コーエーテクモゲームスとのコラボレーションも見もの

 その圧倒的なスケールゆえ、映画化実現まで8年の時間を要した『のぼうの城』。脚本を手掛けた和田 竜が書き下ろした小説は、165万部を突破し、大ベストセラーとなった。2012年11月2日(金)についに公開となる本作は、コーエーテクモゲームスのニンテンドー3DS用ソフト『戦国無双 Chronicle 2nd』(2012年9月13日発売)や、プレイステーションVita/プレイステーション3用ソフト『信長の野望・天道 with パワーアップキット』(PS Vita版は2012年9月27日発売、PS3版は2011年5月26日発売)などとコラボレーションしており、ゲームファンも必見の作品となっている。

 ここでは、『のぼうの城』で石田三成を演じた、俳優・タレントの上地雄輔のインタビューをお届け。

映画『のぼうの城』で石田三成を演じた上地雄輔にインタビュー!_08

■映画『のぼうの城』とは?
天下統一まであと一歩と迫った豊臣秀吉が唯一落とせなかった城、忍城(おしじょう)。この忍城を舞台にくり広げられる、“のぼう様”こと成田長親が率いるたった500人の“忍城軍”と、豊臣秀吉の命を受けた石田三成率いる20000人の“天下軍”の戦いを描いた作品。犬童一心(『ゼロの焦点』)と樋口真嗣(『日本沈没』)の二大監督が奇跡のタッグを組み、狂言界の至宝にして8年ぶりの映画主演となる野村萬斎を主演に迎え放つ、今年一番のスペクタクル大作。

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上地雄輔
Yusuke Kamiji

――石田三成を演じることが決まったときのお気持ちを教えてください。
上地 僕、2009年の大河ドラマ『天地人』で、石田三成を裏切る小早川秀秋を演じていたんです。その直後に、今回の役をいただいたので、「えっ、そっち!?」と驚きました。とはいえ、お芝居の仕事をする中で、正反対の役を演じることはそうそうないので、楽しもうと思いましたね。

――役作りはどのように進めたのですか?
上地 自分がこれまで持っていた三成像を崩してみようと思いました。“のぼう”という人間を活かすために、僕に何ができるかを考えたとき、真逆の人間として三成を演じるよりも、共通点がある者として演じたほうがいいと思ったんです。三成がどのように“のぼう”に惹かれて成長していくのかを表現できれば、作品の深みが増すんじゃないか、って。

――もともと、三成に対してどのようなイメージを持っていましたか?
上地 三成については諸説ありますけど、一般的には“知将”、“うちに闘志を秘めた人間”、“冷静沈着な参謀”というイメージがありますよね。線が細い、という印象もあるかな。それらのイメージとまったく違うものを表現するわけではなくて、“石田三成”を構成する点は残しつつ、それらの点をどうやって線でつなげていくか考えました。

――では、そうしてできあがった、『のぼうの城』の三成はどんな人物なのでしょうか?
上地 試写会でご覧になったんですよね? 逆に質問させていただきますが、どういう人物に映りましたか?

――不器用な人間と言いますか……戦が得意ではないところが物語では描かれていますね。
上地 そうですね。ただ、それで「三成は才能がない」と片付けるのではなくて、フラストレーションが溜まっている三成が、“のぼう”に出会って、どう成長していくのかが、この台本に込められた意味なのだと思って演じました。三成には武運がないという事実を踏まえて、今後の三成がどうなっていくのかを、この映画を観終わった後に、友だちと話してもらいたいです。「あいつ、これからどうなるんだろうね?」、「かわいそうなことになるかもしれないね」って。観終わった後にいろいろな見解があるのが、映画のいいところだと思いますので。

