女優・モデルとして活躍する西内まりやさんが、自身の28歳の誕生日となる2021年12月24日（金）に8年ぶりとなる写真集「月刊 西内まりや」 を発売する。日本を拠点に活躍する写真家ND CHOW（アンディ・チャオ）氏とのタッグで生まれたのは、まさに西内さんの今を映し出す等身大の姿。128ページにも及ぶ一冊には、開放的でエネルギッシュ、かつ瑞々しく艶やかな瞬間が詰まっている。
「そのままの姿を見せたい」という西内さんは、あえて体作りをせずに撮影に挑んだという。海の撮影では自然体で飾らない西内さんの姿、都内のホテルでの撮影では、28年間でいろいろ経験し、ひとまわり強くなった西内さんの姿を映し出した。そんな集大成ともいえる写真集の発売を前に、西内さんに特別インタビュー。撮影の裏話から28歳の抱負、さまざまな経験を経て思う“幸せ”の定義までを語ってくれた。
――今回、28歳の誕生日に写真集を発売することにした理由を教えてください。
「30歳になる前に何か残したかったという気持ちもありました。実は17歳の時にファッションブックを出版しているのですが、そこから10年近く経ち、所属事務所から独立して自分と向き合う時間がこの数年あって。改めて今の自分の心を開くことは、私の中で勇気が必要なことだったんです。でも、今だからもう何も怖くない、今の自分がとても好きだし、自分のありのままを見てもらいたい！ という気持ちが強くありました。今まで応援してくださっている方や、最近新たに見ていただいている方に、改めてこれからスタートを切る私を見てもらえたら嬉しいです。何も包み隠すことのない素の姿が映し出されていると思います」
――フォトグラファーにND CHOWさんを選んだ理由はなんですか？ 初めてお仕事を一緒にした感想は？
「間に入っていただいたプロデューサーさんに方向性などを説明したところ、アンディさんがぴったりなんじゃないかとご紹介いただきました。アンディさんは一瞬一瞬をすごく大事に捉えるカメラマン。心の動きや微細な自分の感情に常に寄り添ってくれる方だったので、とても楽しくのびのびと撮影に挑めました。初めてなのにいい意味で気を遣う必要がなかったので、子供みたいな顔したり、自然体でいられたり、やりたい放題でした（笑）」
――お気に入りの写真を教えてください。
「やっぱり海辺で撮影した写真です。本当は何枚か撮ってから海に入ろうかと話していたのですが、気持ちよすぎて緊張の糸が切れて、いきなり海に入っちゃったんです。自然光や水の輝きなど、その一瞬でしか作り得ない写真が海辺ではたくさんありました。自分がいちばんリラックスして、心を開いた瞬間でもありましたし、とにかく神秘的な仕上がりになっていると思います」
――28歳の抱負を教えてください。
「時代の流れ的にも、明日どうなっているかわからないような世界。だからこそ今という瞬間を楽しみ、世界で起こっていることを肌で感じながら、直感であれやってみたい、これやってみたいという風に、常にアンテナを張りつつ、何かを生み出していきたいと思っています。今は企画段階から自分も携わってるものがいくつかあって、そういうことを来年以降実現していけたらいいですね。今までは受動的だったのを、これからは『こういうことを発信してみたい』、『こういうものを作っていきたい』など、自分の意志で進めていきたいです。ここ数年でとてもいい出会いや縁があり、同じ方向を向いている方たちと一緒に、面白いものを作っていく過程がとても楽しみですね」
――コロナ禍で物事への考え方や、生活の変化はありましたか？
「ありました。自分にとっての幸せの定義みたいなものを見直したときに、物事に固執せず、すごく自分の心が穏やかで、同時にワクワクするような、自分の心が喜ぶ方向に生きていくことが幸せなんだなぁって改めて実感しました。だから、何にもしない日は何にもしない！ 何にもしたくなければしない！ 走りたければ走る！ とか、その瞬間に感じたことを行動に起こすことを心がけて過ごすようになりましたね」
――コロナ禍でハマったことはありますか？
「編み物！ デジタルよりもアナログチックなものに最近興味があるんです。手袋とかマフラーは友達にプレゼントしたりしていて、今は冬に向けてセーターを作ろうと思っています。一つ一つを大切に作っていく、その時間が大好きです」
――ここ数年、自分のペースでのびのびとお仕事をしているようにお見受けします。
