以前から気になっているのだが、ドラマ『フリンジマン~愛人の作り方教えます~』(テレビ東京系)について、女性陣はどういう印象を持っているのだろうか?
「フリンジマン」ホテルへの誘い方をレクチャーする板尾創路。男目線の愛人ドラマって実は珍しい
原作コミック2巻

このご時世に、愛人作りのHow toを大っぴらに論じる外道なコンセプト。男性陣の琴線には触れまくっているが、一方で女性陣の逆鱗に触れまくってる気がしないでもない。


そんな心配を、主演を務める板尾創路の発言が溶かしてくれた。同作について「意外と女性のほうが楽しめるかもしれない」と、彼は説明する。
「研究により導き出した女性の心をつかむ方法や立ち振る舞いをレクチャーするのですが、“そんなわけないよ”とつっこんだり、愛人を作ろうと奮闘するバカな男たちを“ふ~ん”と上から目線で見ていただけたらありがたいなと思います」(「ananニュース」板尾創路インタビューより)
そうなんです。そんな風に見ていただいたら、ありがたい。

安達祐実がシャロン・ストーンばり


「愛人同盟」の1人である満島由紀夫(淵上泰史)は、デパートの店舗案内係・川上ミエ(佐津川愛美)とキャバクラ嬢・江口カオリ(岸明日香)の2人を“愛人候補”として見据え始める。
しかし、そのやり方がいただけない。同盟のメンバーにHow toをレクチャーする“愛人教授”井伏真澄(板尾創路)は、妻帯者であることを隠し愛人作りに勤しむ満島に激怒。
愛人づくりにも、最低限のモラルはあるのだ。

とは言え、井伏はメンバーを見捨てない。同盟を招集し、そこに自身の愛人である矢村美紗(安達祐実)を招いたのだ。“愛人作り”を目指す彼らだからこそ、実物の愛人に知りたいことを聞いて学ぶべきだということ。
ここで満島が放った質問が、どうしようもなかった。「女の人って、男が勃っていることに気付いているのでしょうか?」というものなのだ。
しかし、美紗は動じない。凛としながらこの問いに答える美紗がイカす。
「勃起のことですね? 簡単なことです。男が勃起していることは100パー気付いてます」
おい、安達祐実にこんなこと言わすなよ!

喜びのステージは続く。「いくらカッコつけていても、女は『こいつ、ビンビンのくせに』って思ってます」と答えつつ、スカートの裾から露わとなる脚を組み替える美紗。『氷の微笑』のシャロン・ストーンの有名なシーンを連想せずにはいられない。
恐らく、制作陣は意識しているはずだ。

そして、21世紀の愛人作りにふさわしいHow toが彼女から伝授された。意中の相手と連絡する中で“脈あり”かどうかを窺う、これは一つの判断基準だ。
「例えば、返信の早さなんかはよく話題になるけど、本当はあまり関係ないんです。その人の性格にもよりますし。でも、確実に脈ありと言える例外なシチュエーションがあります。
それは、一瞬で既読になる場合。その女性は、今ちょうどあなたとのメッセージのやり取りを見返していたということなんです」
ということは、未読スルーより既読スルーの方がまだ可能性ありということ!?

兎にも角にも、満島は2人のターゲットにLINEメッセージを送信した。結果、すぐ既読になったのはキャバ嬢のカオリの方であった。そして、満島はカオリからデートの約束を取り付けることに成功する。

男なら誰もが知りたい「ホテルへの誘い方」を授ける板尾


満島は順調だ。だからこそ、下手を打たないように井伏は以下の策を授けた。


・指差しの法則
女性をラブホテルへ誘う際、「ホテル」という直接的なワードは避けた方が無難だ。とは言え、うやむやな態度で自信の無さを露呈するのも良くない。
「そこで、一点を指差すのです。方角はさほど問題ではありません、そこまでにうまく導いておけば。あとは一言、こう言うだけ。『あっちに行こう!』」(井伏)
指差しの先にあるのは、ホテル街だ。


一度は井伏に反旗を翻した満島であったが、やはり頼って良かった。「指差しの法則」を駆使することで、彼はカオリをホテルへ誘うことに成功したのだから!

カオリもやる気満々だった。自ら服を脱ぎ、率先して下着姿になる(繰り返すが、カオリ役を演じているのは岸明日香)。彼女の豊満な胸、尻、脚をまじまじと見る満島。……だったが、尻に施されたタトゥーが視界に入り意気消沈してしまう。無理もない。いわゆる“お洒落タトゥー”と言うより、視界に入ったのはちょっと怖そうなやつだったのだ。
「彼氏がこういうの好きなんだぁ~。私、最初っから満島さんこといいなぁ~と思ってたんだ、セフレとして。……あっ、内緒ね。バレたら、マジやばいから」(カオリ)
それって、彼氏が怖い人ってことじゃないですか……。

そのまま満島の下半身は復活せず、カオリを呆れさせてしまう。
「意外にチキンなんだ。小っさいし。ショボ!」(カオリ)
思うに、こういう方面の揶揄を男はあまりしない。無遠慮にネタにしまくる女性陣とは対照的だ。

「愛人同盟」が会議室代わりに使う雀荘の女性店員・西村加奈(川崎珠莉)は、満島からの報告を「情けなっ!」と一刀両断する。それを、雀荘店主の北原謙三(松村利史)は「バカ野郎、女にはわからないんだよ!」と咎める。
「愛人同盟」の田斉治(大東駿介)と坂田安吾(森田甘路)も、満島に慰めの声をかけた。一度は反旗を翻した満島だというのに……。
田斉 わかる、わかるぞ。満島、もう気にするな。な!
坂田 AVの現場でもよくあるみたいだ。画面じゃごまかせても、現実はそうかいかねえ……。なんてこった!
満島 あんな風に言わなくたって……。
おうよな、満島。俺にもわかるぞ……。

『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(フジテレビ系)をはじめ、女性からの視点を主軸にした愛人ドラマが数多い昨今。だからこそ、男の悲哀を代弁する物語として『フリンジマン』は貴重だ。
「愛人を作るためのHow toドラマ」を謳う今作だが、どうやらそれのみじゃないらしい。様々な角度から、このドラマは男の琴線を愛撫しにかかる。
(寺西ジャジューカ)

アマゾンプライムでは先行公開中『フリンジマン~愛人の作り方教えます~』