新車値引き情報
更新日:2023.02.25 / 掲載日:2023.02.25

X氏の値引き大作戦 ヤリスクロスが「破格」の18.0万円引き!?

“ヤリクロ”納期1年値引き激渋。越境交渉も不発。新古車は割高やん。必殺ハンコ作戦でむちゃを通せ!

【プロローグ】 まずは、私の過去のクルマ選びを少しばかり聞いてください。
 今を去ること41年前、免許を取ってすぐに購入したのがBD型ファミリア。そのときに知り合ったセールスさんは私と相性がぴったり合いました。誠実で、しかもクルマ好きなので、話していてとても楽しい。以来、浮気することなく、合計8台のマツダ車を乗り継ぎました。
 ところが6年半ほど前、事件が起きました。当時、乗っていたアクセラが事故に遭い、修理見積りを出してもらうと、思ったより高額でした。
 そこで、急遽、買い替えを決めたのですが、前述の懇意にしているセールスさんはあいにく転勤となっていました。
 それでもこれまでの付き合いから「デミオか、アクセラを選ぼう」となったのですが、マツダのディーラーが提示してきた下取り額は事故車を理由に、たったの10万円……。
 半信半疑で買い取り専門店に査定してもらうと、なんと40万円の値を付けてきました。
 マツダからマツダへの買い替え(しかも過去に8台購入した得意客)なのに、下取り額を買い取り専門店より30万円も低くするなんて、ありえへん、こりゃアカンわ。
 出かけたついでに、ふらりと寄ったスズキの販売店でソリオに遭遇。試乗すると乗りやすいし、乗り心地もいいので、これなら妻も気に入るだろうと、急転直下、ソリオが浮上。商談してみると「下取り額は買い取り専門店に合わせて40万円にします。納車まで代車を出します」とのことです。
 ここで、マツダに戻ってスズキの条件を伝えると、ようやく「Xさん、ちょっと待ってえなぁ」ときました。
 やっぱり最後はマツダがやってくれる、と期待したのですが、下取り額は20万円でストップ。
 結局、長年付き合ってきたマツダと、ついに決別することになってしまいました。
 さて、本題です。そのときに購入したソリオバンディット(ハイブリッドMV)もそろそろ買い替え時。ターゲットはヤリスクロス。対抗はロッキー/ライズ。ソリオの車検は半年しか残っていないので、納期によっては車検を通して納車を待つことになりそうです。本来なら「車検切れに間に合わせたい!」となるところですが、本命のヤリスクロスは月刊自家用車の最新情報によると「10~12か月待ち」とのことなので、ほぼあきらめています。

【交渉1日目(日)】 下取り車のソリオを購入したスズキからフェアの知らせが届きました。「キッチンカーがやってきて、できたてのクレープが食べられる」とのことなので、娘を連れて出かけました。
 スズキのディーラーは改装中とのことで、隣のダイハツさんに案内されました。なんで、スズキとダイハツが繋がっているんだ……と思ったら、実は、どちらのディーラーも経営資本が同じだそうです。
 展示してあったロッキーを見ていると、スズキのセールスさんが「試乗してみませんか?」と勧めてきました。
 試乗車はハイブリッドで乗り心地もよく、静かでよく走る。娘も「速っ!」と喜んでいます。
 試乗後「見積もりが欲しい」と伝えると、担当セールスさんは一気に売る気モードになりました。しかし、提示してきたロッキーの条件は値引き10万円、下取り50万円とのことです。ついでにソリオバンディットもお願いすると、値引きも下取り額も同じと出ました。納期は「すみません、半導体の供給不足で生産が遅れに遅れています。ロッキーは1年くらい。ソリオは半年くらいかかります」とのこと。
 自宅に戻って、妻に相談すると「ユーチューブを観てたら『新車は買うよりサブスクのほうがいい』らしいよ」といわれました。最近、カミさんはインターネットでいろいろな情報を仕入れてきます。
 ともあれ、新車のサブスクを調べたら、トヨタはKINTOというシステムを積極的に売り込んでいます。私には「買わずに借りる」というのがなんとなくしっくりきませんが、我が家の財務大臣の意見は無視できません。そこで、Webサイトを通じてKINTOの見積もりも取って、比較してみることにしました。
 私としてはKINTOの納期がめっちゃ短い(約1.5か月)のが魅力的ではありましたが、妻は納期を気にしていない様子でした。

