「かっとばせ!キヨハラくん」がどーなるのか心配だった


今年の2月2日に覚せい剤取締法違反容疑で逮捕された清原和博容疑者。

PL学園高校→西武ライオンズ→読売ジャイアンツ→オリックス・バファローズと渡り歩いた野球界の大スターであることはもちろんだが、さほど野球に興味のない人にとっても漫画「かっとばせ!キヨハラくん」のキャラターとしてお馴染みなのではないだろうか(30〜40代男子限定か?)。

ボクも、清原が逮捕されたと聞いてまず思い浮かんだのは「キヨハラくんの連載、どーするんだろ?」ということだった。


もちろん「コロコロコミック」本誌での連載はとっくに終了していたのだが、2014年に創刊された、かつて「コロコロコミック」を読んでいた大人たちに向けた雑誌「コロコロアニキ」の方で、リバイバルで連載中だったのだ。
清原逮捕で休載「かっとばせ!キヨハラくん」作者のアンサーコミックに泣いた
なぜか極悪キャラとして描かれていたクワタの気持ちも聞きたいところです
イラスト/北村ヂン

この連載はどうなってしまうのか!?

18年間、キヨハラ漫画を描き続けてきた河合じゅんじ先生


逮捕報道からほどなくして、「コロコロアニキ」第5号(3月15日発売)に掲載が予定されていた「かっとばせ!キヨハラくん」の休載が編集部より告知された。
清原逮捕で休載「かっとばせ!キヨハラくん」作者のアンサーコミックに泣いた

「かっとばせ!キヨハラくん」って、おそらく清原本人にすら許可をとっていない漫画なので(チーム名も「西部ライアンズ」とか「東京カイアンツ」だし)、現実の清原が逮捕されたからといって、休載しなくちゃダメってこともないんだろうけど、世間的な見られ方と、そしてやはり作者である河合じゅんじ先生自身の気持ちの問題もあったのではないだろうか。

「かっとばせ!キヨハラくん」は、河合先生の出世作にして代表作だ。

「コロコロコミック」にて1987年から連載開始し、1994年に続編「ゴーゴー!ゴジラッ!!マツイくん」と入れ替わる形で連載終了。

しかしマツイでは「キヨハラくん」におけるキヨハラ・クワタという強烈なキャラクターを超えることができなかったようで、結局、キヨハラ・クワタの登場頻度が増えていき、キヨハラが東京カイアンツ(巨人)へ移籍して以降は、実質キヨハラが主役という状態になっていた。

さらに、2003年にマツイがアメリカに渡ったことにより、再びキヨハラを主人公にすえた「モリモリッ!ばんちょー!!キヨハラくん」が開始。


2005年にこのシリーズが終了するまで、実に18年間に渡ってキヨハラ漫画を描き続けてきたのだ。

キヨハラとともに漫画人生を歩んできた河合先生が、清原の逮捕を知った時はどんな気持ちだったろうか……。

逮捕の時期を考えると、次号に掲載される予定だった「かっとばせ!キヨハラくん」の原稿執筆がかなり進んでいた可能性もあるが、それでも、さすがにこんな状況でキヨハラを主人公にした野球漫画を掲載する気にはならなかったのだろう。

渾身のアンサーコミックに泣いた!


先日発売された「コロコロアニキ」第5号には、丸々1ページ使って「かっとばせ!キヨハラくん」休載のお知らせ、そして河合先生が「キヨハラくん」の代わりに描いた、渾身のアンサーコミック「いつかのホームラン」が掲載されている。

セリフがほとんどない漫画なので想像するしかないが、おそらくは清原逮捕でボーゼンとしている河合先生自身が主人公。

いっちゃえば、その主人公が少年野球の試合をボーッと見ているだけの漫画だ。


少年たちが、一生懸命野球に打ち込み、楽しんでいる姿を見ながら、ほほえみ、涙ぐみ、感心する主人公。

そして、西武時代の清原と同じ背番号「3」をつけた少年のホームランを見て、嬉しいとも悲しいともつかない、何ともいえない表情を浮かべるのだ。

まあ、事情を知らない人が読んだら、面白くもなんともない漫画だと思うが、清原が逮捕されたこと、河合先生が長年キヨハラ漫画を描いてきたことなどを踏まえて読むと、じんわりと泣けてくるのだ。

これから「かっとばせ!キヨハラくん」の連載が再開される可能性があるのか? 河合先生が再び「コロコロアニキ」で漫画を発表することはあるのか?

今の段階ではまったくわからないが、主人公の「元気だして、やろうかね…」というセリフを信じて、河合先生の新作を待ちたいと思う。
(北村ヂン イラストも)