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17歳の羽生結弦に世界一の予感──フォトグラファー・田口有史が振り返るスポーツ名場面 Vol.13

新型コロナウイルスの影響で世界中のスポーツの試合が中止を余儀なくされるなか、GQでは歴史的瞬間も含めて、フォトグラファーの田口有史が切り取ったスポーツの名場面を蔵出し紹介する。第13回は2012年NHK杯の羽生結弦。
17歳の羽生結弦に世界一の予感──フォトグラファー・田口有史が振り返るスポーツ名場面 Vol.13

Vol.1:WBC 優勝! イチローの名場面はコチラから
Vol.2:世界選手権優勝! 羽生結弦の名場面はコチラから
Vol.3:メジャーデビュー戦! 大谷翔平の名場面はコチラから
Vol.4:スーパースラムを達成! 羽生結弦の名場面はコチラから
Vol.5:後進を指導中をキャッチ! イチローの名場面Part.2はコチラから
Vol.6:メジャーデビュー戦。1番センター、イチロー!
Vol.7:福岡堅樹、華麗なトライに“フェラーリ”の片鱗!
Vol.8:ピカピカの大学1年、八村塁!
Vol.9:大坂なおみ、全米オープン準決のスマイル!
Vol.10:浅田真央、躍動する15歳!
Vol.11:初アーチの大谷翔平にメジャーの洗礼!
Vol.12:浅野拓磨、韓国戦の逆転ゴール!

2012年11月24日、宮城県利府町「宮城県総合運動公園総合体育館(グランディア・21)」にて

カナダへ拠点を移した当時17歳の羽生結弦選手が、地元の宮城県で開催されるNHK杯国際フィギュアスケート競技大会に凱旋帰国した。

ショートプログラムでは当時歴代最高となる95.32点をマーク。フリーでは後半に疲れからスピンの途中で転んでしまうミスがあったものの、165.71点をマークして総合261.03点でNHK杯初優勝を果たした。

スピンで転倒するミスもあって、フリーの演技後は思わず苦笑い。

この年の3月には世界選手権で銅メダルを獲得していた17歳の羽生選手。すでにスタイルの良さが際立っており、手足の長さ、顔の小ささ、そして引き締まった体躯は、表現力を競うフィギュアスケートではアドバンテージになるだけに、当然期待は膨らんだ。

それだけではない。コメントが注目されることも多い羽生選手だが、17歳の高校生がNHK杯の試合後に「ファンの方々の声援が原動力となっていたので、自分の力だけでこの演技はできなかったと思います」とコメントしているのを聞いたときは、「今後、男子フィギュアで世界一になる可能性がある日本人は、羽生選手しかいないだろうな」と、確信したのを覚えている。

写真、文・田口有史