『桐島、部活やめるってよ』などで知られる作家・朝井リョウの小説を映画化した『少女は卒業しない』が2023年2月23日(木・祝)から公開される。本作で共演し、フレッシュな才能を披露するのは窪塚愛流さん(19)と佐藤緋美さん(23)。ともに国際的なアーティストである親をもち、将来を期待されるふたりが、役者に賭ける想いやプライベートについて語りあった。

『少女は卒業しない』窪塚愛流さんと佐藤緋美さん

自分自身のこと、そしてお互いのこと

朝井リョウさんのベストセラーを原作にした青春映画『少女は卒業しない』は、廃校寸前の高校で、生徒たちが卒業するまでの2日間を描いた作品。本作で共演しているものの、きちんと話すのは今日が初めてだというふたりの素顔を直撃!

ーー映画を見た感想は?

佐藤緋美(以降、佐藤):撮影はみんなバラバラだったけど、どの役も輝いていて。青春映画っていいなって思いました。今まで自分はそんなに青春系のジャンルって知らなかったんです。でもみんなと出演したら楽しかったし、良かったなって思っています。

窪塚愛流(以降、窪塚):僕は率直にいって、感動しました。主人公は河合優実さんですけど、男女問わずそれぞれの目線から見られるところも良かったです。

――ヒロインの恋人で爽やかな「駿」(窪塚)と、バンドのボーカルで強烈な個性ゆえに孤独な「森崎」(佐藤)。役と自分が似ていると感じたのはどんなところ?

窪塚:「駿」は等身大で演じられたと思います。僕も高校時代は基本的に明るかったし、友達も多い方だったので。

佐藤:愛流くんは学校でも人気者だよね?(笑)

窪塚:いやいや……(照)。撮影で心に残ったのは、彼女の手作りのお弁当を食べるシーン。床にさやいんげんを落としたとき、僕、思わず拾って食べちゃったんです(笑)。その瞬間、自分と駿がひとつになった気がしました。

佐藤:僕は「森崎」の変わってる部分や、教室でひとりでいるところとかは似てるなって思いました。自分も学校ではひとりだったし、頑固なところがあるんです。シャイだけど本当は人が好きなところも似ているなって。

――お互いの演技を見た感想を教えてください。

窪塚:僕は緋美さんとご一緒するのは初めてだったのですが、“本当に映画の世界で生きている”と感じたんです。俳優として僕の理想にとても近いなって。あと、スクリーンで緋美さんの歌声を聞いたときはグッときました。

佐藤:それは嬉しい!みんなの前で 歌うシーンは本来は口パクだったけど、直前に監督と話してやっぱり歌おうとなって、生で一発で撮りました。「撮っちゃう?」「いいとも!」みたいな感じで。心臓はバクバクだったけど。

窪塚:僕は体育館のはしっこで聞いていたのですが、歌い終わったときは全員が拍手喝采でしたよ!

佐藤:僕が愛流くんのシーンで良かったのは、やっぱり彼女とお弁当を食べるシーン。自分にはない爽やかさがあるなと。僕は高校生のとき、あんな青春みたいなことなかったからいいなぁ~って(笑)。あと、演技が自然だよね。俳優は自分じゃない人になるのが一番いいと思うけど、僕はなるべく自分らしく演じられたらと思っているタイプ。僕たちはキャラは違えど、お互いそんなところは似ているんじゃないかな。

『少女は卒業しない』窪塚愛流さんと佐藤緋美さん

ふたりのプライベートに急接近!普段は何しているの⁉

――最近ハマっている事は?

窪塚:海辺をドライブすること。最初はバイクを買いたいと思っていたのですが、家族に危ないって反対されたんです。そうしたら18歳になったとき、父が車をプレゼントしてくれました。バイクだと危険だけど車ならいいんじゃないって、家族で話したのだと思います(笑)。幼い頃から晴れた日に海辺を走るのが夢だったので、それが叶いました。

佐藤:いっぱいあるけど、最近はうちでご飯を作って食べること。家にいるのが好きなんです。中国家庭料理研究家のウー・ウェンさんの料理本が好きで、ウェンさんのフライパンを買って、蒸し料理とか作っています(笑)。ほかにも家をデコレートしたり、音楽を作ったり、ハマっていることは多いです。

――カルチャー面で好きなことは?

窪塚:僕は歴史のある古い町を歩いて、その町のカルチャーに親しむのが好きです。どんな街でも特有の匂いや雰囲気ってあるじゃないですか。あえて路地に入って通りかかった猫を眺めながらコーヒーを飲むこともあります。いつか自分の大好きな服をスーツケースに入れて、イギリスの街並みを歩くのが夢です。

佐藤:最近だと渋谷で見たフレディ・ムーラーという監督の『山の焚火』は良かったです。静かで美しい映像が心にきました。お父さんの映画で痺れたのは、『殺し屋1』と、『モンゴル』。いつか自分もこんな映画に出たいって思いました。ドラマだとネフリで見た『タイガー&ドラゴン』にハマりましたね。音楽は昔のものだとハービー・ハンコックの『カメレオン』。カッコよくて、車でよく聞きます。

ーーモデルもしているおふたりの好きなファッションは?