【2日目(日)】 インターネットでヤリスクロスの試乗車があるのを確認し、近所のトヨタA店にアポを入れました。
 早速、出向いてみるとベテランのセールスさんが対応。ヤリスクロスのハイブリッドに試乗させてもらうと。静かで速いし、その上、燃費も期待できる。めっちゃ欲しいモードとなりました。ただ、ソリオよりでかいから妻はNGやろうなあ。
 値引きは14万円。ライズの見積もりも出してもらったけれど、支払い総額の差は10万円ちょい。だったら、ヤリスクロスのほうがええやん!
 KINTOの話をすると、セールスさんはとたんにテンションが下がる。どうもあまり歓迎していない様子です。
「Xさん、KINTOにするよりも、5年後の下取り額を先取りできる、残価設定型のローンのほうがお勧めです」
「ローンを利用するつもりはありません。現金購入か、KINTOを考えています。どちらにしても条件が納得いかへんかったら無理に買い替えんとソリオの車検を通すわ」
 と伝えて店を出ました。
 後日、松本さんに訊ねたら「サブスクの場合、セールスマンの販売成績にならないケースが多い」とのことです。

【3日目(日)】 大阪府在住ですが、我が家は県境の近くにあります。そこで、月刊自家用車で勧めていた越境交渉を仕掛けることにしました。
 アポを取ってから隣県のトヨタB店を訪問。応対してくれたのは、かっこよくスーツを着こなした、イケメンのセールスさんです。ショールームには新型クラウン・クロスオーバーがドェーンと鎮座ましましていて、これまで出向いたディーラーより高級感が漂っています。そういえば、このディーラーは以前、クラウンの販売店でした。
 ここではライズに試乗。途中でイケメン氏と話をしましたが、なんとなく小型車の売り込みには熱が入らない様子です。
 さらにKINTOの話をすると露骨に嫌な顔をされてしまいました。イケメン氏、わかりやすい性格です(笑)。
 店に戻って商談開始。ところが見積書には肝心の値引き額が未記入。売る気、あるんかなぁ。
 なお、下取り車に関しては「納期に長い時間がかかるので、納車直前にはっきりした査定額を提示することになります」とのことでした。


えっ!?セールスマンはサブスク嫌い。やっぱり“いつもニコニコ現金払い”

【4日目(日)】 再び越境してトヨタB店へ。この店では候補にあがっているヤリスクロスとライズ、シエンタがすべて展示してあるので、妻にいっぺんに見せることができます。
 今回はシエンタに試乗。とても乗りやすいし、いま乗っているソリオと使い勝手が変わらないので、カミさん的にはアリなのかなと思いました。
 ところが、店を出てから妻にシエンタの感想を聞くと「とても300万円もするクルマには見えないし、乗っていて楽しくない。デザインが趣味じゃない」とさんざんです。
 したがってシエンタは即、ボツに。ちなみにセールスさんとは相性がよくありませんが、妻によれば「出してくる飲み物やお菓子がとても上品で、お店の印象はとてもいい」とのこと。そこを評価するんかい(笑)。

【5日目(木・祭日)】 ネットで一括査定を依頼したら、すぐさま買い取り専門店から電話の嵐! 月刊自家用車には「殺到するので心してかかるように」と書いてありましたが、これほどとは思いませんでした。
 ともあれ、こりゃたまらん、さばき切れないので、いったん断って訪問方式に切り替えることにしました。
 大手の買い取り専門店2社をまわると、どちらも査定額は50万円。ただし1週間以内の引き渡しという条件付きです。
 私が「クルマなしの生活は過ごせないので、売却は新車の納車とタイミングを合わせる。クルマによっては納期が1年もかかる」と伝えると、買い取り専門店の担当さんは「Xさん、新古車にしませんか? これならすぐに乗れますよ」と勧めてきました。
 でも、値段を聞くと、どれも新車よりかなり割高やん。とても買う気になれへんわ。
 アポを取ってから、地元のトヨタA店を訪問。2回目の商談です。例のベテラン氏が応対してくれました。なお、前回のヤリスクロスの値引きは14万円。
 今回はソリオの査定をしてもらいました。提示してきた下取り額は56万円!
「ヤリスクロスの納期は1年近くかかると思ってください。でも、この56万円は納車時まで据え置きます」
 買い取り専門店ではすぐに引き渡しで50万円だったのに、1年間据え置きで56万円。トヨタA店の場合、半年後の車検を通してから引き渡すということになるので一概には比較できませんが、それにしても1年間据え置きで56万円は超・高取り!すごい!
 さらに値引きは15万3000円にアップ。これで支払い総額は258万円となりました。
「うちで車検を通していただければ、費用は6万円です。もちろん、ほかの業者さんで通していただいてもかまいません」
 トヨタA店が急浮上です。
 ここにきて「ヤリスクロスしかない!」という気持ちが強くなってきました。となるとトヨタ同士の競合が重要になってきます。
 そこで、経営の違うトヨタC店に乗り込みました。アポを取っておいたので、すぐに応対してくれます。担当は社会人2年目という新人君です。
「ヤリスクロスを検討しています。ほかのトヨタもかなりいい条件を出していますよ」
「わかりました、頑張ります! 店長に相談して、ご納得のいただける条件を出します」
 おおっ、この新人くん、めっちゃ感じがいい。「条件しだいでは買ってもいいやん!」。
「頑張ってや! 期待してるで」(“すぐ決める”オーラをガンガン出したつもりだったんですが……)
 店長決裁を取りつけて提示してきた値引き条件は15万円。下取り額は「納車まで据え置き」で30万円。
 ガクッ。話にならないので、ボツ。惜しいなあ、最初からギリギリはよう出さんかな。
 FPの資格を持っている妻と家族会議。KINTOの見積もりと、現金購入の見積もりをじっくり比較した結果、「長く乗るならサブスクよりも購入したほうが有利」との結論に達しました。
 正直、KINTOは資金不足の若い人には向いている買い方ですが、我が家にはほとんどメリットが感じられません。
 ヤリスクロスには難色を示すと思っていた妻ですが「サイズ的にもちょうどいいし、お父さんが気に入っているクルマを選んで長く乗ってもらったほうが、結局、得になる」との見解を示してくれました。
 残る問題は“1年待ち”という納期ですが、これは「格安で車検を通して納車を待つ」ということに落ち着きました。なによりもトヨタA店の56万円で「下取り額は据え置き」というのが嬉しい! 「納車まで乗りなれたソリオにタダで乗れるようなもん」です。
 とはいっても、早く決めないと納期はどんどん延びてしまいます。ここはひとつ、トヨタA店に絞って一気に決めようということになりました。なお、私の希望でディーラーオプション(付属品)約7万円分を追加することにしました。
 ここで、松本さんにメールで経過を報告し、アドバイスを求めました。すると、
「最終交渉は強気で攻めるのが秘訣です。他社との競合を伝えて『7万円の付属品を追加して支払い総額を据え置きにしてくれるなら、この場で契約する』と迫ってみてはどうでしょうか? 難色を示してきたら妥協案を探りながら契約までもっていくのがセオリーです。なお、下取り額はかなりの高取りです。1年後も据え置きなら文句なしでしょう」
 とのメールが返ってきました。よし、やるぞ!


