Kusanagi Plays Ballyturk

草彅剛が豹変!──役者魂が全開の主演舞台「バリーターク」初日レポート

草彅剛が主演する舞台「バリーターク」が4月16日、KAAT神奈川芸術劇場で開幕した。公演初日をリポートする。 文・沖浦裕明(GQ) 写真・細野晋司
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豹変した
開演の1時間前、草彅の楽屋からは恒例となりつつあるアコギの音色が聴こえてきた。挨拶をしに部屋に入ると、本番前の緊張はまったく感じられない。これから舞台に立つというのに表情には余裕すら浮かんでいる。

そして1時間後、幕が上がった舞台上には"別人"がいた。

草彅は役の「男1」に全力でなりきっていた。「バリーターク」なる謎の村について語り、村人とされる人物のものまねをする。「バリーターク」が何かは最後まで明かされないが、草彅の演技は、謎のままの「バリーターク」の景色や村人の顔を観客に思い浮かばせるようになる。女性の声色のときもあれば、「男1」の気が触れる瞬間もあり、意味不明の痙攣もある。約100分間、「男2」を演じる松尾諭といっしょに膨大なセリフを喋り続けた草彅は終演後、「僕の汗の量の多さがすべてを物語っていると思います(笑)」とコメントした。なるほど、かれが着たTシャツとカーゴパンツ、それに髪の毛はびしょ濡れだった。

3年ぶりの舞台出演となる草彅 / KAAT神奈川芸術劇場×世田谷パブリックシアター「バリーターク」

憑依型の演技
草彅の演技は、故つかこうへいや今年2月に逝去した大杉漣(4月14日のお別れの会では草彅が弔辞を読んだ)をはじめ、数々の舞台監督や映画人に賞賛されてきた。"スイッチの入る"憑依型ともいわれる。「バリーターク」での演技はまさにそれだ。スイッチが入っていた。

KAAT神奈川芸術劇場×世田谷パブリックシアター「バリーターク」

「バリーターク」はアイルランドの劇作家であるエンダ・ウォルシュの作で、日本ではこれが初演。演出はKAAT神奈川芸術劇場の芸術監督である白井晃が務めた。草彅と松尾に加え、物語の鍵を握る「第3の男」として小林勝也が出演している。

4月14・15日のプレビュー公演を経て4月16日の開幕から5月6日まで同劇場で開催されたあとは、5月12日〜6月3日に世田谷シアタートラム、6月16日と17日の2日間で兵庫県立芸術文化センターを巡回し、計61公演を行う。

松尾諭 / KAAT神奈川芸術劇場×世田谷パブリックシアター「バリーターク」

ここでブレーキング・ニュースをひとつ。4月19日までの2週間、限定公開された映画『クソ野郎と美しき世界』の続編製作が決定した!

小林勝也 / KAAT神奈川芸術劇場×世田谷パブリックシアター「バリーターク」

舞台『バリーターク』
部屋には2人の男。彼らは目覚まし時計の音で起き、80'sの音楽を聴きながら、部屋をかけまわって着替えて食べて踊ってフィットネスをして、バリータークという村の話を語る。ふたりはだれか。どこにいるのか。そして壁の向こうには何があるのか?

作:エンダ・ウォルシュ
翻訳:小宮山智津子
演出:白井晃
出演:草彅剛、松尾諭、小林勝也
日程:2018年4月14日(土)〜5月6日(日)KAAT神奈川芸術劇場
(4/14・15はプレビュー公演)
5月12日(土)〜6月3日(日)東京・世田谷シアタートラム
6月16日(土)〜17日(日)兵庫県立芸術文化センター