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クリエイターが推薦する、横浜のデザインスポットとは?

前川國男による公共建築、住宅街に静かに佇む古墳群、人々の心をつかむ客船ターミナルなど。

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横浜デザインスポット
Elle Decor

1859年に開港して以降、歴史を大切にしつつ多様な文化を持ち、常にアップデートを続ける横浜。この地にゆかりのあるクリエイターたちに、お気に入りのデザインスポット聞いた。おすすめコメントとあわせてご紹介。

聞いたのは?
相澤幸彦(グラフィックデザイナー)、熊谷 玄(ランドスケープデザイナー)、辰巳菜穂(画家)、藤原徹平(建築家)、宮 晶子(建築家)/50音順
>>クリエイターが推薦、いま大阪で巡るべき建築とは?
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グラフィックデザイナー・相澤幸彦さんのおすすめは?

グラフィックデザイナー 相澤幸彦
aizawa office

相澤幸彦(Yukihiko Aizawa)
横浜生まれ。2004年に相澤事務所を設立し、ロゴやパッケージ、書籍、広告などのグラフィックを中心としたデザインを手がけている。2015年にはドイツ・デザイン賞2016(GERMAN DESIGN AWARD)を受賞するなど、国内外で高い評価を得ている。
公式サイト Instagram

1

横浜港大さん橋国際客船ターミナル

横浜港大さん橋客船ターミナル
横浜港大さん橋国際客船ターミナル

「この場所がもつ魅力は、その大規模かつ流線形の美しいデザイン、そして多機能性にあります。クルーズ船を受け入れるための施設でありながら、展望デッキからの眺めは、横浜の都市風景と広大な海を一望することができます。この柔軟性と開放感が大さん橋をただのクルーズ客の通過点ではなく、人々が集まり、交流するための場所にしているのではないだろうか。海と街を繋ぐ橋として独自の美学を保ち、歴史と未来、地元と外国、人々と海、全てを繋ぐ場所としての役割を果たしているように思います」

横浜港大さん橋国際客船ターミナル
神奈川県横浜市中区海岸通1-1-4
公式サイト

2

Port Plus

port plus
SS Co.,ltd. Sode Naomichi

「純木造耐火建築物としては、国内最高となる高さ(44m、11階建て)です。木材の温かみを活かした自然の美しさと、持続可能性への配慮と最先端の耐火技術。伝統的な素材と最新技術の融合により、純木造の美しさと環境への配慮が共存しながら『新しい可能性』としてこれからの現代建築の姿勢を探求してくれているように思いました」

Port Plus(大林組研修施設)
神奈川県横浜市中区弁天通2-22
公式サイト ※研修施設のため、一般見学不可

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ランドスケープデザイナー・熊谷 玄さんのおすすめは?

熊谷 玄
熊谷 玄

熊谷 玄(Gen Kumagai)
横浜生まれ。現代美術作家崔在銀のスタジオでアシスタントとして働いたのちEarthscape inc.,を経て2009年STGKinc.,を設立。ランドスケープデザインを軸足とし「人が暮らす風景」づくりに取り組んでいる。東京大学、千葉大学、愛知県立芸術大学非常勤講師。
公式サイト Instagram

3

グランモール公園 

グランモール公園
グランモール公園

「横浜には気持ちの良いパブリックスペースがたくさんあります。この『グランモール公園』もそんな場所の一つで、みなとみらいの中央地区を700mにわたって南北に貫いています。三菱地所設計さんとともに僕らもデザインに携わりました。通常、公園と街の間には道路があるものなのですが、ここでは公園が直接街に繋がっているため、カフェのオープンテラスや美術館、ショッピングセンターと公園が一体になった風景を楽しめます。公園内にはさまざまなデザインのベンチが設置されているので、その時の気分でお気に入りのベンチを選んで休んでみてください」

