★畠山愛理インタビュー 後編
女子新体操の日本代表、通称フェアリージャパンの一員として、ロンドン五輪(2012年)、リオデジャネイロ五輪(2016年)に出場した畠山愛理さん。大会前から「決めていた」というリオ五輪で現役を引退。
最近、料理にハマっているという畠山愛理さん
―― 現役の時、試合直前に集中するためにしていたことはありますか。
畠山 私は、必ず会場までの移動は明るいリズムがとれるような曲を聴いて(気持ちを)高めるタイプでしたね。聴いていたのは洋楽ばっかりで。
―― 食事で気をつけていたことは。
畠山 試合はほとんど海外だったので、同じ食事を摂れないんです。なので、ある意味、意識しすぎないということを意識していたかも。いつものように食事を摂れないと「ああ、どうしよう」って思ってしまうので。日本だったら調整できるんですけど、代表に入ると日本で試合がなかったんです。
―― 競技や仕事をするうえで失敗はあると思います。気分転換にすることはありますか。
畠山 今だったら書くことですね。引退してすぐは初めてする仕事が多かったんですけど、失敗したほうが学べることは多いというのは現役時代にもすごく感じていたので、どの仕事でも失敗するのはよくないけれども、それでもよかったと思うためには、反省して次に生かしたいので。引退してすぐのころは、毎日ノートに「こういう時はこうしよう」とか「こうすればよかった」ということを書いていますね。あと、よく人に話します。
―― それはご両親が多いですか。
畠山 そうですね。両親や話しやすい人に話して、意見をもらったり、時には慰めてもらったり。
―― アスリートで仲のいい方はいますか。
畠山 高木美帆ちゃんとか、奥原希望ちゃんとか、同学年のアスリートと仲がいいです。ふたりは高校1年くらいのときから友達ですね。
―― それはアスリートとして共通部分が多いからでしょうか。
畠山 共通する部分はやっぱり多いですね。でも、競技の話をするというよりは、のんちゃん(奥原希望)の存在自体が刺激になっていました。彼女がケガをしていたとき、膝を冷やしながら、たわいない話をしてくれるだけでも、私もがんばろうと思わせてくれました。話をするときは、キャピキャピ女の子らしい話をしていました。楽しいですよ。
―― 休日はどんなことをされているんですか。
畠山 何も決めずに外に出てフラフラしたりとか、いいなと思ったお店に入ったり。ひとりがけっこう好きなんですよ。現役の時も、休日は、けっこうひとりで外に出て自分だけの時間を作ることをしていましたね。でも、お買い物はすごく優柔不断なので、行くならお母さんと行きます。自分だけだとなかなか買う物を決められないので。
―― 最近ハマっていることはありますか?
畠山 料理ですね。現役時代はずっと合宿所だったので、引退してやっとお料理を作るようになったんですけど。この年になったら作れるようにならなきゃと思ってます。
―― どんな料理が多いですか。
畠山 和食が多いです。作り置きしたり。栄養は考えます。私のやっていた競技は太ってはいけなかったので、バランスよくとることを心がけて、特に脂質に対しては敏感に見てますね。カロリーが高いものも大好きですけど(笑)。写真を撮ると何が足りないのか、わかりやすいです。「あ、色ものが少ない。じゃあトマトとかブロッコリーを足そう」とか。これだとカルシウムが足りないから、じゃあこれを混ぜようとか。だから、写真は撮るようにしています。
――好きな男性のタイプは。
畠山 一緒にいて楽しい人が一番いいかな。気を遣わずに。あと、何かを一生懸命やっている人に惹かれます。そういう人ってすごくキラキラしてるなって思いますね。
―― 現役をやめてから、ここが一番変わったなというところはどこでしょう。
畠山 運動量ですね(笑)。あと、夜に逆立ちしています。現役時代はやっていなかったんですけど、新体操をやめてから、体がすごくなまけてて気持ち悪くて、逆立ちすると頭がすごくスッキリするんですよね。だから、寝る前に毎晩やっています。引退していろいろ経験したからか、周囲の子からは雰囲気が変わったと言われることもあります。それに、食べる量。現役の時は男性がビックリするくらい食べていましたけど、今はかわいいと思います(笑)。
―― 今後の目標やこういうふうにやっていきたいという目標を教えてください。
畠山 ザックリですけど、凛とした女性でいたいなと思っています。目標を持っていたり、これを頑張りたいって思ってたりすると、いきいきするというか、自信に満ち溢れているというか。そういう女性でありたいなと思っています。それは別に仕事だけじゃなくて、プライベートでも、何か思うものがあれば、きっとそういう女性になると思うし。来年に関しては、もう選手じゃないですけど、オリンピックを意識してから初めて選手じゃなく五輪を迎えます。まだまだ努力が必要ですが、東京オリンピック・パラリンピックは選手という立場ではなく、伝える側として、選手たちの活躍や努力を伝えたいです。
―― 取材したい選手やコーチはいますか。
畠山 取材したい選手は、羽生(結弦)選手ですね。すごい世界観を持ってる方じゃないですか。私が現役の時にロシアのコーチに言われたことをすべてやれている選手だなと思っていて。性格も何から何まで、採点競技のために生まれてきたんじゃないか、ぐらいの生まれ持ったものがあるというか。現役の時によく「いつでも見られている意識を持ちなさい」、「いつでもきれいにしていなさい」と言われていたんですが、「羽生結弦像」っていうのができあがっているじゃないですか。それは演技だけじゃなくて、普段の行ないも含めて。
―― 自分のスタイルを確立されていますよね。
畠山 はい。裏切らないというか。これこそ採点競技のトップの選手なんだっていう視点で私は見ているんですよ。すごいなと思うレベルで。ここまでできるの?みたいな。
―― あれほど有言実行できる選手もなかなかいないですよね。すごく自分にプレッシャーをかけたりもしていますし。
畠山 でも、それが気持ちいいんじゃないかな…っていうような目で見てしまいます。苦しそうに見えないというか。プレッシャーすら楽しさや力に変えているような。「これやれたら、かっこいい」「これができるから、羽生結弦なんだ」みたいなのがあるじゃないですか。そういうすごいものを持った選手だと思うので、いつかお話を聞いてみたいですね。