ボコッボコッボコボコッ! ヴィンテージデニムの申し子、草彅剛は、1941年の「ナックルヘッド」のハーレーダビッドソンに跨って登場した。
GQ フェンダー上にサタン。フロントタイヤにホイールカバー。いいカスタムですね。
草彅 そうそう。僕が手に入れた当時からついていて。1台1台違うっていうのが、ヴィンテージ・バイクの面白さだよね。ホイールカバーなんて、風の抵抗を受けて、ハンドルを取られちゃって、機能性はないんだけど(笑)。なんかね、この感じがかっこいいのよ。
GQ バイクにもハマっていたとは。
草彅 それこそデニムが好きだったからかな。デニムが写っている40sや50sのファッションフォトを見ると、バイクが隣にあることが多くて。それを見ているうちに、グローブを買って、ヘルメットを買って、ブーツを買って。バイクを買う前に、バイクファッションは全部揃えた(笑)。
GQ ジーンズも1942〜45年のS501XX(いわゆる大戦モデル)がお好きだと思うのですが、バイクもその年代がお好きですか?
草彅 そうだね。この「ナックルヘッド」の後に登場した「パンヘッド」(1948年〜)のハーレーも5台乗ったかな。なんかね、タッチが違う。そう、〝タッチが違う〟。だからかっこいいんだよ。『』で、リー・マーヴィンが乗っていたパンヘッドのハーレーも最高にクールで。なんだろうな、中途半端な俺だけど、男になれたかな、みたいな気分になれるわけ。まだ、かっこつけて乗っている状況だけど、僕が60歳や70歳になっても、いまと変わらず40sや50sのバイクに跨っていたら、板についてくるんじゃないかな。
"古くなるだけじゃなくて、そこに輝きがきちんとある。"
GQ ヴィンテージの良さって?
草彅 アジ、かな。
GQ アジ?
草彅 うん。朽ち果てていくんじゃなくて、再生を繰り返しているじゃん。1941年のナックルヘッドなんて、もうすぐ80歳だよ! 100歳も目の前(笑)。そして、同じ目線でデニムを見ても、シワや傷があるからこその、かっこよさがある。人間もそれにつながるものがあるよね。
GQ もしかして、歳を重ねるにつれて、ますますヴィンテージがお好きに?
草彅 そうだね。共に生きている感じがあるし、先輩だよね、常に。古くなるだけじゃなくて、そこに輝きがきちんとある。今日のバイクも、このデニムも、登場するだけでみんなが「WOW!」ってなるじゃない!? この説明抜きのかっこよさ。そういう人になりたいよね。
……と、そこにいるだけでかっこいい草彅剛が、誰よりも楽しく、味わい深く、ヴィンテージを語ってくれた。
ヴィンテージの上手な着こなし方
全身これ新品はかっこいいし、『GQ』のスタイリングはいつもそうだ。ただ、ヴィンテージやユーズドのアイテムを1〜2点、コーディネイトに投入するだけで〝よりリアル〟な世界観に仕上がることが多い。この空気感を感じ取ってみてください。
アーティスト1974年生まれ。1999年〜2003年まで、5年連続ベスト・ジーニストに選ばれ殿堂入り。2019年は西加奈子原作の映画『まく子』に主人公の父親役で出演。舞台では『家族のはなし PART Ⅰ』(京都劇場/5月4日〜6月1日)に主演する。