グランモール公園
神奈川県横浜市西区みなとみらい3丁目
公式サイト

4

象の鼻パーク

象の鼻パーク
(C) Yokohama Visitors Guide

「1854年、ペリー提督が横浜に上陸した場所がここ『象の鼻波止場』。横浜で最初の港と言えます。2009年に横浜を拠点に活動されている小泉雅生さんの設計で『象の鼻パーク』としてオープン。伸びやかな芝生広場や、復元された象の鼻波止場、アートイベントが盛んに行われている象の鼻テラス、そしてlightdesignの東海林弘靖さんが手がけた夜景など、デザイン的にも見どころが満載です。象の鼻パークから、横浜スタジアムまでつながる日本大通りは横浜の都市デザインを語る上では欠かせない場所であるとともに、映画やドラマ撮影としても有名で、きっとどこかで見たことあると思える風景に出合えます」

象の鼻パーク
神奈川県横浜市中区海岸通1丁目
公式サイト

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画家・辰巳菜穂さんのおすすめは?

nao tatsumi
辰巳菜穂

辰巳菜穂(Nao Tatsumi
福島県生まれ。筑波大学芸術専門学群建築デザイン卒業。Map上でバーチャルに旅をしながら世界中の街角や路地裏から集めた何気ないけれど愛おしい風景をアクリルや油彩で描いている。国内外の展覧会に多数出展し高い評価を得ており、広告クリエイティブや飲食店・ホテルの壁画制作など幅広く手がけている。
公式サイト Instagram

5

「こどもの国」のイサム・ノグチ作品群

「こどもの国」のイサム・ノグチ作品群
こどもの国

「児童センターの周辺にイサム・ノグチの3つの作品(エントランス通路、まるやま、オクテトラ)があります。重厚なコンクリート製のトンネルや穴の通路を通って辿りつく向こう側の世界は、こちら側とは少し違っているような感覚になります。自由な想像力を邪魔することなく美しく存在する子供のための非日常建築です」

こどもの国

神奈川県横浜市青葉区奈良町700
公式サイト※写真はオクテトラ

6

市ケ尾横穴古墳群

横浜市青葉区
横浜市青葉区

「住宅街にひっそりと佇む死者のための建築。小高い丘の斜面にある公園のような場所に、6世紀後半から7世紀後半にかけてつくられたとされる19基の横穴墓があります。横穴の中に入るとやけにヒンヤリとして、現実世界から抜け落ちたような不思議な体験ができます。静かな気持ちになりたいときにおすすめの場所です」

市ケ尾横穴古墳群
神奈川県横浜市青葉区市ケ尾町1639-2 市ケ尾遺跡公園
公式サイト

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建築家・藤原徹平さんのおすすめは?

藤原徹平
藤原徹平

藤原徹平(Teppei Fujiwara)
横浜生まれ。隈研吾建築都市設計事務所にて設計チーフを経た後、2009年よりフジワラテッペイアーキテクツラボを立ち上げる。「建築家である前に、人間的であること」をモットーに、様々なテーマに一つ一つ誠実に向き合い、建築の可能性を深く探求している。横浜国立大学准教授。
公式サイト Instagram

7

InterContinental Yokohama Pier 8(インターコンチネンタル ヨコハマ ピア エイト)

intercontinental yokohama pier 8
InterContinental Yokohama Pier 8

「横浜の歴史ある埠頭にできたラグジュアリーホテル。海に突き出た埠頭がホテルになっているので、大さん橋やベイブリッジなど新旧が織りなす港の景観に包まれる立地になっています。海側の客室には室内テラスがついており窓も大きく開放できるので、部屋にいながらにして海の気配をダイレクトに感じることができます。ルーフトップもとても広くくつろげる空間となっており、まるで海の上に住んでいるような気分になります。都市型のラグジュアリーホテルというと室内に閉じた印象が強いのですが、港の環境と一体でこのように上質な空間が作られていくのはとても良いことだと思います」

