー基本計画」を政府が作っている今こそ、

「東京電力福島第一原発事故を教訓に、原発なしで、CO2ゼロを実現することを目指して欲しい」と、私たちの声を伝えませんか?

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