THE MAN WE LOVE

八面六臂の活躍を見せる浅野忠信──男が惚れる男

『新宿スワンⅡ』『沈黙 -サイレンス-』『壊れた心』と、この号が発売される1月24日時点でも3本の映画が公開中、テレビドラマ『A LIFE 〜愛しき人〜』も放映中と、映画、テレビにひっぱりだこの俳優、浅野忠信。この男の魅力は何なのか?
八面六臂の活躍を見せる浅野忠信──男が惚れる男

Photo: Eric Micotto Words: Takeshi Sato

本稿は2017年1月発売の『GQ JAPAN 3月号』所収の記事です。

男が惚れる男、と書くのは簡単であるけれど、見つけるのは至難の業だ。それでも、浅野忠信が“男が惚れる男”であることは間違いない。

なぜ、男から惚れられるのか?彼は、新作映画『新宿スワンⅡ』では悪い大人を演じた。園子温監督が作り上げた極彩色の街のなかで、ハンドメイドの銀器のようにソリッドな輝きを放っている。まず、たくさんのオファーがあるなかで、何を基準に出演作を選ぶのかをうかがう。

「『新宿スワンⅡ』は異例でした。急に呼ばれて、時間もないので難しいかなと思ったんですけど、原作のマンガを読んだら演じるキャラクターが僕に似ていたんですよ。しかも横浜に住んでいるという設定で、僕も横浜出身なんで、自分がやろう、と」

では俳優として、仕事の手応えを感じるのはどんな時だろうか。

「それは、出来上がった作品がよかった時ですね。現場が大変だろうが、準備ができなかろうが、作品がよければ全部忘れます。今回もみんなが生き生きと演じていて、いい作品になりました」

浅野忠信に男が惚れる理由がなんとなくわかってきた。縁を感じて出演したり、作品の出来がよければ苦労を忘れたり、計算高いところが欠片もない。邪気のないピュアな姿勢に、男は惹きつけられるのだ。

PROFILE :
浅野忠信 俳優
1973年横浜生まれ。88年にデビュー、主に映画俳優として活動する。ハリウッドをはじめとして海外作品にも多数出演。2017年は『沈黙 -サイレンス-』や『幼な子われらに生まれ』といった映画作品のほか、久しぶりのテレビドラマ『A LIFE~愛しき人~』に出演中。

©2017 「新宿スワンⅡ」 製作委員会

『新宿スワンⅡ』
新宿歌舞伎町のスカウトマンたちの戦いを描き、大ヒットを記録した『新宿スワン』が帰ってきた。主役の白鳥龍彦(綾野剛)は横浜へ進出を目論むが、そこでは、横浜を牛耳る滝マサキ(浅野忠信)が待ち構えていた。監督は、前作に引き続いて園子温。全国公開中。