連続テレビ小説「半分、青い。」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第1週「生まれたい!」第4回4月5日(木)放送より。 
脚本:北川悦吏子 演出:田中健二
「半分、青い。」4話。祖母役風吹ジュンが「上(空)から失礼します」やっぱり死者も大事
連続テレビ小説 半分、青い。 Part1 (NHKドラマ・ガイド) NHK出版

4話はこんな話


1980年、小学生になった楡野鈴愛(矢崎由紗)は、天真爛漫に育っていた。
鈴愛は、同じ日に生まれた律(高村佳偉人)が賢いことを見込んで、あることに協力してもらうことにする。


80年、子役編


鈴愛の国語の先生・豊島(佐藤夕美子)は、朝ドラ「甘辛しゃん」(97年)のヒロインであると朝ドラファンのチェックは早い。また、佐藤夕美子は、北川悦吏子作、原田知世主演のドラマ「運命に、似た恋」には原田知世の職場の同僚役で出演していた。

子持ち主婦役の原田知世と年下カリスマデザイナー役の斎藤工による格差を超えたロマンティックな恋を描いた「運命に、似た恋」はエキレビでもレビューしています。

さて、鈴愛の教室に掲げられたモットーは、
「あかるく
ただしく
たくましく」

朝ドラのヒロイン三原則は
「あかるく
元気に
さわやかに」

鈴愛は「あかるく ただしいかは知らないが、たくましく」育ったようで、想像の翼を広げることもできて、ガキ大将・ブッチャーとも真っ向から渡り合う。
(ブッチャーくん、鉛筆もったまま取っ組み合うのは、危ないと思います。芯が刺さると、跡が残りますから)。

おばあちゃんが、逝ってた


「おはようございます、死にました」のインパクトがいまだに語り草になっている朝ドラの名作のひとつ「カーネーション」(9日から再放送開始)とは逆をいっての胎児の声と思ったら、朝ドラ名物・死者の声もちゃんと描いていた。
ジュディ・オングの「女は海〜〜♪」がかかる食堂は、楡野食堂からつくし食堂になって、
仙吉おじいちゃん(中村雅俊)は、注文の間違いが多くなった。

そんな様子を語っている廉子(風吹ジュン)の衝撃の告白。
「わたくしじつは空からしゃべっております」
「うえから失礼します」
「〜〜1年ほど前に ぴんぴんころりで逝きまして
まあ いまの人たちからしたら うらやましがられるような
などと言う。
「まあ いまの人たちからしたら うらやましがられるような」という現代の高齢化社会に対する皮肉が
たまらない。
平均寿命は延びているものの生活保障には不安があるし、だったら元気なままころりと。これこそ、律が夢見る「永久機関」と並び、人類の最も重要な課題ではないだろうか。

空からのナレーターとなった廉子は、
「どうかみなさま、そちらにいるうちに あなたの故郷をあなたの愛するものを慈しんであげてくださいませ」といいことも言う。


律が奏でる「故郷」が胸にしみた。

鈴愛の思いやり


ころりと逝ったとはいうものの、残されたおじいちゃんの気持ちはいかばかりか。
最近、元気がないと鈴愛は子ども心に気にしていた。
物忘れがひどくなったのだって寂しさからかもしれない。
鈴愛は、三途の川の向こうとこっちを繋ぐ糸電話をつくり、じいちゃんとばあちゃんを糸電話で話させてやりたいと考える。なんていい子!
そんなとき、頼れるのは、賢者・律。
彼は「永久機関の謎」という難しい本を読んでいて、いつかそれを実現して、ノーベル賞をとることを密かに夢見ていた。
永久機関とは、物理的なエネルギーを必要としないでずっと動き続ける装置。

それにしても・・・

笛を吹くと現れる男の子


鈴愛は律を呼ぶとき、笛を吹く。これは、「マグマ大使」のオマージュなのだそう。
笛を吹くと来て助けてくれるヒーローがいてくれるのは嬉しいが、男は犬かという気もしないでない。
でも、いいのだ。朝ドラは“女性のためのドラマ”なのだから。
「半分、青い。」はそれを強烈に再認識させてくれる。
女は海〜♪
(木俣冬)