乃木坂46の人気メンバー・橋本奈々未(23)が、19日深夜放送の「乃木坂46のオールナイトニッポン」(ニッポン放送)でグループからの卒業を発表。来年2月20日の24歳の誕生日をめどに卒業するとし、さらに芸能界からの引退を宣言したことでファンに動揺が広がっている。



 自身初のセンターに抜擢された乃木坂46の16枚目のシングル「サヨナラの意味」(11月9日発売)が番組でオンエアされた後、橋本は「なんとなく皆さん、あれ? タイトルもあれ?って思った方はいると思うんですが...」と前置きしつつ、ファンに向けて「私自身の誕生日、来年2月20日を目安にして、乃木坂46を卒業することを決めました」と発表した。

 続けて「芸能界も引退します。乃木坂46の橋本奈々未として芸能界の活動を始めて、そのまま終わろうと思っています。誕生日を迎えて24歳になってからは、一般社会で普通の女性として生きていこうと思っています」と卒業後の完全引退を明言。ソロでも引く手あまたと思われる地位を捨てて「普通の女の子」に戻ることを宣言している。

 コアなファンの間では初のセンター抜擢の時点で橋本の卒業がウワサされ、ネット上では「辞めないでほしい」「ななみんが乃木坂からいなくなったら泣く」「卒業はやめて」などといった声が殺到。
卒業発表後も「ウソでしょ」「引退ってどういうこと」「ななみんが決めたことなら仕方ないけど悲しい」と早すぎる引退を惜しむコメントが飛び交っている。

 橋本は2011年のグループ結成と同時に1期生として乃木坂46に加入し、過去15作のシングルすべてで「福神」と呼ばれるフロントメンバーに起用されている「乃木坂の顔」のひとりだった。その愛らしいルックスと抜群のスタイルで女性ファッション誌「CanCam」(小学館)の専属モデルとしても活躍し、女性層からの支持も拡大。ソロになっても間違いなく成功できる逸材だったといえる。

 その一方、同じくグループの中心メンバーである白石麻衣(24)や生駒里奈(20)、西野七瀬(22)らの明るいイメージと比べるとどこか「陰」のオーラがつきまとい、それが独特の魅力を醸し出していた。

 この独特の魅力が人気絶頂期の突然の卒業、さらに芸能界からの完全引退という「普通ならあり得ない選択」に大きく影響しているという。


「橋本は乃木坂のオーディションを受けた理由について『生活苦をどうにかしたかった』と、アイドルらしからぬ動機を明かしています。大多数の女の子が『有名になりたい』『華やかな世界に浸りたい』といった漠然とした動機で芸能界入りする中、彼女はあくまで『食べるための職業』としてアイドルを選んだ。それは乃木坂46のドキュメンタリー映画『悲しみの忘れ方』で発せられた『ロケ弁が食べられるから乃木坂のオーディションを受けました』という言葉でも証明されています。普通のアイドルとは明らかに違った価値観があり、それが潔すぎる卒業&引退につながったのでしょう」(アイドルライター)

 橋本は高校卒業後に有名美術大学に進学するために北海道旭川市から上京。親に頼りたくなかったために学費を奨学金でまかない、生活費はすべてアルバイト代で自己負担する暮らしを送った。だが生活は非常に厳しく、一日の食事が「おにぎり一個」ということも珍しくなかったという。
それゆえに夢見る「キラキラ系女子」ではなく、シビアな感覚でアイドル界を渡ってきたといえる。

 さらに「完全引退」につながった驚きの事情もありそうだという。

「今年8月に放送されたラジオ番組『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』(TBSラジオ)で出演者が語ったところによると、実家の借金返済などを終えたことで芸能界での目標がなくなり、地元に帰りたいとこぼしていたようです。地元愛が非常に強く、芸能界にまったく未練がないので卒業後は旭川に帰るともいわれている。もし事実ならアイドル史上でも前例がないほどの潔い引退といえるでしょう」(前同)

 橋本は2年前に結婚相手の条件として「借金しない人。巻き込まれたくない」と語っていたが、そのような事情があったのだろうか。
橋本は親のために北海道に家を購入することを明かしたこともあり、いずれにしても「孝行娘」の鏡であることに違いはない。それでいながらファンに対しても「神対応」であり、去り際はアイドルの歴史の中でも屈指のカッコよさ。どのような事情があったにせよ、最初から最後まで橋本奈々未は前例のない唯一無二のアイドルだったといえそうだ。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)