下取りも支払い額も据え置きや! 土壇場で一本取られました(爆)

【6日目(土)】 まずはヤリスクロスの大きさ/乗りやすさを妻に最終確認してもらうため、トヨタA店に試乗車を用意してもらいました。
 トヨタA店を訪問。妻が試乗車を運転して我が家に戻り、車庫入れをしてみました。
 問題なし。これでヤリスクロスに正式決定。あとは最後の勝負をかけるだけです。
 再びトヨタA店へ。ベテラン氏、ニコニコと出迎えてくれました。準備した印鑑をテーブルに置く。これまで登場してきたX氏がよくやっている「ハンコ作戦」です。いちどこれをやってみたかった(笑)。
 前回の条件は値引き15万3000円、下取り56万円。支払い総額は258万円。
「いろいろ検討しましたが、結局、本命のヤリスクロスに決めました。あとは『どこのトヨタから買うか?』だけですが、今回商談したなかではセールスさんとの相性が一番いいようです。で、こちらから買おうと思っています」
「ありがとうございます」
 ベテラン氏、すっかり「よし、勝った!」という表情を浮かべています。
「家族会議を開いた結果、契約の前にお願いがあります。前回の見積もりに入っていたメーカーオプションのドライブレコーダー(前方のみ)はやめて、ほぼ同額で買えるディーラーオプションのドラレコ(前方/後方)に変更してください。さらにディーラーオプション約7万円分を追加して支払い総額を258万円、そのままに据え置いてくれたらこの場で契約します。ほら、ご覧の通りハンコも持ってきていますよ」
「う~ん……(電卓をたたきながら)かなり値引きと下取りを上乗せしなければなりません……しばらくお待ちください」
 といって、奥に引っ込んでしまいました。
 あっというまに10分が経過。20分たっても戻ってきません。30分くらいして、ようやく戻ってきました。
「Xさん、なんとか決裁を取りました。ご希望の付属品を付けて258万円にします。決めてください!」
 最終的な条件は車両本体とメーカーオプション15万4000円/付属品27万5330円から17万9950円引き、下取り額60万9770円(リサイクル預託金9770円)となっていました。
「ありがとうございます。頑張ってくれましたね。じゃ、ハンコを押しましょう」
「あのう、最近、契約はタブレット端末にサインをいただく方式になったんです。だからハンコは不要です」
 ガクッ。最後は一本取られました(笑)。

購入データ
TOYOTA ヤリスクロス
ハイブリッドZ
From大阪府
トータル値引き 18.0万円
値引き採点 5
値引き額だけで評価すると採点は3だが、下取り額の61万円(1年間据え置き)は破格。高取り分を含めると実質的な値引き額はウルトラCクラスの30万円を超えるため採点は5とした。


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ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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