『劇場版 ルパンの娘』で、泥棒一家の家長を貫録たっぷりに演じた渡部篤郎は、「これまでにないタイプの作品だった」と語る。
「今まで、シリーズものや続編というものに縁がなかったので、好きな作品にまた参加することができて素直に嬉しかったですね。武内(英樹)監督は──僕は“近所の巨匠”と呼んでいるのですが──とても深いところまで考えて的確な言葉で指示を出し、ぶれや迷いのない人。演じる側としては、監督がイメージしている通りに自分を当てはめるように努めました。これがまた難しいのですが、それが役者の仕事ですから」
泥棒一家こと、“Lの一族”の大黒柱である三雲尊は、個性的なキャラクター陣の中でもひときわ、異彩を放っている。シーズンを通して演じ続けるうちに、自身の中で役柄が変化していくことはあったのだろうか。
「あまりそういうのは感じませんでした。でも、シーズン2から、この作品の見せ場でもあるミュージカル風のシーンで、尊も踊りはじめたんです。観ている方々に『こいつもこういうの、やるんだ』と思ってもらえるのは楽しかったかな」
ボディラインを強調する泥棒スーツをはじめ、三雲夫妻(妻の悦子を演じるのは小沢真珠)が着こなす華やかなファッションも見どころのひとつだ。
「衣装に関しては、僕自身もアイディアを出して、スタイリストさんと一緒に考えました。シンプルだけどちょっと形や色が変わっていて、いかにも尊が好みそうな感じのものを選んだつもりです。スーツの胸元に生花を挿すなんて、普通の人ならまずやらないですよね(笑)」
本作に出演して驚いたことは、自分の家族がファンになってくれたことだという。
「それはすごく大きかったですね。一番近いところにファンがいてくれて、楽しく観てくれている。単純なことかもしれませんが、なにより励みになりました」
『劇場版 ルパンの娘』は「幸せな気分にさせてくれる映画」だと語る。
「最近なかなかないタイプの作品だと思います。楽しくて観やすくて、幸せな気分になれる。映画が公開されたら、家族で一緒に観にいこうと話しているんです。彼らの反応が楽しみですね」
伝説の泥棒一家・Lの一族が突然、泥棒引退を宣言! 最後の大仕事のために、ディーベンブルク王国へ向かった彼らだったが、謎の敵"OKER"に嵌められ、一族崩壊のピンチに! そして、一族の娘・華は、もう1人のLの一族・玲の存在、さらには自身の出生の秘密を知ることに。Lの一族、玲、そして華。すべての真相には、決して盗み出せない家族の絆があった──。