沖縄の森にある1日1組の限定宿、「今帰仁 石蕗」── 一人を愉しむ隠れリトリート宿

那覇空港から車で約1時間半ほど。沖縄にある「今帰仁 石蕗」は、約1000坪という広大な森の中で至福の時を過ごすことができる限定宿だ。

開放感たっぷりの客室。

手つかずの森に佇む限定宿

亜熱帯の樹木が鬱蒼と生い茂る沖縄・今帰仁の森。この森を守るため、新見美也子が営む1日1組限定の宿が、「今帰仁 石蕗」だ。新見が、森に導かれるように都会から移り住んだのは7年前。沖縄本島北部に位置する今帰仁は、透明度の高い海と真っ青な空、内陸には手つかずの森を残す。その森をどうやって守っていくのかを考えるうちに「宿」として活かすことに行きついた。4年間の構想期間を経て、2023年にオープン。地元の設計士の山口博之やアドバイザーを務める陶芸家・造形作家の内田鋼一など、新見の想いに共感したクリエーターたちが集い、共に作り上げた。

朝食は、竈で炊いた熱々のご飯とシンプルに調理した島野菜。玄米食、ヴィーガン食も予約可能。

およそ1000坪の広大な森は、それぞれの場所の魅力を享受できるように深山、里山、集落の3つのエリアに分けられ、建物の外壁は周囲の自然に溶け込むように焼杉で統一されている。集落エリアには、レセプションを兼ねるシンプルで洗練されたデザインの管理棟があり、宿泊客が占有する里山エリアには、見晴らしのよい高台に宿泊棟を置いた。客室の海側、山側の大きな窓にはあえてカーテンは付けず、開ければ心地よい風が吹き抜ける。目の前の森を透かしてコバルトブルーの海が輝き、背後には自生する木々の濃密なグリーンが迫る。大自然の迫力に息を呑むばかりだ。開放感にあふれる空間にはセミダブルベッドが2台。頬をくすぐる風と、肌触り抜群のスーピマコットンのシーツの心地よさで、すぐに眠りに落ちてしまうはずだ。

好きな時間に自由に使える食事棟

古宇利島を正面に見る食事棟には、ガスコンロやオーブン、冷蔵庫など、調理に必要な設備がすべて揃い、自分で料理をするもよし、出張シェフを招くもよし。深夜早朝を除けば、好きな時間に自由に使えるというのも勝手がよい。翌朝は、オーナーが自ら竈で炊いたご飯と島野菜のおかずの朝食。淹れたてのコーヒーとともに、朝の空気を存分に味わう。里山エリアの外れには露天風呂もあり、ここでもまた自然に包まれて過ごす至福の時間が待っている。

食事棟「石の棟」は正面に古宇利島を望むオープンエアの食堂。

「今帰仁 石蕗」

森に宿泊棟、食事棟、露天風呂が点在。那覇空港から車で約1時間半。空港や近隣のバス停までの送迎も頼める。

沖縄県国頭郡今帰仁村諸志1969
☎090-5525-4239
https://nakijin-tsuwabuki.jp/

文・熊野 由佳 編集・橋田真木(GQ)

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インスピレーション源は、ル・コルビュジエが設計したフランスのラ・トゥーレット修道院。カマボコ型の天井と美しいカラートーンが印象的な五島列島の宿で、1人の時間と自然を満喫したい。