ここ数年間でパン屋激選区となりつつある浦添市。その住宅街の片隅にある穏やかなたたずまいの一軒が、天然酵母食パン専門店「天食米果(あましょくべいか)」。リッチな原材料の高級食パンとは異なるベクトルで、世代を超えて安心・安全に味わえる食パンの“可能性”を表現し続ける個性派のパン屋。営むのは20年前に福島から移住した赤嶺温子さんだ。

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パン作りが好きで、県内各地の様々な店で修行を重ねた赤嶺さんは、2008年に独立を決意。自身の店を開業するにあたり、「好きなサイズに切り分けられて、食べるシチュエーションに広がりがある」「製造・販売がひとりでまかなえる」「店の棚にずらっと並ぶ様子を眺めたい」と食パンの強みに発想を得て、「自家製酵母」と「食パン型に入れて焼く」こと以外は食パンの概念を超えて自由に焼く専門店をオープンした。


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想像を掻き立てる店名は、「天然酵母」「食パン」「米粉」「果実使用」、と赤嶺さんの頭に浮かんだキーワードを並べて、それぞれの頭文字をとって作った造語なのだとか。



「食パンだけ」と言えど、赤嶺さんが焼く食パンは常時15種類。全粒粉、玄米、ライ麦など、卵・乳製品不使用で粉を主役にした「プレーンな食パン」、餡やシナモン、スイートポテト、カスタードやチョコモカなど、バターの香り豊かな生地の「スイーツ系食パン」、ナッツ類やレーズン、いちじく、クランベリーなど「ドライフルーツやナッツを使った食パン」の3カテゴリーをそれぞれ5種ずつ焼き上げる。


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形違えどすべて食パン! 店頭の棚やショーケースにずらりと並ぶ様子は圧巻で、大人買いの衝動に駆られてしまう。いずれも2分の1本から購入可能。

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赤嶺さんが季節ごとに手作りするジャムも甘さ控えめでファンが多い。「ももジャム」(¥1,100)。

小麦粉は北海道産と九州産を使い分けながら約10種の生地を仕込む。赤嶺さんの自由な発想力で提案する食パンはいずれも、生地の密度を感じるしっとりもっちりの食感が特徴的。ひとつひとつの風味や食感が被らないよう、生地の配合が丁寧に研究されていて、スタンダードから進化系まで食べ比べが楽しめるのも人気の秘密だ。


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“甘い食パン”はパンとスイーツのちょうど中間のような「おやつパン」の感覚。写真左は、山ごとにかぼちゃのカスタードが入った卵不使用のクリームパン。「かぼちゃカスタード食パン(季節限定)」(¥660 ※1/2本¥330)、右は、シナモンとローストアーモンドのアクセントが絶妙なもっちり&しっとり生地がおいしい「シナモン食パン」(¥880 ※1/2本¥440)。

風味豊かなクラストを叶えるのは自家製のレーズン酵母種。無限に広がる食パンの可能性を耳まで余すことなく味わいたい。


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写真奥から時計回りに、オリーブオイルでさっぱりとした味わい「食パン」(¥460 ※1/2本¥230)、鹿児島産さつまいもに白ごまを効かせたやさしい甘さのスイーツ食パン「スイートポテト食パン」(¥660 ※1/2本¥330)、九州産大麦粉と小麦ふすま約90%のみっちりとした生地にプルーン、いちじく、クランベリー入りの「食物繊維食パン」(¥760 ※1/2本¥380)。

SHOP INFORMATION

  • 店名 天食米果 (あましょくべいか)
  • 住所 沖縄県浦添市伊祖1-9-12-1F
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  • 電話番号 080-2710-4627
  • 営業時間 11:00〜18:00(売り切れ次第終了)
  • 定休日 水・木曜

photo : Akari Matsuura