昔より京都の家庭で作られてきたお総菜は、“おばんざい”と呼ばれています。実際に京都の家庭では、「おかず」「おまわり」「おぞよ」などといわれることが多いのですが、京都のふだんの食卓に並ぶ、四季折々の家庭料理のことを指します。
編集部おすすめの京都 昔より京都の家庭で作られてきたお総菜は、“おばんざい”と呼ばれています。実際に京都の家庭では、「おかず」「おまわり」「おぞよ」などといわれることが多いのですが、京都のふだんの食卓に並ぶ、四季折々の家庭料理のことを指します。 一般的には薄味で、鰹節や昆布、椎茸のだし、油揚げ(おあげさん)を使った煮物(炊いたん)など、シンプルな味わいが特徴です。旬の京野菜を中心に季節を味わう日常の味にこそ、京の食文化の奥行きとその醍醐味が感じられるはずです。一度ならず、二度、三度と通いたくなる、「名店」の味をご堪能ください。
2016年06月29日掲載
本記事は、婦人画報監修の京都情報サイト「きょうとあす」から移行しました。
1952(昭和27)年創業、おばんざいの老舗。お酒に合う季節の一品が味わえます。贔屓客には文化人も多く、中でも司馬遼太郎は新聞記者時代からの常連だったそう。「亡くなられるまで年に数回お越しくださいました」と、3代目のご主人。店内に飾られている扁額や屛風はファン必見。
一番人気のきずし800円と、野菜の炊き合わせ1,000円。
先斗町 ますだの詳細をみる
快活で折り目正しいご主人が笑顔で迎えてくれる路地奥の割烹。地元はもとより全国にファンをもつ先斗町の名店です。旬の素材を盛り込んだ名物の釜飯に加え、お造り、焼き物、煮物、揚げ物…と旬味も充実。コース・単品ともにボリューム満点ながら、一人客にはあれこれ食べられるよう量を加減するなど、細やかな気配りもうれしいお店です。
京野菜をたっぷりと使った、常連客が愛する味。賀茂なすの味噌田楽1,500円、万願寺とうがらし 700円、湯葉と生麩の野菜あんかけ2,000円。
余志屋の詳細をみる
四条木屋町を南に下がった風情あるエリアに、ひっそりと暖簾を掲げる「ふじ井」。先斗町に近く、芸舞妓さんのうちわが飾られた店内は、家でくつろいでいるようなほっとできる雰囲気で、一人客も多くその7割ほどは女性だそう。ご主人が一つひとつ丁寧に作るおばんざいは、野菜を中心にしたヘルシーなものばかり。自家菜園で季節の野菜を少しずつ育て、日々のメニューに取り入れているそうです。もう一つの看板メニューは、焼き魚。中央市場から仕入れる干物を絶妙の火加減でふっくらと焼き上げてくれます。ちょっとずつつまみながらお酒を嗜むもよし、白ご飯と味噌汁を頼んでしっかり夕食を摂るもよし。毎日通いたくなる一軒です。
おばんざいは、毎日5、6種類ほど。体にやさしい、これぞ和食がいただける。
おばん菜 ふじ井の詳細をみる
古いお茶屋さんを改装した店内は、宮川町の街並みに溶け込む風情ある佇まい。とはいえ、店名に「ごはんや」を冠するこちらは、気負わず「いつものごはん」が楽しめるお店です。野菜をふんだんに使った「日替気分」は、メインのおかずのほかに、カレー風味の切り干し大根や、マヨネーズで和えたたくあん、自家製のちりめん山椒など、料理長・松本さんが丹精込めた副菜がずらり。まるで行楽弁当を広げたときのようなワクワク感が味わえます。「お造り気分」「天婦羅気分」と銘打った昼の定食のほか、時間に余裕のないときに嬉しい丼ものもあります。
豚肉と玉ねぎの炊いたん、野菜たっぷりのおかず、西京極の馴染みの豆腐屋さんの豆腐などを盛り合わせた「日替気分」1,000円。
ごはんや 蜃気楼の詳細をみる
「内儀家」とは、お家で頑張るお母さんたちに敬意を表して付けられた名前。もちろん、こちらの厨房を預かるのも女将さん。料理上手だったご主人のお母さんのレシピを再現した京都のおばんざいを中心に、「毎日食べても飽きがこない」家庭的な料理がいただけます。無農薬や減農薬の有機栽培の野菜、米、山菜、川魚、鶏など、ご主人の実家の美山から仕入れているので、新鮮で野趣に富んだ山の幸が楽しめます。季節限定の花山椒の小鍋や、味の濃い自家製ミントをたっぷり入れたモヒートなど、「内儀家」ならではのメニューもおすすめ。カウンターで日本酒や焼酎をいただきながら、美山の話や料理の話を伺うのも楽しいひとときです。
美山の素材を中心としたおばんざいはどれも美味。鶏料理もぜひ味わいたい。
内儀家の詳細をみる
店主、安川裕貴子さんが実家である元置屋の一角を改装して店を開いたのが、今から28年前。現在も芸舞妓さんに愛される気の置けないごはん屋さん。やさしい味わいのおばんざいや旬の素材でつくる季節料理など、メニューもいろいろ。なかでも、毎日、おだしを継ぎ足しながら味を守っているおでんは、絶品。色白ながらしっかり味が染みた大根やとろとろ柔らかなすじ肉など具もさることながら、だしも飲み干したくなるおいしさ。祇園の日常ごはんが楽しめ、観光客にも評判。最後の締めは、舞妓さんもよく注文するという「和風ピラフ」をぜひ。じゃこを使い、あっさり醬油味で仕上げた香ばしい風味です。刻んだ大根の葉のシャキシャキ感もいい。
菜処 やすかわの詳細をみる
「女性同志やおひとり様でも、気軽に立ち寄ってもらえたら」と、女将の松本美智代さんが、20年ほど前に先斗町歌舞練場前に開いた店。一年中味わえるおでん7、8種と季節の素材を使ったおばんざいが、大きな器に盛られて並んでいます。掘りごたつ式のカウンター10席だけのこぢんまりとした空間には、アットホームな雰囲気が流れていて、通いたくなる居心地のよさがあります。
冬瓜、ずいき、賀茂なす
ほっこりやの詳細をみる
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