Photo: Eric Micotto Words: Takeshi Sato
男が惚れる男、と書くのは簡単であるけれど、見つけるのは至難の業だ。それでも、浅野忠信が“男が惚れる男”であることは間違いない。
なぜ、男から惚れられるのか?彼は、新作映画『新宿スワンⅡ』では悪い大人を演じた。園子温監督が作り上げた極彩色の街のなかで、ハンドメイドの銀器のようにソリッドな輝きを放っている。まず、たくさんのオファーがあるなかで、何を基準に出演作を選ぶのかをうかがう。
「『新宿スワンⅡ』は異例でした。急に呼ばれて、時間もないので難しいかなと思ったんですけど、原作のマンガを読んだら演じるキャラクターが僕に似ていたんですよ。しかも横浜に住んでいるという設定で、僕も横浜出身なんで、自分がやろう、と」
では俳優として、仕事の手応えを感じるのはどんな時だろうか。
「それは、出来上がった作品がよかった時ですね。現場が大変だろうが、準備ができなかろうが、作品がよければ全部忘れます。今回もみんなが生き生きと演じていて、いい作品になりました」
浅野忠信に男が惚れる理由がなんとなくわかってきた。縁を感じて出演したり、作品の出来がよければ苦労を忘れたり、計算高いところが欠片もない。邪気のないピュアな姿勢に、男は惹きつけられるのだ。