小誌の読者モニターアンケートでいまのヘアスタイルの悩みを調査したところ、上位に挙がったのは“薄毛”、“白髪”、“乾燥”でした。お手入れに努めていても、年齢や環境によりままならないのが『婦人画報』世代の髪なのです。

そんな私たちの憧れは、俳優・檀れいさんの髪。

同世代でありながら、“三大悩み”を感じさせないところが注目を集めているようです。いつも豊かで色艶がよく、健康的な髪──。檀れいさんのヘアスタイルの魅力を繙きながら、いま私たちにできることを考えました。

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●檀れいさんの「ヘアスタイル」インタビュー
●ヘアカット、ヘアメイク担当からのポイント
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髪に優しく。自分のクセも楽しむ。

檀れい ヘアスタイリング
撮影=富田眞光(vale.)
トップス/32,000円スカート/42,000円(ともにCFCL/cfcl.jp)イヤリング/1,210,000円 リング/1,320,000円[ともにダイヤモンド×YG×WG](ともにブチェラッティ)

「ヘアスタイルはどこかに丸みをつけるようにしています」

いま、俳優・檀れいさんの髪形が同世代の女性から厚い支持を得ています。役柄に合わせて髪形を変えたとしても、洗練されていて、本人に似合っている──。それだけではなく、どんなヘアスタイルのときも髪の悩みを感じさせないため、憧れの声が集まるのかもしれません。

「そのように言ってもらえるのは嬉しいです。私の髪形は職業柄、自分の髪であって自分の髪でないところもあり、新しい役を演じるときにはヘアサロンの担当者とイメージを共有して毎回作り上げているんです」と檀さん。私たちがテレビや映画で檀さんのヘアスタイルを素敵だと思うのは、こうした役作りが見事に成功している証しともいえるでしょう。

今回の撮影時のヘアスタイルは檀さんのお気に入り。「いまの長さくらいが落ち着きます。一束に結ぶことができるのも嬉しい。昔は自分でよく髪を作っていたので、ヘアセットは苦手ではありません。でも自分で試行錯誤をするよりも、プロに教えてもらったほうが簡単。ヘアサロンで髪を切ったとき、『アイロンでここに動きを作るといい』『くるくるドライヤーで髪をふんわりさせるといい』などアドバイスをもらって日常に取り入れています」

アレンジ上手の檀さんのヘアスタイルには、いつも女性らしい丸みがあります。これは自分でも意識していることなのでしょうか? 「丸みは大事。日常でスタイリングするときも、どこかに緩やかな曲線を作るようにしています。頰のやや下あたりにボリュームを出すと華やか。年齢とともに顔が痩せても、髪形に丸みがあると豊かに見えます。しかも首も細く見えると思います」

檀れい ヘアスタイリング
撮影=富田眞光(vale.)
ドレス/71,500円 プリーツカラー/19,800円(ともにリュンヌ/ラトリエ・エム)イヤリング/245,300円[マベ真珠×WG](TASAKI)

「これまで髪を酷使してきたので”髪に優しく、無理をせず”」

髪の悩みなどなさそうに見える檀さんですが、年齢を重ねて髪にも変化を感じるようになったのだそうです。「もともと少しクセがあり、昔はストレートヘアに憧れてパーマをかけたりしていましたが、いまはそのクセも生かすよう発想を変えています。20~30代のころとは髪のボリュームが変わってきたのですが、年齢とともに変化があるのは当たり前です。私にも髪に対する悩みはありますが、いまの髪を楽しんで向き合っていきたいと思っています」

宝塚時代は髪を染めたり、きつく結んだり……約13年半も髪を酷使してきたという檀さん。退団してからは「髪に優しく」をモットーに掲げているのだそうです。「いまでも仕事柄、髪に負担をかけることはありますが、それでもできることはやりたい。ちょっとしたことの積み重ねなのかな、と思います。

例えばシャンプーのついでに、専用のブラシで頭皮マッサージ。健康な髪を育む頭皮はできるだけ柔らかくほぐしておきたいのですが、がんばりすぎると大変なので、シャンプーをしながら気持ちいいからやろう……というくらいの気楽さが続けやすいです。

また、ドライヤーの熱で髪が乾燥してしまうので、その対策として髪を乾かす前には必ずヘアオイルを多めに塗ります。ドライヤーも髪に優しい美容効果のあるものを愛用中。低温の風で乾かしたあとは、仕上げに冷風をあてて毛髪の表面をキュッと引き締めるようにしています」

檀さんのお話を聞いていると、髪をいたわり、日々の小さなお手入れを続けることこそ大切だと納得させられます。しかしそれよりも大事なことがある、と檀さん。「何より健康あっての美。それは宝塚のころから変わりません。日々の食事はご飯とお味噌汁、お魚や煮物……という和食中心。睡眠はしっかり7~8時間とる。毎日できるだけ湯船に浸かる。週1回ピラティスに通う。規則正しくて健康的な生活は自分自身が落ち着きますし、肌や髪にも表れます。健康を保つように心掛けることも仕事のひとつかもしれません」

檀れい ヘアスタイリング
撮影=富田眞光(vale.)

ヘアカットを担当する保科真紀さんの視点

ヘアサロンで檀さんを担当している「ウカ」の保科真紀さんは「檀さんの髪はクセがあって硬く、どちらかというと“難しい”髪質」と語ります。「しかしそれを逆手にとってカット。華やかなフォルムを叶えています。また、檀さん自身が“クセを生かす”と言うように、髪全体ではなく表面のほんの一部にだけストレートパーマをかけています。そうすることで、本来の髪の豊かさを生かしながら扱いやすくなります。年齢を重ねると時を戻そうという考えをもつ方が多いのですが、檀さんはいつも“いま”を追求。だからおしゃれで憧れられるのだと思います」

檀れい ヘアスタイリング
撮影=富田眞光(vale.)

ヘア&メイクを担当する黒田啓蔵さんの視点

撮影などの現場で檀さんのヘア&メイクを担当する機会が多いヘア&メイクアップアーティストの黒田啓蔵さんは、「檀さんは容姿そのものが美しい人なので、メイクは華やかで贅沢なものも素敵ですが、ヘアスタイルはご本人の素材がより引き立つようにといつも心掛けています」と語ります。「髪形はいわゆる“巻き髪”よりもツヤを整える質感重視のへアスタイルにして、クリーンな美しさを表現させていただいています。そんな引き算から生まれる檀さんの“ツヤと清潔感”があるヘアスタイルは、どんな人にもおすすめです。真似してほしいと思います」

だんれい〇 1992年、宝塚歌劇団に入団。1999年より月組トップ娘役を、2003年からは星組トップ娘役をそれぞれ務める。 2005年に退団し、現在は俳優として映画やテレビ、舞台などで活躍。 初舞台より30周年を記念して宝塚歌劇団の退団後、初の主演ライブを2022年12月7日東京・丸の内「コットンクラブ」にて開催。


撮影=富田眞光(vale.) ヘア&メイク=黒田啓蔵(Iris)スタイリング=浜田英枝 編集=松永裕美

『婦人画報』2023年1月号より