――上地さんは、この映画の見どころはどこにあるとお考えですか?
上地 この映画には、善悪がないんですよね。三成に限らず、どの人物にもその人なりの生き様があり、心の移り変わりがあり、野心があります。乱世を生きた人たちの魅力が描かれている。見た人によって、気に入る人物が違ったらいいなと思います。見る回数によって変わってもいい。最初は“のぼう”が気に入ったけど、2回目は三成が好きになったとか。

――では、上地さんはどの人物が心に残っていますか?
上地 やはり三成が好きですね。そうでなければならないと思いますし。

――映画に限らず、戦国時代はさまざまなジャンルでかなりの人気を誇っていますが、戦国時代の魅力はどこにあると思いますか?
上地 「どうして戦国時代が好きなの?」と聞くのは、子どもに「どうして戦隊ものが好きなの?」と聞くようなものだと思うんです。好きで当然! みんな、もともと持っているんでしょうね、血というか、心沸き立つようなものを。戦国時代は約400年前の時代ですが、長い世界の歴史で見ると、わりと最近ですよね。その時代を生きていた人たちの足あとが、随所に残っていますし。それってすごいことだと思うんです。先祖が残してくれた大事な足あと、それを見てワクワクしないはずがない!

――いまの上地さんにとっては、やはり三成が特別な存在だとは思うのですが、昔はどの戦国武将に惹かれましたか?
上地 いっぱいいますが、武田信玄や、真田幸村が好きですね。ただ、この仕事をしていると、「好きだな」と思うよりも、「この人の芝居をやりたいな」と思ってしまうんですよ。演じたいのは豊臣秀吉です。猿の時代から、晩年まで、お芝居の中でめちゃめちゃ遊べると思う。そうそう、山本勘助も演じてみたいですね。

――ところで、コーエーテクモゲームスのゲーム『信長の野望・天道 with パワーアップキット』の中に、『のぼうの城』とのコラボレーションシナリオが登場するのですが、もうご覧になりましたか?
上地 はい。描き下ろしのキャラクターが、映画の人物に似ていますよね! 和泉(柴崎和泉守)がいちばん似ているかな。

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▲『信長の野望・天道 with パワーアップキット』のコラボシナリオに登場する、忍城軍のキャラクターたち。

――このシナリオは、忍城軍と豊臣軍、両方の立場からプレイできるのがポイントですよね。
上地 歴史とは違うシナリオが楽しめるのが、ゲームならではですよね。やっぱり、豊臣軍の立場でやってみたいです。歴史を変えられるんですもんね。

映画『のぼうの城』で石田三成を演じた上地雄輔にインタビュー!_01
▲『のぼうの城』、『戦国無双 Chronicle 2nd』の公式サイトでダウンロードできるコラボレーション壁紙。

――また、『戦国無双 Chronicle 2nd』とのコラボレーション壁紙も配信されています。三成は、『戦国無双』シリーズの中ではダントツの人気を誇っているんですよ。
上地 この三成、かっこよすぎません? というか、『戦国無双』シリーズの武将は全員がかっこよすぎですよね(笑)。甲斐姫もめっちゃかわいいですよね。

――『戦国無双』シリーズの甲斐姫のシナリオでは、“忍城攻め”を楽しめます。また、『戦国無双 Chronicle 2nd』でも“忍城攻め”が遊べるんですよ。
上地 甲斐姫が勝つと、歴史が変わるんですよね。『戦国無双』シリーズは遊んだことはないんですが、ゲームは好きなので、これを機会に楽しみたいと思います。

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▲『戦国無双3』の石田三成。
▲『戦国無双3』の甲斐姫。

――では、最後に読者へのメッセージをお願いします。
上地 『のぼうの城』では、ひとりひとりの武将の生き様、心の動きが描かれています。スクリーンで観ると迫力が違うので、ぜひ劇場で壮大な戦場を味わってください。僕自身、撮影現場を見てびっくりしたんです。東京ドーム20個ぶんくらいあるんですよ。細かい演出までこだわっているので、すみずみまで見ていただきたいです。楽しみにしていてください!

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