窪塚:自分はストリートとかモードとか、幅広いジャンルの洋服が好きなので、これっていうのは決まっていないんです。誰かが着ていたコーデをまねするというよりは、自分の中でアレンジして着るようにしています。まとまりを大切にしたいと思っているので、服の色は3色までと決めています。

佐藤:自分はもらったものを着ることが多いんですけど、ブランドでは「カルネ」が好きです。基本的に色があるものが好きで、いろんな色のボトムスやトレーナー、帽子なんかを持ってます。たくさんありすぎて定期的に断捨離しないと増えちゃうので、フリマを定期的にやってます。

ーー最近、自分で購入したファッションアイテムは?

窪塚:「ディーゼル」のバングルですね。あと「コーチ」のブーツです。バングルはアウトレットで買いました。

佐藤:「カルネ」で緑色の財布を買いました。服は海外行ったときしか、あまり買いません。

『少女は卒業しない』窪塚愛流さんと佐藤緋美さん

次回、共演したいのは、意外な“あの”作品⁉

――理想の俳優は?

窪塚:この業界に入りたいと思ったきっかけでもあるので、父の存在はやっぱり大きいんです。でも父みたいになりたいと思ったことは一度もなくて。好きな俳優さんのいいところを盗みつつ、父の遺伝子も取り入れて、“窪塚愛流”ならではの役者になりたいです。

佐藤:自分は映画でも音楽でも、出会った人全員が「先生」だと思っていて。最近だと『少女は卒業しない』の河合優実さん。僕より一個年下だけど、役者として凄いなって思いました。愛流君もそうですが、みんなのいいところを見つけて吸収して、最終的にはいろんな事ができる俳優になりたいですね。

――では、またいつか共演するとしたら、どんな作品がいい?

窪塚:なんか……次は男臭い映画とかに出たいですね。

佐藤:そうだよね。それこそ『池袋ウエストゲートパーク』みたいな作品はどう? 最近、ああいう作品ってなかなかないよね。キラキラ系ではなくて、笑えるけど、ハードなおもしろさもあるサスペンス。

窪塚:それ、いいですね!(盛り上がる) 老若男女とわず「かっこいい!」と思える作品。僕も緋美くんと同意見です!

――『少女は卒業しない』の見どころ、楽しみ方を教えて!

佐藤:この作品にはたくさんのキャラクターがいるので、その中の誰かに共感していただきつつ、青春の感じも楽しんで欲しいですね。そしてキャラのメッセージや思いをみなさんの人生に生かしてもらえたら嬉しいです。

窪塚:この映画の4人の少女たちは自分自身と対話をしながら、やりたい事を見つけて歩き出します。そんな彼女たちの姿を僕は素敵だなと思いました。忘れかけていた何かを思い出させてくれたり、諦めきれてない事の後押しをしてくれる作品ですので、是非ご覧ください!

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映画『少女は卒業しない』

少女は卒業しない
© 朝井リョウ/集英社・2023映画「少女は卒業しない」製作委員会

直木賞作家・朝井リョウの連続短編小説を映画化。廃校と校舎の取り壊しが決まった地方の高校で、最後の卒業式を迎える生徒たちの姿を描く。監督は『カランコエの花』が話題を呼んだ、中川駿。『サマーフィルムにのって』の河合優実が初主演を務める。2023年2月23日(木・祝)より、新宿シネマカリテ、渋谷シネクイントほか全国にて公開。

STORY/料理部の部長の山城まなみ(河合優実)は高校の卒業式で、答辞を読む大任をまかされた。まなみは彼氏の駿(窪塚愛流)に手作りのお弁当を作り、一緒に食べるのが日課だった。同級生たちがそれぞれの恋に別れを告げる中、卒業式ライブに出演する森崎(佐藤緋美)率いるビジュアル系バンドにトラブルが襲う。駿への“ある思い”を抱いたまなみの答辞が始まる。

監督・脚本/中川駿 
出演/
河合優実、小野莉奈、小宮山莉渚、中井友望、窪塚愛流、佐藤緋美、宇佐卓真 / 藤原季節

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
2.23(木・祝)公開 映画『少女は卒業しない』|本予告
2.23(木・祝)公開 映画『少女は卒業しない』|本予告 thumnail
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【PROFILE】窪塚愛流(くぼづかあいる)2003年、神奈川県生まれ。父である俳優の窪塚洋介の撮影現場でスカウトを受け、『泣き虫しょったんの奇跡』で俳優デビュー。2021年から本格的に俳優活動を開始し、瑞々しくも躍動的な存在感を放ち、着実に出演作品を重ねている。
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【PROFILE】佐藤緋美(さとうひみ)1999年、東京生まれ。2017年、ラフォーレ原宿のキャンペーンでモデルデビュー。2018年に寺山修司原作の舞台『書を捨てよ町へ出よう』に主演。2021年の映画『ムーンライト・シャドウ』では日本映画批評家大賞で新人男優賞を受賞。2022年12月公開『ケイコ 目を澄ませて』に出演。ミュージシャンとしても活動中。
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【衣装】(窪塚さん)ジャケット¥41,800 カーディガン¥22,000 インナー¥12,980 パンツ¥22,000/すべてメゾンスペシャル(メゾンスペシャル 青山店 tel. 03-6451-1660)シューズ ネックレス/スタイリスト私物 

Photo : ARISAK Stylist : KENTARO UENO(AIRU KUBOZUKA) Hair & Make-up:TAKAI(HIMI SATO), KATSUYOSHI KOJIMA/TRON(AIRU KUBOZUKA) MODEL:HIMI SATO/TOS-S, AIRU KUBOZUKA/TEN CARAT