『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』(Netflix先行配信)公式サイトより

 『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』(Netflix先行配信)公式サイトより 見ず知らずの男女6人が、シェアハウスで共同生活する様子を記録したリアリティ番組『テラスハウス』。現在、Netflixにて「TOKYO 2019-2020」が配信中で、ファンは個性豊かな面々の恋愛模様を、一喜一憂しながら、固唾を呑んで見守っている。

そんな『テラハ』を愛する“テラハウォッチャー”が、1月配信分から、グッときた“名(珍)シーン”をピックアップし、思いのままにレビューする。

凌の10分<トパスの10秒(テラスハウス29話)

 プロバスケットボール選手の凌は、プロレスラーの花とモデルのビビ、2人から好意を寄せられている。花のことはあからさまにけん制し始めるが、ビビには思わせぶりとも取れるあいまいな態度を取る。そのため最近の配信では、凌とビビのソファーでのツーショットシーンがやけに長く、29話では合計約10分も続いた。ソファー上で、ビビがアピールし、凌がどっちつかずの表情で受け流す、の繰り返しが、動きのない絵面で続く10分間は長い……。何かにつけ「ビビとは話ができる」と言っている凌だが、それほど面白みある会話ができているようには見えない。

 その一方、リリー・フランキーの付き人、トパスの29話での登場は一瞬。

主な発言はキッチンでの「氷嚢、探します。これです。すみません」だけだった。ソファー上の動かない凌の10分より、氷嚢を探すトパスの10秒の方が面白い。

“普通の21歳”を出す愛華(テラスハウス第30話、31話)

 トパスから「明らかにビビちゃんと花ちゃんには持ってない感情を愛華には持ってる」「見た目通りじゃないのが魅力的」と告げられた大学生(休学中)の愛華。「慣れてる子、キャバクラみたいって(視聴者に)言われてるけど、普通の21歳だからさ。それに気付いてくれてうれしい」と喜び、ほぼ両思いな雰囲気に。

 別の日の昼下がり、2人は至近距離でソファーに寝そべり、「はあ、まったり休日」「天気いい」「今日暖かい」「ねっ」と熟年夫婦のような会話を交わし、スマホをいじる。31話でも同じ体勢で寝そべり、「クリスマスソング聞いてた♪」という2人。「ザギンでシースー」発言などなかったように、“普通の21歳”感を出してくる愛華の底はまだ知れない。

 「今起きている全てが自分の責任」「愛は自分の中で作るもの」など、自己啓発書から飛び出してきたようなポジティブ発言が得意なビビ。スタンドアップコメディアン志望の快が、ネタで滑って落ち込んでいると、ビビは「自分の一番悩んでることある? それをテーマにした方が一番熱く話せるじゃん」と相談に乗ろうとする。快が「何で生きてんのか、っていうのが一番多い」と答えると、ビビは「本当にそれ考えてるの!?」と呆れ気にツッコみ、「かっこいいから今言っただけじゃなくて!? 本当にそれを?」と疑いの目を向けていた。

 コメディーのネタにするにしては「何で生きてるのか」は確かにざっくりしすぎているかもしれない。しかし、「何で生きているのか」というそもそもの部分に疑問を持っておらず、「本当にそれ考えてるの!?」と言えちゃうタイプのビビだからこそ、あそこまでポジティブ&正論を誇って生きていけるのかもしれないと納得した。

愛華、高みの見物(テラスハウス第30話、31話)

 ハッキリしない凌に振り回される花とビビ。愛華は「凌くんに聞いちゃおうかな、もう!」と張り切り、凌をプレイルームに呼び出した。凌から、花への気持ちはないこと、ビビに対しても「きれいだと思うし、話ができる。けど、遠距離恋愛する気はない」と進展させる気がないことを聞き出した。

 だが、花とビビの待つ女子部屋に戻ると、「いろんな話、できた~」ととぼけるのみ。花は詳しく知りたがるが、「当事者じゃないから……。でも聞けて良かった」と思わせぶりに言うだけで、花にもビビにも「まだわからないよ、(凌は気持ちを)出してないだけかもしれないじゃん。どうしようっていう段階だと思う」と、なぜか知り得た情報とは逆のことを言って微笑む。

 その表情には、精神的余裕を取り戻した、愛華の“高みの見物”感がよく現れている。その余裕は、トパスから好意を寄せられたこと、また、トパスが「自分を叩く視聴者」に言いたいことを全部代弁してくれたことにより、生まれたものだろう。

なんとも素晴らしい表情であった。

 凌は結局、花に対し、“花にもビビにも特別な感情がない”と自分で告げる。だが、ビビには“気持ちはあるけど夢を応援したいから”と別のことを言う。女子3人が部屋にそろい、凌の発言を照らし合わせ、ビビは凌の二枚舌に「マジでヤダ、超腹立つ!」とキレる。

 すると愛華は、凌がテラハに入った理由を「私はもう勝手に売名って思ってるよ」と言い放った。テラハに売名目的なしで入る人はいないと思っていたので、「自分自身もメンバーなのに、売名を堂々と非難する愛華って、逆に何のためにテラハに出たのだろう?」と考え込んでしまった。

トパスとの恋がうまくいっていても、愛華の暗躍は続きそう。大いに期待したい。