InterContinental Yokohama Pier 8
神奈川県横浜市中区新港2-14-1
公式サイト

8

陣ヶ下渓谷高架橋

陣ヶ下渓谷高架橋
陣ヶ下渓谷高架橋

「横浜には各所に大きな自然公園があり、里山や森を経験できます。その中でも一番ディープな森林体験ができるのが、『陣ヶ下渓谷公園』です。氷河が削った渓谷の地形がそのまま残されていて、山奥にいるような深い森林浴が体験できます。しかし実際には横浜駅から15分くらい、最寄駅からもすぐ着きます。その渓谷の中に、神殿のようにそそり立っているのが、陣ヶ下渓谷の高架橋です。デザインしたのは数多くの美しい橋梁をデザインした建築家・橋梁デザイナーの大野美代子さんです。公園上空をやむを得ず開発しなくてはならないという状況下で、太陽の光を谷底まできちんと届けるように橋をふたつにわけ、巨樹の根を痛めないような深基礎工法を採用するなどエンジニアリングの判断も適格かつ丁寧で、また何より曲線美をもった脚と橋底は、ギリシャ神殿のような美しさです。自然の豊かさをむしろ強調して引き出すようなこのデザインは、人間と地球とが調和していく未来を具体的に示しているなあと、訪れるたびに感じます。蛍の名所ですし避暑にも最高なので、ぜひ訪れてみてください」

陣ヶ下渓谷高架橋
神奈川県横浜市保土ケ谷区川島町797
公式サイト

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建築家・宮 晶子さんのおすすめは?

宮晶子
miya akiko architecture atelier

宮 晶子(Akiko Miya)
レーモンド設計事務所やアルテック建築研究所を経て、1997年にSTUDIO 2Aを設立。2018年にmiya akiko architecture atelierに改称。建築がそれだけで完結するのではなく、そこで過す人や環境との共話から多義的で意識としての開放性ある場をつくりたいと考え、プロジェクトに取り組んでいる。日本女子大学家政学部住居学科教授。
公式サイト Instagram

9

横浜港大さん橋国際客船ターミナル

横浜港大さん橋国際客船ターミナル
横浜港大さん橋国際客船ターミナル

「国際コンペ660作品の応募案から選ばれた、アレハンドロ・ザエラ・ポロ氏とファッシド・ムサヴィ氏による設計で、2002年に完成したものです。審査委員長は、今は亡き磯崎新氏でした。もう20年以上も経つのですね。ウッドデッキでできたうねる屋上は、港につきでた原っぱのようなのびやかな自由さを感じられる場所で、時間があればボーっとしに行きたくなります。公共工事っていまはとかく批判されがちですが、本来はこのように見知らぬ人と居合わせてながら、お金もかからず、思い思いに過ごせる居場所をつくる、みんなへのプレゼントなのですよね。この工事も増額で横浜市は大変だったそうですが、多くの人がそこで佇んでいる姿をみれば、そのチャンレンジは賞賛されると思います。公共のあるべき姿を確かめられるところも好きな理由です」

横浜港大さん橋国際客船ターミナル
神奈川県横浜市中区海岸通1-1-4
公式サイト

10

紅葉坂の公共建築群(神奈川県立音楽堂・神奈川県立図書館・神奈川県立青少年センター)

神奈川県立音楽堂
神奈川県立音楽堂

「どれも前川國男氏の設計によるもので1950〜60年ごろに完成し、今も現役です。音楽堂には、小学校のころから合唱コンクールに、青少年センターには毎年課外授業で行っていました。アトリエを東京から地元横浜の馬車道に移したころに、佇まいが懐かしくてふと青少年センターに入ってみたんです。そしたら歪んだ鏡のアトラクションや宇宙服のマネキンが当時のままあって、プラネタリウムの入口も全く変わってなくて、子どものころの世界にタイムトリップしたようでした。その直後に改修されて雰囲気は少し変わってしまったのですが、音楽堂や図書館は今も当時の質実な時代の空気を伝えてくれていて、3つあることでほっとします。建築は人にとっての記憶の外付ハードディスクでもありますね。『正しく古いものは永遠に新しい』。そういうものはこれからも残していってほしいです」

神奈川県立音楽堂
神奈川県横浜市西区紅葉ケ丘9−2
公式サイト
神奈川県立図書館

神奈川県横浜市西区紅葉ケ丘44
公式サイト
神奈川県立青少年センター

神奈川県横浜市西区紅葉ケ丘9-1
公式サイト

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