「少し前までは、自分をしっかりと見つめる時間がなかったんです。感情が動かなくなってしまって、それだと“表現”ができなくなってしまう。何をしていても心から笑えなかったり、悲しむことすらできなかったり……。数年間一人旅をしてみて、自分の強みや弱みを知ることができたうえ、『これをやりたい、あれをやりたい』という自分の中の軸を見つけることができました。自分の軸が分からないなかで表現をしても、見ている人には伝わらない。それが余計に辛かったんです。でも今は、自分をしっかりと理解して仕事をしている。だから、そのように言っていただくことが増えたのかと思います。
20代でいろいろな経験をして、本当に苦しかったけれど、その時期があって今はよかったなと思います。先が見えないくらい絶望していたけれど、誰しもそういう時はあると思うんです。でもそういう時にどう考えるか、どう思考を転換していけるかで流れは変わると思います。だから『全部うまくいく』と自分に言い聞かせて、プラス思考を引き寄せるようになってから、自分自身の心の持ちようが本当に大事なんだと改めて実感しました」
――「やるしかない！」と自分の中でポジティブなスイッチが入る瞬間があったのですか？
「自分自身で気持ちを切り替えた日があるんです。日付まで覚えてます（笑）。悩んだり、不安になったり、落ち込んだり、そういう負の感情が自分の心を蝕んでいたんですが、極限まで行きついた結果、切り替えるしかなかったんです。その日に鏡の前に立って、鏡に映った自分に向かって、『今日から私は変わる。過去のいろんな感情は一旦置いて、生まれ変わってみようよ』と自分に話しかけたんです。そこからパンッと変わることができました。無理矢理ポジティブになろうとしなくてもいいし、泣きたいときは泣いた方がいいし、落ち込みたいときはその感情をきちんと感じることのはいいことだと思うんです。たくさん傷ついたり涙することで、人の痛みを感じることができたり、人に寄り添うことができたり、プラスになることもたくさんあります。マイナスな感情からあまり逃げずに、私はあえて感じるという選択をしました」
――生まれ変わった瞬間に自分を受け入れていろいろと吹っ切れたんですね。
「そうですね。私は普通以上に人のことを考えすぎてしまって、人よりも疲れやすいところがあって。一時期そんな自分が嫌いで否定していましたが、『自分はこういう人間なんだ』と自分のいいところも悪いところも受け入れることで段々楽になって、次第に周りになんと言われようと、ネットに何を書かれようと、気にならなくなりました。何を言われてもいい、自分が自分のことを大事にできてるから、と」
――一人旅の経験も大きく影響したのでしょうか？
「一人旅ではLA、ニューヨーク、ハワイ、韓国、ヨーロッパ……、結構いろんなところに行きました。その1、2年がなかったら今の私はないと思います。部屋を借りて、レンタカーを借りて、洗濯をして、掃除して、ご飯を作って……そんな当たり前の生活が本当に幸せでした。『わっ、明日の予定、自由に決められるんだ！』みたいな（笑）。ダンススクールや歌のレッスンも自分で予約して行っていました。そんな生活が本当に新鮮で、カフェに行って店員さんとたわいもない会話をしただけで涙が出たりとか。一から人間として当たり前のことをしたことで、自分の性格も改めてそこで発見できたりしてとても面白かったです」
――30代も目前ですが、どんな30代を過ごしたいですか？
「今の自分よりは少し余裕があると思うので、バリバリ働いていたいです。20代のいろいろな経験があるので、いい意味で気が抜けていいバランスで仕事もプライベートも楽しんでいたいですね。今はコロナ禍というタイミングもあってなかなか自由に動けないですが、30代になったときには世情も変わっていて、新しい時代が始まっていると思うんです。そのとき自分が日本にいるかどうかも分からないですが、出会いと運とタイミングで楽しく生きていたいです。元々、刺激や新しいチャレンジが好きで、未知な世界に飛び込んでいくタイプなんです。一歩踏み出すには勇気がいるけれど、何が起こるか分からない未来に対してワクワク感でいっぱいです」
――今後の展望を教えてください。
「環境問題をはじめとした様々な課題と向き合い、自分には一体何ができるのだろうと考えたときに、私はクリエイティブなものを作り出すことで世の中の役に立ちたいと思ったんです。クリエイティブな友人が増えたので、ゼロから彼らと作品や映像などを作っていきたいなと思っています。今は何でもできる時代なので、モデルや女優に固執せず、いろんなことを企画していきながら、女性が喜ぶことや女性が楽しめるものを生み出していきたいという気持ちが強いです。今進行中の企画もあるのですが……言いたいけど言えない！（笑）」
月刊 西内まりや
A4判 128ページ ￥3,300
小学館
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