温故知新が優勝の決め手かな?
毎年開催されている「The Best illusion of the Year Contest(ベスト錯覚コンテスト)」にて、日本人の杉原厚吉さんがまた優勝されました。彼の作品は古典的な錯視のイラストを立体的な模型にしたもので、その効果は2次元でも3次元でも変わらないことが証明されています。
優秀作品がベスト3まで発表されているので、3位、2位、1位と順番にご紹介します。その数学的なイリュージョンの世界をとくとご覧ください。
3位:「Impossible grid typography」
オランダのDaniël Maarleveldさんが考案したのは、まるで「メビウスの輪」のように裏と表が繋がり表面が回転する文字。これらは硬いのか柔らかいのか? どちらの方向に回転しているのか? それとも角は奥へと凹んでいるのか、それとも手前にせり出しているのか? 常に表情を変える不思議なタイポグラフィーです。
2位:「The Real Thing??」
英国のMatt Pritchardさんが作ったのは、鏡の中は反射した世界かと思いきや、実はフレームの奥は繋がっているというもの。錯視というよりは手品のような視覚トリックで、フレームの手前と奥に同じ缶や玉があると、人は勝手に「鏡に写っている」と思い込んでしまう固定観念を覆しています。
最後の赤と黄色の玉は再生速度を遅くするとよく分かりますが、奥の玉は色が半分半分で、指で素早く反転させています。ちょっとだけ、志村けんさんが得意だった合わせ鏡のコントを思い出しました。
1位:「3D シュレーダーの階段」
この大会で顔なじみの杉原厚吉さんが今回作ったのは、古典的な錯視の平面イラスト「シュレーダーの階段」を立体化したもの。上下を反転させても同じ階段に見えるのですが…それは平面ありきではなく、3次元になっても視点を変えなければ同じ効果を生むのです。
ちなみにですがこの階段は、芸術家のM.C.エッシャーが『凹凸』や『Relativity』という作品でもリアリスティックに描いた階段としても知られています。
明治大学の杉原厚吉さんは、いくらクルクル回転させても絶対に右しか刺さない矢印オブジェを作った方でもあり、同大会で2016年には2位に、2018年には優勝された常連さんです。ちなみに2019年は、東京大学の福田玄明(はるあき)さんが2位に輝いています。
毎年不思議なイリュージョンで、私たちを魅了する学者の皆さんも凄いですが…こうした視覚トリックで騙されちゃう我々の脳ミソもまた、面白いなぁと思いますよね。
Source: YouTube (1, 2, 3) via The Best illusion of the Year Contest via bOinGbOinG
Reference: Wikipedia