アルベルト・ザッケローニは日本サッカー史上、6人目の外国人代表監督である。イタリアの“3大クラブ”を率いた実績に加え、彼はホテル経営者という異色の顔をもつ。独自のマネジメントはチームにどんな果実をもたらせるのか。二宮清純が実像に迫る。
文・二宮清純
日本代表の外国人監督初の企業経営経験者
イタリア人の監督にはユニークな経歴をもつ者が少なくない。
例えばACミランやイタリア代表などで指揮を執ったアリゴ・サッキ。プロ選手としてのキャリアのない彼は青年期、父親が経営するシューズメーカーで働いていた。
これから紹介する日本代表監督アルベルト・ザッケローニの経歴もかなり異色だ。周知のようにザッケローニ氏は実家のペンションで働きながら接客や経理を学び、やがて故郷のチェゼナティコで小さなホテルを経営することになる。
これまで、ザッケローニ氏を含めて6人の外国人監督が日本代表の指揮を執ったが、企業経営に携わったことがあるのはザッケローニ氏だけだ。
確かにザッケローニ氏の佇まいは中小企業経営者風である。物腰こそ柔らかいが、その主張は明確で、叩き上げのプライドがにじんでいるように映る。その一方で部下に対する目配り、気配りは細やかで、これまでの教育者タイプ、学者タイプの外国人指導者とは明確に一線を画す。
Photos: Jan Buus @ Donna
Styling: Eiji Ishikawa @ T.R.S
Text: Seijun Ninomiya
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