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イチロー、43歳の「復活」

今年もっとも活躍した男たちを讃えるアワード「GQ Men of the Year」の季節がやってきた。本連載では小誌執筆陣が“極私的”に推薦する2016年の顔を紹介する。第5回は本誌ライフスタイル・エディターの神谷晃が推薦する、メジャーリーガー・イチロー。
イチロー、43歳の「復活」

文・神谷晃(GQ)

写真:AP/アフロ 8月7日、史上30人目となるMLB通算3000安打を達成したコロラド・ロッキーズ戦
写真:AP/アフロ 「3000安打」達成後のインタビュー。表情は晴れやかだった
写真:USA TODAY Sports/アフロ 歴史的な瞬間を迎えた7回の第4打席
写真:Thomas Anderson/アフロ 観客席には「ありがとう日本」の文字
写真:AP/アフロ 今季の終わり、通算安打数は3030に達した

2016年シーズン、メジャー通算3000本安打を達成したイチロー。毎年塗り替える記録の数が多過ぎて今さら驚くことはないが、ここではキャリア最低だった打率.229という昨年の大スランプを乗り越えてというところに注目したい。そういう意味でも2016年は特別な年になったはずだ。

キャリア最低の記録に終わった2015年、イチローの年齢は42歳。あの躍動感も影を潜め、さすがに限界説も囁かれたが、今年見事に復活を遂げた。3000本という記録よりもむしろ、43歳にしての復活にこそ価値があり、賞賛されるべきだろう。

オリックス時代に死球などでシーズン後半を欠場したこともあったが、イチローはとにかく怪我がない。メジャー移籍後も、故障者リストに入ったのは、第2回ワールド・ベースボール・クラシックス(WBC)の激闘、そして極度のストレスによって胃潰瘍になったとされる2009年開幕時の1度のみ。世界中のどのスポーツを見渡しても、20年以上にわたって第一戦で活躍を続けるトップアスリートは皆無だ。

記者はイチローと同じ1973年生まれ。カラダのあちこちに不調を抱える年齢なだけに、その凄さはどの世代よりも理解できるつもりだ。イチローが所属するフロリダ・マーリンズの地元紙によると、「最低でも50歳までプレーしたい」と本人が語っているという。どうやら、「GQ MEN OF THE YEAR」でイチローを直接表彰できる機会は、まだまだ先のことになりそうだ。

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