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超売れっ子性格俳優のつくり方──國村 隼

いくつかの映画のヤクザ役が強烈だったためか、國村隼さんの顔を思い浮かべると、眼光の鋭さが脳裏に突き刺さる。取材当日は、ご本人登場までの待ち時間も緊張……。そんななか現れた当代きっての性格俳優は、関西弁の紳士で、印象はあくまでやわらかであった。そのギャップに拍子抜け、いや腰砕け。素の國村さんの眼は知性と色気を含み、威圧とはかけ離れ、むしろあたたかであった。 当代きっての性格俳優は、関西弁の紳士。國村隼さんの眼は知性と色気を含み、あたたかであった。
國村隼が語る役づくり「お客さんが面白いと思う表現をする」

いくつかの映画のヤクザ役が強烈だったためか、國村隼さんの顔を思い浮かべると、眼光の鋭さが脳裏に突き刺さる。取材当日は、ご本人登場までの待ち時間も緊張……。そんななか現れた当代きっての性格俳優は、関西弁の紳士で、印象はあくまでやわらかであった。そのギャップに拍子抜け、いや腰砕け。素の國村さんの眼は知性と色気を含み、威圧とはかけ離れ、むしろあたたかであった。

写真: 久富裕史 スタイリング: 島津由行 ヘアメイク: 谷森正規(FEMME) 文: 大石智子

シャツ¥69,300、タイ¥31,500、ポケットチーフ¥21,000〈すべてTOM FORD/トム フォード ジャパン tel.03-5466-1123〉 その他本人私物

2013年の自分を表す漢字を國村さんに問うと、その答えは“けったい”の「奇」であった。2本の主演映画を含む10本もの出演作が公開され、ドラマやナレーションの仕事も目白押し。ベネチア国際映画祭にも出席し、例年にないほど忙しく、まさに“けったいな年”だったとか。それだけ出演作が多いとなると、役づくりをどうこなしているのだろう?

「どんな役であっても、僕の準備は、ただ台本を読み込むことだけです。台本こそ設計図であり、そこにしかヒントはない。だからその人をイメージできるまでひたすら読みます。役の人間像をイメージすることが一番のキモですね。ヤクザだからとか警察官だからとか、職業には興味ありません。極端なことを言えば、警察官の服を来たら誰でもそうなれるわけで、大事なのはどんな人が警察官になったのかということ。役者の演技は色んな登場人物のある側面を切り取っただけのものです。ただ、そこにいたるまでの人生はあった。だから、その人の両親はこんな人やったんと違うかなとか、台本にはないことを妄想するんです。そんなアプローチを最大限して、撮影日を迎えます」

では、苦手な役柄はない?

「苦手な役はないですが、うまくいかなかったことはありますよ。それは自分のなかでのイメージづくりの作業が中途半端だったときですね。ナウシカ(『風の谷のナウシカ』)でいう巨神兵ですな。曖昧でどろどろで使いものにならんのです。あと映画の場合もうひとつイメージすることがあって、それはこの話ならどんなお客さんが観にくるのかなということ。好みや世代など客層を考えて、お客さんが面白いと思う表現をする。雑誌がターゲットを考えるのと同じですかね」

國村 隼
くにむら・じゅん
1955年、熊本県生まれ。大阪府で育つ。1981年『ガキ帝国』で映画デビュー。2013年は『地獄でなぜ悪い』と『あさひるばん』の2本の主演映画が公開された。趣味はクルマと釣り。フライフィッシングで水面の毛針を眺めている間に、全然関係ないことを急に思い出したりできるのが釣りの魅力だとか。